空から飴が降ってきた!

・・・な、わけないよな。

今時、小学生でも「雨?飴??飴って降ってくるの?」などと、質問するやつなんていない。

・・・ま、かくいう俺は、サンタさんがいる。と同じレベルで、
「雨が降りそうだねえ。」と空を見上げるばーちゃんを見て、「飴?」とわくわくしたものだが。


前置きは、さておき。


あーん。と上を向いて開けたお口に飴が落っこちてきたらどうなるか。

俺は、今、猛烈に咳き込んでいる。

「ちょっ!まおっ。俺を殺す気かーっ!!ゴホゴホっ!」

さっきまでの悪戯っ子の顔から一転。
心配でうるうると瞳を潤ませながら、俺の背中をさすってくれている。

「ごめんねっ!ごめんねっ!だって、あんまりおっきく綺麗にお口が開いてたから、つい。」
「つい。で、こんな苦しい思いさせられるなんて、悪戯が過ぎるぞっ!!」

「うん・・・。ほんと、ごめんね?」

まおの手には、のど飴の袋が握り締められている。


ことの起こりは、つい5分ほど前。

「いや~。今日もへたばった!」

コートをまおに手渡し、ジャージのファスナーを緩めて、ドカっ!とソファに沈み込んだ。

「連日稽古だもんねえ。ちょっと声、荒れてるよ?」
「・・・そっか?」

自分では気がつかないけれど、今日は顔色が冴えないよ?とか、声のトーンが低いね、眠れなかった?
とか、俺の微細な変化に敏いまおのことだ。

やはり、負担がかかっているのだろう。

「・・・疲れた。風呂準備できるまで、ちょっと休ませて?」

ふわあ。とあくびをして、ソファの背もたれに頭を乗っけた途端。


コトン。


と、何かが俺の気道を塞いで、涙ぐむほど、咳き込んでいる、と言うわけだ。


「ほんとに、・・・ごめんね?」

しゅうん。とうなだれるまおの頭をよしよしとな撫でてやる。

「・・・まあ、お前なりに心配してくれた。ってことだよな?」
「うん・・・。」

「これからは、お空から飴は降らせないように!」
「・・・・はい。」


子供がいたら、こんな感じなのだろうか?

と、年の離れた恋人に言い聞かせながら、胸の奥がくすぐったくなるのを感じた。



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でっかいあくびをしていて、欠伸中って、すっごく無防備だなあ。
こんな時に、何か口に突っ込まれたらどうしよう?と、ふと不安になりまして(笑)

・・・まあ、ほとんどの方が、ソッチ系で想像するでしょうが。
あえて、かわいい日常にしてみました^^