いつから同性が好きだ。と自覚するようになったのろう。
明確な記憶はない。
同級生が女子の着替えタイムに盛り上がっていても、エロ猥談に花を咲かせていても、
ふうん。となんとなく耳を傾けて、相槌を打っていた。
幼いころに父がなくなって、母と、3人の姉と、妹一人に囲まれて育った家庭環境のせいかもしれない。
異性というものが身近すぎて、たった一人の男のぼくのことなんか男として認識されていない。
風呂上りに裸でうろうろしてるわ、寝起きの眉毛がなくて寝癖のぼっさぼさのだらしない姉が、彼氏とデートする。
と言えば、弟のぼくでさえ別人かっ!?と思わず二度見してしまうぐらい美人になる。
タレントの誰それがかわいい。とか、胸がでかい。とか盛り上がっている話を聞いても、
写真に撮られるころは綺麗に仕上がっていても、寝起きの顔はきっと最悪なんだよ。
とか、腹の贅肉を必死で盛り上げて胸に寄せてんだよ。とか、裏を知り尽くしてしまっているがゆえに、
みんなのように素直に興奮することができなかったんだと、思う。
・・・・いや、思っていた。
おかしいな。となんとなく感じだしたのは、女子の胸にぶつかってしまっても何とも思わない触覚、というものが、
何気にふざけて腕を絡ませてきた男子の腕に、ドキン。としたことからだった。
だからと言って、急に男を意識しだした。とか、身体に興奮するようになった、とかではない。
忘れ物をして困っていると、「貸してやるよ。」と差し出された指先に胸がきゅんとしたりだとか。
「お前、かわいいからなー。」なとどいうセリフに、内心焦ってみたりだとか。
「学食行くぞっ!」と強引に腕を引っ張られて、触れらた部分がやけに熱かったりだとか。
今までも当たり前のようにあった日常の中に、今までとは意味合いの違う何か、がじわじわと生まれてゆく感じだった。
じわじわと生まれた感情は、じわじわとした違和感にすり変わっていった。
自分に特定の好きな子、というのがいなくても、自然に共通のイロコイの話題で盛り上がる。
何気なく相槌を打ちながらも、何一つ共感できる部分がない。
そればかりか、「なあ?」と同意を求めて太ももに乗せられた友人の手のひらのほうを意識してしまうのだ。
ちょっと文具を貸してくれて、「気にすんなよ。お互い様だろ?」と微笑まれただけで容易に恋に落ちてしまう自分の惚れっぽさも持て余した。
今まで、色恋には淡白なのだ。と思っていたけれど、それは、単に異性に興味がなかっただけで、
実は誰かにそばにいて欲しい。という甘ったれた性格なのだということも、自覚した。
父、という身近な同性の存在がなく、憧れに似たものかもしれない。
などと、最初のうちは自分を励ましたりしてたが、好意を寄せた相手を想像しながら、一人で処理をするようになるころには、すっかり自分の性癖を諦めるようになっていた。
恋に落ちた相手はみんな、友人と異性への恋話で盛り上がっていて、最初から成就する可能性なんてヒトカケラもなかった。
だから、敢えて自分の恋心を言葉にすることもなかったし、馴染めない違和感が罪悪感にすりかわり、好意を寄せてしまった相手からは、距離を置くようになってしまった。
少しでも深く入り込んだら、苦しい思いをするだけだ。
そんな自己防御から、誰からも距離を置くようになり、親友と呼べる友人もできなかった。
それでも、まあ。
「かわいい。」と形容される人好きのする温和で中性的な顔立ちと、女社会で育った物腰の柔らかさから、
学校でのぼくの立ち位置、というのは決して悪いものではなく、深入りこそしないが、気軽に声を掛けれるヤツ。
的な存在だった。
明確な記憶はない。
同級生が女子の着替えタイムに盛り上がっていても、エロ猥談に花を咲かせていても、
ふうん。となんとなく耳を傾けて、相槌を打っていた。
幼いころに父がなくなって、母と、3人の姉と、妹一人に囲まれて育った家庭環境のせいかもしれない。
異性というものが身近すぎて、たった一人の男のぼくのことなんか男として認識されていない。
風呂上りに裸でうろうろしてるわ、寝起きの眉毛がなくて寝癖のぼっさぼさのだらしない姉が、彼氏とデートする。
と言えば、弟のぼくでさえ別人かっ!?と思わず二度見してしまうぐらい美人になる。
タレントの誰それがかわいい。とか、胸がでかい。とか盛り上がっている話を聞いても、
写真に撮られるころは綺麗に仕上がっていても、寝起きの顔はきっと最悪なんだよ。
とか、腹の贅肉を必死で盛り上げて胸に寄せてんだよ。とか、裏を知り尽くしてしまっているがゆえに、
みんなのように素直に興奮することができなかったんだと、思う。
・・・・いや、思っていた。
おかしいな。となんとなく感じだしたのは、女子の胸にぶつかってしまっても何とも思わない触覚、というものが、
何気にふざけて腕を絡ませてきた男子の腕に、ドキン。としたことからだった。
だからと言って、急に男を意識しだした。とか、身体に興奮するようになった、とかではない。
忘れ物をして困っていると、「貸してやるよ。」と差し出された指先に胸がきゅんとしたりだとか。
「お前、かわいいからなー。」なとどいうセリフに、内心焦ってみたりだとか。
「学食行くぞっ!」と強引に腕を引っ張られて、触れらた部分がやけに熱かったりだとか。
今までも当たり前のようにあった日常の中に、今までとは意味合いの違う何か、がじわじわと生まれてゆく感じだった。
じわじわと生まれた感情は、じわじわとした違和感にすり変わっていった。
自分に特定の好きな子、というのがいなくても、自然に共通のイロコイの話題で盛り上がる。
何気なく相槌を打ちながらも、何一つ共感できる部分がない。
そればかりか、「なあ?」と同意を求めて太ももに乗せられた友人の手のひらのほうを意識してしまうのだ。
ちょっと文具を貸してくれて、「気にすんなよ。お互い様だろ?」と微笑まれただけで容易に恋に落ちてしまう自分の惚れっぽさも持て余した。
今まで、色恋には淡白なのだ。と思っていたけれど、それは、単に異性に興味がなかっただけで、
実は誰かにそばにいて欲しい。という甘ったれた性格なのだということも、自覚した。
父、という身近な同性の存在がなく、憧れに似たものかもしれない。
などと、最初のうちは自分を励ましたりしてたが、好意を寄せた相手を想像しながら、一人で処理をするようになるころには、すっかり自分の性癖を諦めるようになっていた。
恋に落ちた相手はみんな、友人と異性への恋話で盛り上がっていて、最初から成就する可能性なんてヒトカケラもなかった。
だから、敢えて自分の恋心を言葉にすることもなかったし、馴染めない違和感が罪悪感にすりかわり、好意を寄せてしまった相手からは、距離を置くようになってしまった。
少しでも深く入り込んだら、苦しい思いをするだけだ。
そんな自己防御から、誰からも距離を置くようになり、親友と呼べる友人もできなかった。
それでも、まあ。
「かわいい。」と形容される人好きのする温和で中性的な顔立ちと、女社会で育った物腰の柔らかさから、
学校でのぼくの立ち位置、というのは決して悪いものではなく、深入りこそしないが、気軽に声を掛けれるヤツ。
的な存在だった。