「・・・ねえ?大ちゃんもう寝ちゃったの?」

久しぶりに出会って、お酒を入れながらとりとめない話をする。
相槌をうつ大ちゃんの声の間隔がだんだんと長くなる。

「・・・ん?」

肩に重みを感じて横を見ると、ビールの缶を片手に持ったまま、
大ちゃんがうつらうつらとしている。

「ふふっ。やっぱ、寝顔も綺麗。」

瞳が閉じられるとすうっと通った鼻筋が強調されて、まるで彫刻のようだ。と思う。
笑うとできる目尻の皺も、数年前にはなかったけれど、
大ちゃんの人柄を表しているようで愛おしくなってくる。

時差ぼけで今から活動期でアルコールに強い俺と。
ただでさえオヤスミタイムでぽーっとしているお酒に弱い大ちゃん。

「・・・つまんないよ~。退屈だよ~~。」

まだまだ話足りないのに。

手にあるビールの缶を取り上げて、憎たらしいぐらいに整った鼻をつまんでやった。

「相手してくれないなら、鼻曲げちゃうもんね!」

お気に入りの顔にそんなことできるはずもないけれど。
八つ当たりだってわかってるけど。

先に寝落ちされた悔しさをぶつけたくて、「大ちゃ~ん。」と揺さぶってやった。

今まで肩に乗っかっていた重みが急にふわん!と軽くなったかと思うと、地べたにべしゃ。と張り付く。
重力がどこからどこへ移ってしまったのか、少しふわふわした頭ではすぐに理解できない。

ふわり、と唇が温かいものに包まれて、舌先がねっとりしたものに絡めとられて。

やっと、押し倒されてキスされているんだ。ということに気がつく。
大ちゃんの分厚い胸板を布団代わりにして抱っこされている。

「んっ。んっ。んんっ・・・・。」

髪の毛をまさぐられ、口腔内を隅々まで味わうように探られ。
息が苦しくなって頬が上気してきたころに、やっと開放される。

「もーっ!!大ちゃん、たぬき寝入りっ!!」

口元から垂れてしまった唾液を手の甲でぬぐいながら怒ると、心底可笑しそうに肩をゆすって笑っている。

「だって、いじけてるまおを観察するの面白かったんだもん!」
「人が悪いよ。大ちゃん。」

「・・・腕、上げただろ?」

ニヤリ、と勝ち誇ったような笑顔には自信が伺える。

「はいはい。ころっとだまされました!完全に敗北です!」

だまされたのに。
面白がられたのに。

すっかり大ちゃんの芝居にやられた自分を誇らしく思う。

「・・・嬉しいよ。」

負けを認めて嬉しい。だなんて。
自分のポリシーに反するんだけど。

やっぱり、誇らしい。

ちゅ。と今度は自分からキスをすると、ころんと反転されて床に押し倒された。

うん。

こうやって抱き締められるのが、やっぱり一番落ち着く。

降り注いでくるキスを受止めながら、頭の片隅でぼんやりと考えるのだった。








「まお?・・・まお?」

隣ですうすうと寝息をたてるまおの肩を静かに揺さぶる。

久しぶりの逢瀬だというのに睡魔に負けて昨晩は寝落ちしてしまった。
まおは「え~。まだまだ今からでしょう!」と、時差ぼけのテンションそのまま俺の腕を揺さぶっていたが。

ぼんやりとリビングに目をやると、ゲームオーバーの文字がでかでがと光るテレビがつけっぱなしになっている。

「・・・ちゃんとセーブしてから寝ろよな・・・。」

暇に任せて一人でゲームでもしていたのだろうけれど。
セーブはできなくても、ベッドにたどりついている、というのは不思議だ。

「ま~おっ?朝だよ~~??ここは、日本だよ~~。」

鼻先がこすれあうぐらいの距離で、ささやいていると、急にぷっと声がして、目の前の肌色が揺らいだ。
くくくっ。と笑いがこらえられないように、目を閉じたまま肩を揺らし続ける。

「あっ!お前、たぬき寝入りだろ~っ!」

ガバっと首に腕を回してタックルとかけてやると、コロコロといつまでも笑い転げている。

強い意志を放つ瞳も。
前を向いて、ぴんと伸びた背筋も。

凛として美しく、カッコいいと思うけれど。

こうやって腕の中で無邪気に笑い転げているまおが、やっぱり一番好きだ。

「だって、天使だもんなあ・・・。」

世界中で一番綺麗なものは何か?と問われたら。

「まおの笑顔。」

と、迷わずに即答するだろう。



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やーんW
そろそろ何かかかなくては・・・。
と、思えば、一週間ぶりぐらいのお話になってしまいましたW

ここのところ、自発的に妄想が沸いてこない(笑)

相変わらず内容がありませんがW

ま、普通な二人が一番の癒しってことで^^