ざわざわ。
あ。駄目だ。
ちょっとムカつく。
ざわざわざわざわ・・・・。
あーっ。もうっ!!!
TRRRRR
「ちょっ!!大ちゃんっ!!!」
「なんだよ?まお。いきなりだなあ。」
ワンコールきっかりで、懐かしい声が聞こえた。
名前も名乗らずに、受話器に向かって叫ぶ。
「なに?あれっ!?」
「・・・あれって、どれだ?」
こんなに俺がざわざわしているというのに、当の本人はすっとぼけている。
それどころか、「今度はどうした?」と言わんばかりの優しい声色に、大人の余裕ってものを感じて、余計-----。
ムカツク。
「どーせ、大ちゃんにとってはたいしたことじゃないんだろうけどっ!」
ふふっと。電話の向こうで笑う気配がする。
「何一人で怒ってるんだ?お前。」
そうだよ。
一人で勝手にざわざわして嫉妬してるだけだよ。
後ろめたいことなんてひとつもないから、こんなふうに余裕で笑ってられるってことも。
聞くまでもなく、俺のことを甘やかす声の優しさを信じればいいってことも。
全部、わかってる。
「だって・・・。大ちゃんがかわいい弟。って言うから・・・。」
「・・・ああ。」
少し沈黙があってから、納得したように大ちゃんが相槌をうつ。
「俺だって、最初はかわいい弟。ってかわいがってもらった。
・・・そう呼んでもらえることが居心地よくて、嬉しくて。
大ちゃんにとってのトクベツのお気に入り。って思ってたのに・・・。」
「悪イ。無難な言葉だからつい、使っちまって。」
「無難、なんだ・・・。」
自分から責めておいて、無難とか言われるとまたまた勝手に落ち込んでしまう。
「や。だからお前が無難ってことじゃなくてさ。
・・・ほら、めでたく無難じゃなくて、有害・・・いやいや。害じゃねーなっ?俺は毒虫かっつーのっ!」
・・・ぷっ。
なんだか今、カラフルな青虫の気ぐるみ着た大ちゃんがゴロゴロ転がってるの想像しちゃったよ。
「あ。笑った。」
電話の向こうの大ちゃんの声色がほっとしたように緩む。
「うん。そうだね。俺はもう無難卒業したもんね。
かわいい弟、の席は譲り渡すよ。
・・・・でも、有害でいいのは俺だけだからねっ!!
ぜんぶ。本当はぜんぶ、引き受けたいんだから・・・。」
かわいい弟も、頼りがいのあるカレシも。ふんわり癒される恋人も。
「わーってるよ。」
あたり前だろ?
と、言外に含ませた面倒くさそうなぶっきらぼうな返事が好き。
お前なら、いちいち全部言わなくてもわかってるよな。
普段はそんな背中をしているのに。
子供っぽく八つ当たりすれば、でっかい胸で受け止めてくれる。
うん。やっぱ、
「大すき。」
「・・・しってる。」
照れたようなつぶやき。
微かに聞こえてきたざわめき。
「・・・あ。ごめん、稽古中だった?」
「・・・まあな。」
ふふっ。
居心地のいい場所にいる大ちゃんが、ワンコールで出てくれたことにちょっぴり優越感を感じる。
やっぱトクベツに愛されてるんだよなあ。俺。
なーんて、ね。
あ。駄目だ。
ちょっとムカつく。
ざわざわざわざわ・・・・。
あーっ。もうっ!!!
TRRRRR
「ちょっ!!大ちゃんっ!!!」
「なんだよ?まお。いきなりだなあ。」
ワンコールきっかりで、懐かしい声が聞こえた。
名前も名乗らずに、受話器に向かって叫ぶ。
「なに?あれっ!?」
「・・・あれって、どれだ?」
こんなに俺がざわざわしているというのに、当の本人はすっとぼけている。
それどころか、「今度はどうした?」と言わんばかりの優しい声色に、大人の余裕ってものを感じて、余計-----。
ムカツク。
「どーせ、大ちゃんにとってはたいしたことじゃないんだろうけどっ!」
ふふっと。電話の向こうで笑う気配がする。
「何一人で怒ってるんだ?お前。」
そうだよ。
一人で勝手にざわざわして嫉妬してるだけだよ。
後ろめたいことなんてひとつもないから、こんなふうに余裕で笑ってられるってことも。
聞くまでもなく、俺のことを甘やかす声の優しさを信じればいいってことも。
全部、わかってる。
「だって・・・。大ちゃんがかわいい弟。って言うから・・・。」
「・・・ああ。」
少し沈黙があってから、納得したように大ちゃんが相槌をうつ。
「俺だって、最初はかわいい弟。ってかわいがってもらった。
・・・そう呼んでもらえることが居心地よくて、嬉しくて。
大ちゃんにとってのトクベツのお気に入り。って思ってたのに・・・。」
「悪イ。無難な言葉だからつい、使っちまって。」
「無難、なんだ・・・。」
自分から責めておいて、無難とか言われるとまたまた勝手に落ち込んでしまう。
「や。だからお前が無難ってことじゃなくてさ。
・・・ほら、めでたく無難じゃなくて、有害・・・いやいや。害じゃねーなっ?俺は毒虫かっつーのっ!」
・・・ぷっ。
なんだか今、カラフルな青虫の気ぐるみ着た大ちゃんがゴロゴロ転がってるの想像しちゃったよ。
「あ。笑った。」
電話の向こうの大ちゃんの声色がほっとしたように緩む。
「うん。そうだね。俺はもう無難卒業したもんね。
かわいい弟、の席は譲り渡すよ。
・・・・でも、有害でいいのは俺だけだからねっ!!
ぜんぶ。本当はぜんぶ、引き受けたいんだから・・・。」
かわいい弟も、頼りがいのあるカレシも。ふんわり癒される恋人も。
「わーってるよ。」
あたり前だろ?
と、言外に含ませた面倒くさそうなぶっきらぼうな返事が好き。
お前なら、いちいち全部言わなくてもわかってるよな。
普段はそんな背中をしているのに。
子供っぽく八つ当たりすれば、でっかい胸で受け止めてくれる。
うん。やっぱ、
「大すき。」
「・・・しってる。」
照れたようなつぶやき。
微かに聞こえてきたざわめき。
「・・・あ。ごめん、稽古中だった?」
「・・・まあな。」
ふふっ。
居心地のいい場所にいる大ちゃんが、ワンコールで出てくれたことにちょっぴり優越感を感じる。
やっぱトクベツに愛されてるんだよなあ。俺。
なーんて、ね。