本編の白衣シリーズとは関係ありませんW

ただ、大まおが医者設定です。というだけのジャンル分けW
しかも、続きません・・・(笑)



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この病院に配属されて紹介された先輩。

「ああ。新しい子?よろしく。」

ちょっとぶっきらぼうな声とともに、差し出された手のひらは表情とは裏腹にあたたかかった。
無精ひげにくわえタバコという何とも不良極まりない先輩だなあ。と思いながらも、
熱心に医療ジャーナルの雑誌を読んでいる背中が様になっていてカッコよかった。

時々イスを揺らしながら、うーん。と伸びをするとまたデスクに向かう。
ガランと広い医局には先輩一人っきりしかいなくて、どうしたらいいんだろう?とそわそわしながら
壁際にあったソファに腰掛けた。

「ふぅん。そっか。」

独り言をつぶやいて頬杖をつくと、手帳を開いてさらさらと何かを書き込む。
考え事をするようにじっと天井を見詰めては、パラパラとページをめくる。

ひとつ・ひとつの仕草がまるで映画のワンシーンを見ているように綺麗で、絵になっていて。
初めての病院、という緊張のドキドキ感はいつの間にか忘れ、彼を見詰めるドキドキ感に変わっていた。

こんなところで働いてるんだ・・・・。

雑然と積み上げれた書籍の数々に埋もれたデスクが多い中、彼のデスクの上はすっきりと整頓されて
数冊の本とノートパソコンがあるだけだ。

いつから熱中していたのだろう?

彼の右肘のあたりにはすっかり冷めてしまったらしい飲み掛けのコーヒーが入ったマグカップが置いてあった。

「実はすっごく真面目なのかな?」

コーヒーを飲むのも忘れて、情報収集に熱中しているなんて。
彼を見ているうちに、なんだか和んできて、一緒にコーヒーブレイクでもしたいな。という余裕さえでてきた。


パタン。と雑誌を閉じたタイミングを見計らって、

「飲まれます?」

とたった今自販機で調達してきたコーヒーを差し出す。
カップを包んだ指先に、彼の指先が触れ、ドキンと鼓動が鳴る。

「おっ。気がつくなぁ。ありがとう。・・って、誰もいなかったんだな。俺のほうが面倒みてやらないといけなかったのに、気がつかなくて、ごめん。」
「いえいえ。そんなっ。渡辺先生忙しそうでしたし。」

僕の顔を初めて真正面から見て、にこっと人懐っこい笑みを浮かべる。
さっき見た不良なイメージと一転して、少年のような太陽のように眩しい笑顔になる。

触れた指先が思いの他熱く感じてしまったのと、意外な笑顔に胸が打ち抜かれてしまったことに
不意を撃たれ、慌てて顔の前で両手をぶんぶんと振る。

「でも、一人でほっとかれて、居心地悪かっただろ?俺も新人のころ、経験ある。
何していいか、わかんねーっ。ってそわそわしてた。」
「あははっ。そんな時代もあったんですか?」

ポケットに手を突っ込んで屈託なく笑う渡辺先生は、超絶と言っても過言ではないほどの美形なのに、
人をほっと和ませるような不思議な魅力を兼ね備えていた。

「そりゃ、誰にでもあるだろ。」

カチリ。とまた新たにタバコの火をつけると、先程まで読んでいた雑誌をきちんとラックに整理する。

「・・・勉強熱心なんですね。」
「・・・ん~?ああ?普通だろ?知れば知るほど興味が沸いて来る。ってゆーのが、この世界の常識じゃねーか?」

「・・・そうですね。」

曖昧に相槌を打ちながら、そんな人ばかりじゃないけどね。
と心の中で反論する。

医者というネームバリューをアクセサリーに遊びまくっている人もいれば、ラクをして稼ぎたいということばかりを考えている人もいる。

一見不良な外見なのに、根はとっても真面目そうな渡辺先生に惹かれた。

「そうだ。お前、この術式知ってる?」
「え?どれですか?」

彼の繊細で美しい指先が流れるようにキーボードを叩く。

「アメリカで発表された論文なんだけど、まだ日本では採用されてない。」
「えっと・・・。残念ながら勉強不足で・・・。」

画面には英文がずらりと並んでいて、正直何をかいてあるのかさっぱりわからない。
専門用語の英単語の数々というのは、原文で論文を読む習慣のあるようなエリートにしか理解できない。
こんなことなら、学生時代からもっと原文を読む癖をつけておけばよかったなあ。と後悔する。
・・・お馬鹿な奴って思われたかな?

内心ドキドキしながら彼を見上げると、パソコンの画面を見やすいようにぐいっと身体を近づけてきた。

キラキラと本当楽しそうに瞳を輝かせながら、熱弁してくれる心地の良い声。
ふわ。と香るコロンの甘い香り。
ほろ苦いようなタバコの香りはデキル男のオーラを感じさせる。

