大ちゃんにチョコをあげた。

チョコって言っても、デパートのいかにもな高価なもんじゃない。

「冬のくちどけ」

というあおり文句についつい大ちゃんの甘いキスを連想してしまって、手にとった冬季限定チョコ。

何にしよう。と悩んだ一日中街を彷徨った挙句。

きっと大ちゃんなら何でも喜んでくれるか。と、コンビ二のチョコになってしまう。

「でも、ラッピングはこだわりたいなあ。」

完璧に自分の趣味だとわかっているけれど。
この時期の雑貨屋さんは、本当に目移りするほど可愛いグッズがいっぱいで
心がうずうずしてしまう。

「いつか、こんなふうに並べることができたらな・・・。」

クラフト独特の落ち着く香り。
きらびやかな透明なセロファン。
色とりどりのリボン。
小さなブーケがあしらわれた小箱。

ひとつ、ひとつ丁寧に素材の感触とデザインを頭に入れながら、選んでゆく。

いつの日にか「俺がデザインしたんだよ?」と胸を張って言える様に。


「はい。大ちゃん。バレンタインのチョコ。」
「おっ。冬季限定じゃん!嬉しいなあ。」

にっこにこの笑顔で、コンビ二チョコを受け取ってくれる。

そこにこめられたささやかな意地、はまだ気がつなかいでいてね。


「・・ほれ、お返し。」
「んっ・・・・んんっ!?」

大ちゃんに両方の頬を包まれたかと思うと、ほっぺたがぷくう。と膨らんだ。

「らぶ・ちゅうにゅう完了!
あっ。吐きだすなよっ!」

びっくりして、げほげほとむせ返る俺の唇に、大ちゃんの指が押し当てられる。

「人工呼吸じゃないんだから~。
つーか、古いよっ!大ちゃん。」

いいネタ思いた!とばかりに満面の笑顔の大ちゃんを、涙目で睨む。

「・・・ほんっと迷惑。
こっちは、死にそうだったっての!
・・・つーか、人工呼吸で死にそうになるって、洒落になんないからっ!」
「だから、人工呼吸じゃなくて、ラブを注入だってば。」

「いいよ。もう。」

ほんと、考えることが昭和なんだから。

愚痴愚痴と文句を垂れながらも。

やっぱりこうやってかまい倒されるのって、嬉しい。


などと、口元がゆるんでしまったのは、内緒だよ。



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日本ではバレンタイン過ぎてしまいましたが~。

もう一本^^

久しぶりにたくさん大まおが描けて満足です^^