クスクスクス・・・。

心の中で、こっそりと笑う。

もうっ。大ちゃんってば、本当にかわいい。
みつかってないと思っているのか、どうなのか。

顔を洗ってタオルで顔を拭いてふと鏡を覗き込むと、端っこに大ちゃんの悪戯っぽい笑みが映っていた。
壁に背をあて、おれを驚かそうとしてじりじりと楽しそうに距離をつめて来る。

いいよ。おいで?

おれも心の中で同じように悪戯が成功するかどうかわくわくしながら、待つ。

あと、20cm・・・。


大ちゃんの体温を感じそうなぐらいに近づいたところで、ばっと振向いてキスをした。


「わっ!!!」

大袈裟に驚いて、一瞬固まる大ちゃん。


「逆襲成功っ!!」


思わずガッツポーズを取る。


「ばればれだったよお!・・どーお?ふいに唇を奪われる感触は?」

固まったまま、口元を押さえてぱしぱしと瞬きをしている。


「びっ・・・くりした!!」
「たまには、奪われるのもいいでしょ?」


だって、いつもリードされてばかり。
おれの予想なんて遥かに超えて、大人なんだもん。

たまには、こうやって翻弄してみたい。


ささやかな、いたずらごころ。


「おまっ。このいたずら、他の奴にしかけるなよっ!?」
「するわけないでしょ~~。」


ケラケラと笑いながら、使っていたタオルを大ちゃんの首にがしっとかけた。


「どうぞ?洗面台、空いたよ?」
「ん?ああ・・・。ありがと・・・。」


ふふふ。


キスなんて飽きるほどしているのに。
まだ動揺して、ほんのり耳が赤い。


奪うキスと奪われるキスってこうも違うもんなんだなぁ・・・・。



あたらしいはっけん。

かわいいいたずら。