テーマ。は別にしちゃたけど、まあ、ブログのような気軽さのお話です(笑)
このワンシーンがかきたかったの。



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街で誰かとすれ違うとき。
駅の構内で、喫煙所の側を通りすぎるとき。
喫茶店で友人と待ち合わせをしているとき。


ふ。と鼻先を掠める香りにドキンとする。


決して、積極的に好きだったわけではないタバコの匂い。

ほろ苦くて、ちょっぴり切ない。

どうしようもなく惹かれてしまうのに、どうしても惹かれたくない。とぎゅううっと力づくで気持ちを封じ込めようとしていたあのころの気持ちを思い出してしまうから。

どうしようもなくだらしないのに、自分のスタイルを貫いている生き方なんだ、と気付いたり。
自分の過去もあるがままに受け入れて、僕の鬱々とした過去も全てを受け入れてくれる優しさに涙が出るほど嬉しかった。


ほろ苦くて、ちょっぴり甘い。


生きることにちょっと疲れたときに、ほんの一口かじったチョコのように。

噛み締めるとほっとするような優しさに包まれた。


あの時撮影に使った禁とかかれたマルボロの箱は、今でも僕の引き出しの中にしまってある。

大切な思い出のように。

引き出しを開けると、ふわっと香り立つタバコの香り。


なんとも言えず、胸を甘く締め付ける香り。


この香りとともに、抱き締められた腕の強さを思いだす。
苦しくなるぐらい嬉しかった、重ねられた唇の感触を思いだす。


どこまでも澄み渡る青空。

爽やかに吹き抜ける秋風。

どこからか香りたつマルボロの香り。


目に沁みるぐらいの空の蒼を見上げながら、ぎゅっとシャツの胸をつかむのだった。