ひと通りレクチャーが終るころにはすっかりぽーっと夢うつつで恋に落ちていた。


「午後から一件珍しいオペが入ってるけど、見る?」
「・・・はいっ!」

「じゃあ、13時45分着だから、半には手洗いして入室できるように準備して。」
「えっと。ロッカーは・・・?」

「ああ。まだ聞いてなかったのか。ついておいで。」

肩幅の広い彼の背中を眺めながら、広い廊下を歩く。
時折すれ違う同僚に親しげに声を掛けられるところを見ると、仲間内での人望も厚いらしい。

「ほら。俺の隣。」

浜尾。とかかれたプレートを指でなぞったかと思うとおもむろに白衣を脱ぎだす。

「ちょ。先生何してるんですかっ!?」
「何って、着替え・・。」

「そっ。そうでした・・・・。」

自分からロッカーはどこですか?と聞いておいてなんとマヌケな質問なんだろう。
とがっくしと落ち込む。

だって、Tシャツ一枚になった先生があまりにも色気が過ぎて、本来の目的を忘れさせてしまったんだもん。
すぐ隣で逞しい腕の筋肉を感じてドキドキしながら自分のシャツのボタンを外す。
上半身裸になった気配を感じて・・・。パサリ。とズボンが床に落とされた音が聞こえて、もう何をしたらいいのわからずに、同じボタンをつけたり外したりしてしまっていた。

「いくぞ?浜尾。」
「はっ・・いっ?」

185cmはあろうかという長身の彼が深いモスグリーンのオペ着を着るとシンプルなだけにスタイルのよさが強調される。
少し長めのサイドの髪の毛を束ねるために、両手でサイドの髪をすきながらゴムを咥える仕草に平常心を失った。

「あのっ!!」
「ん?」

「先、行っててくださいっ!」
「お前、場所わかるのか?」

「はいっ!!大丈夫ですっ!!」

勢い込んで答えてしまったのの、本当はどこに何があるのかなんてさっぱりわからない。
ただ、このまま彼に隣にいられるとまずい。と頬だけではなく、脚の間にも集まってしまった熱がうずいていた。




「・・・どーしよー・・・・。」

心を落ち着けてから、散々スタッフに聞きまくってやっとたどりついたオペ室。

小窓からちらりと見えた渡辺先生は、マスクと帽子をしているせいで目元しか見えていないのに。
眼力が強調されるというか、視線で射抜かれるというか。
ちら。と向かいに立つスタッフに指示をだす視線でさえも、いちいち胸がきゅんとした。

「あんな人の横にいたら、心臓がもたないよ。」

結局勇気がでないままに、立ち往生してたらバタバタっ!!とストレッチャーが入ってきた。

「ちょっと、暇してるなら、血管確保してっ!」

暇じゃないんだけど。と言う間もなく、隣の部屋に引っ張りこまれてあっと言う間にバタバタと忙しくなった。



医局に戻ってから一息ついていると、渡辺先生が入ってきた。

「どうしたんだ?お前?」
「あー・・・。実は、ちょっと他でつかまってしまって・・・。」

ことの起こりを話すと

「そっか。残念だったな。また次の機会にでも・・・。」

と、汗でぬれた帽子を脱ぎ捨てる。

湿った前髪がはらり。と額に落ちる。


「・・・失礼しますっ!!お疲れ様でしたっ!!!」

直視していたら、くらり。と倒れてしまいそうで。
慌ててその場から立ち去る。

それからも、何度かオペの助手のお誘いを受けたのだけれど、あの瞳に見詰められるのかと思うと、
とても集中できないような気がして、避けまくってしまった。




「お前。そんなに俺のことが嫌いか?」

誰もいないロッカーで、突然に壁に押し付けられる。
とっさに逃げようとして、身をひるがえすと、両脇を腕で封じ込まれる。

避けまくっていたのがあまりにも露骨過ぎて怒りを買ったのだろうか?

・・・殴られる!

ぎゅっと目を閉じて、覚悟を決めたとき、暖かいものが唇に触れた。

ほろ苦いタバコの香り。
チクン。と肌を刺す痛みは、彼の・・・不精ひげ??


何が起こったのか理解できないままうっすらと目を開けると、気まずそうに微笑んだ渡辺先生の顔があった。


「俺さあ。この外見だから誤解されやすいんだけど。お前のこと気にいってるんだからな。」
「・・・・・え?」

「だから、好きだっ!って言ってるの!」
「・・・えええっ!?」

信じられない。とぱちくりと瞬きばかり繰り替えす僕をゆっくりと彼が抱き締めてくれる。

「・・・返事は?」
「・・・はい。」

返事は?と聞かれて、深く意味を考える暇もなく反射的に「はい。」と答えてしまった。

「そっか。意識してくれてんのか、怖がられてるのかわかんなかったから、ほっとした。」


嬉しい。とか、愛してるよ。とか言われながら、抱き締められる。

現実のこととはにわかに信じられなくて、なされるがままになっていたけれど。


「浜尾??聞いてる??」

ペチペチと、頬を軽く叩かれて正気に戻った。

「愛してるよ。って今、告白しただけど。」
「・・・はい・・・。はい・・・。僕も、好き・・・です・・・。」

もしかして、違った?と心配そうに覗き込む先生の瞳に、やっぱり現実なんだ。と実感が沸いてくる。
嬉しすぎて、涙がぽろぽろとこぼれてくる。
ひっく、ひっくと嗚咽が漏れそうになって、口元を押さえる。


「・・・キス、させて?」

外見とは裏腹な彼の温かい掌が、僕の手を包んで優しく引きはがす。


ふわ。と唇が重ねられ、頭の先からつま先の先までぽかぽかとするような幸せに包まれた。





------------------おわり(笑)-------------------------------


なぜ続かないかと言うと、ドクターものはリアル妄想が過ぎてしまって、ぽーっと見とれる、とかってオペ中の設定にしたかったんだけど、「そんな集中力なかったら危ないじゃんW」とか、患者設定とかにすると
患者をそんな目で診てるとか思われないかしら??とか、考えてしまって妄想に制限がかかるので、
自由にかけないのです~~W


でも、大ちゃんのかっこよさ。をたあっぷり映像化してリアル妄想してくださいね^^