酔いがほどよく回ってきたころ、もう一度あの風を感じたくなって、ベランダで両手を広げてみた。

ほどなくして、やっぱり後ろから抱きとめられた。

「・・・大丈夫だって。」
「わかってるけど。お前、酔ってるし。」

そういう大ちゃんこそ、抱き締められた背中が熱い。

「こんなの序の口だよおっ!こんな真っ赤な耳たぶの大ちゃんに言われたくない。」

くるっと身体を反転させて、「さくらんぼみたいで、かわいい。」と言いながら、かじってやると、
「お前がザルなんだよっ!」と耳たぶを両手でガードしながら後ずさった。

そのまま、追いかけていってぱふん。と胸の上にのっかる。

いつもより少し高い体温と、早い心臓の鼓動。

お酒苦手なくせに、付き合ってくれたんだよね。
きっと、久しぶりだったんだよね。

「・・・ありがとね。」
「・・・うん?」

返ってきた返事は疑問系だけれど、きっと伝わっている。

「・・・なあ。まお。初夏には見事な実がつくんだぞ?店で売ってるさくらんぼなんて目じゃないような甘い実が。
まあ、毛虫ももれなくついてくるのが、難点だけどなあ。」
「ふふっ。おれ、虫は平気だよ?」

「また、実がなるころに、もぎに来よう?ばーちゃん一人になってから、誰も食べなくなった。って嘆いてたから。」
「初夏かあ。・・・戻ってこれるかな?」

パラパラと頭の中のスケジュールをめくる。

ニューヨークのお洒落で自由な気風と街並み。
憧れの街そのもので、大好きで、気楽で。
日本という価値観は狭苦しい感じがしてしまっていたけれど、どこか懐かしいこの場所には帰ってきたい気もする。

・・・なにより、大ちゃんの居場所に入ることを許してもらえたことが嬉しい。

「・・・もしかして、桜咲いたよ。って連絡あった?」
「・・・まあな。」

自然になじんだ家族。
認めるてくれるとか、認めなられないとか、難しく考えなくても、ありのままでいていいんだよ。

形にする必要なんてない。

隣にいるのが自然なら、それでいいんだから。

土と畳の匂いをかぎながら、すうっと肩の力が抜けていった。



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んー・・・。
何が言いたいんでしょう??自分でもよくわかりません(笑)

ま、時期ってことで^^