指先をサラサラと砂がこぼておちてゆく。

遠い海からやってきた砂粒。

気の遠くなるような月日を重ねて、ここにたどりついた。

山の岩だったかもしれない。
凍てついた氷の国からやってきていたり、常夏の南国からきたかもしれない砂粒たち。

そして、今。

ぼくの指先をすり抜けてゆく。


何気なく通り過ぎてゆく人がどれだけいるだろう。

顔も名前も性別も意識しないまま、記憶に残らないまますれ違うたくさんの人・人・人。

こうやって静かに波の音に耳を傾けていると、自分がここに存在することが不思議に思えてくる。


さらり。


小さな音を立てて、最後の一粒が指先から落ちる。

・・・はずだったけど。


乾いた手のひらに、残る小さな砂粒。


そう、これがぼくがここにいる答え。


必要とし、必要とされる大切な人がいるから。

ぼくと出会ってくれた君がいるから。


広い砂浜にとっては、存在することすら気がつかれないかもしれないちっぽけな砂粒だけど。

ぼくにとっては、かけがえのない大切な存在。


ぎゅっ。と握り締めたら手のひらはじんわりと温かかった。




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Aの写真集の、砂浜にいるまお君のイメージでお読みいただくと嬉しいです^^
ただの詩。でもよかったかもしれませんねW

二人の名前がどこにもでてこない~~W