「まお・・・。愛してるよ。」

腕の中にまおを閉じ込めて、やわらかな唇を奪う。

「大ちゃん・・・。」

まおの腕が俺の背中を抱きしめる。




「ん---。ん----。んん??」

なんだか、キスすればするほど、口の中がぱさついてくる。
まおの瞳はうるうると濡れて、くちびるだって艶やかにルビーのように光っているというのに。

抱き締めても、頭を撫でても、ふんわりと甘いまおの香りがしない。



「・・・げっW」

不思議に思って目を開けると、肌寒いから。と昨日だしたばかりの毛布をはむはむと噛んでいた。

くるくると丸めた毛布に腰を押し付け撫で回していたことに気がつき、かあぁ。と顔に熱が集まるのを感じる。

べちょべちょに濡れた毛布が、俺のマヌケさに拍車をかける。



「さいってーっ!」

恥ずかしさをごまかすように、えいっ!と床に毛布を投げつける。

おいおい。八つ当たたりされる覚えはないんだけど。
と、ドット柄の模様のひとつ、ひとつが俺を見上げているようだ。


「・・・なんだよ。見るなよ。」


まおが最近お気に入りなんだよね。と選んだ白地にくっきりとした大き目のドットの毛布カバー。

なんだか、まおにばれているような気がして。


「お前と勘違いしてたんじゃないからな。単に腹減った夢見てただけなんだからな。」


・・・・まあ、それで毛布を食べるのもどうか、と思うけど、マヌケ度としてはいくらかはマシだ。


・・・・へえ。そう。


またまたたくさんのドットが、意味深に笑ってこちらを見詰めているような気がして。


「そうだよっ!なんか、文句あっか!」


ぐるぐるっ!と裏返しにドットが隠れるように丸めてやった。


クスクスクス・・・。


丸められた毛布の内側から笑い声が聞こえてくるようで。


「これで、どうだっ!!」


と、ぼんっ!と乱暴に全体重をのっけて、尻に敷いてやった。



・・・・・。



ぺちゃんこになったドット柄の毛布は、しーん。と静まりかえった。ような、気がする。



「ふふ。まだまだな。俺に反抗しようなんて。」


誰も反抗してないから。と、突っ込みを入れられたような気がして、ぺちゃんこになった毛布をほどく。



「あーあ・・・。しわくちゃ・・・・。」


撫で回されて、俺の唾液でべちょべちょにされて、挙句の果てにはぐるぐる巻きにされて。


しわしわくったり。といった情けない格好になってしまった毛布を見て、オトナゲなかったかなあ。
と、ちょっぴり反省するのでした。