まおは青空

幼いときから青空が大好きだった。

友達とケンカして帰って悔し思いをしながら見上げた青空に、心のもやもやがすうっと晴れていった。
大切なものを失くしてしまって悲しみに胸が潰れそうなときでも、俺の心を明るく癒してくれた。
自分に自信がなくなって、うつむいてばかりだったときも、顔をあげなよ。と勇気をくれた青空。

どんなに土砂降り見える空だって、雲の上はいつも青空。
長く降り続けるうっとおしい梅雨だって、必ずその後には眩しいぐらいの青空を連れて来てくれる。


だから、青空が好き。


心が折れそうな時は、いつも空を見上げた。

自分の求める空がないときは、記憶のアルバムからとびっきりの青空をひっぱりだしてきた。

この雲の向こうには、どこまでも澄み渡る青空が存在するのだ。と、心を馳せた。



いつからだろう。



青空を見上げるような気持ちを彼に抱くようになったのは。



気持ちが塞ぎこんでいるときは、彼のきらきらとした笑顔に癒され。
悲しくて涙が止まらないときは、ただ黙って優しく抱きしめてくれ。
自信がなく揺らいでいるときは、どこまでも真っ直ぐな澄んだ瞳に見詰められ。


どんなに土砂降りの雨の中、家に帰っても、
ドアを開ければ俺の青空が「おかえりっ！」と両手を広げて待っていてくれる。


もやもやと霞がかかったような心も一気に澄み渡る。


まおは、青空。


どんな暗雲が立ちこめようとも、お前の存在があれば、一気に青空になる。


かっこよくて、気配りもできて、完璧で、眩しいぐらいの存在だよ。
と、お前はいつも俺のことをじっと見詰めて言ってくれる。



本当は、俺のほうこそお前は眩しいぐらいの存在なんだぞ。



「ずっと、俺の青空でいてくれ。」


なんて、プロポーズしたら、お前はどんなふうに答えるだろうか。


キザすぎて、笑ってしまそうだから決して口にはできないけれど。


お前は、俺の青空だよ。


まお。