ひとしきり泣きじゃくった後に、やっと気持ちが落ち着いたのか胸に顔を埋めながらぽつり、ぽつりと話をしだす。
「・・・コートに立ってる先生の背中を見たときに、胸が打ち抜かれたみたいになったんだ。
気迫みたいなものが違うよな。って感動した。汗がコートに滴るのも、綺麗だな。って思った。
それまでは、みんなが先生のことを好き。な好き。と同じレベルで好き。だったんだと思うけど。
本当はやる気のないみんなのことをうざったく思ってるのかな?とか思うのに、全然そんなこと表情に出さずに熱心に指導してくれて。
なのに、どうしてだかわかんないけど、嫌われてるみたいだったから・・・。どうしていいのか、わかんなくなってきて。」
つらつらと語ってくれる告白を、うん。うん。と相槌を打ちながら聞く。
伝えるだけでいい。と思っていた気持ちだったけれど。
次々に紡がれる言葉が、俺に対しての好意で埋め尽くされている。
「そっか。そっか・・・。ありがとう。」
「でも、そんなカッコいいもんじゃ、ないんだよ?」
理想の俺、というものをわざわざ自分から壊してしまうのもどうか。と思うけれど。
ありのままの自分で愛したい。
お前と同じぐらいの年齢だった頃に犯してしまった失敗。
誰にでも優しいのではなく、誰からも距離を置いていたのだということ。
お前が、感情を取り戻させてくれたこと。
馬場との友情に嫉妬するような、未熟者であること。
「・・・そ、なの?」
「そうだよ。」
「ふふっ。先生も、色々あるんだね。」
「そりゃお前。お前より9年も長生きしてるからな。」
「・・・それに、意外とわかりやすい。」
「・・・だろ?」
先入観を取り除いてしまえば、ストレートなまおへの愛情と、子どもっぽい独占欲だけが残る。
「俺にも、お前の荷物、背負わせてくれるかな?」
「えっ・・・。でも、担任でもないのに。」
「だ~か~ら~~。俺個人として、って言ってるだろ?」
「・・・でした。」
「明日から、ちょこっとでいいから部活にも顔だせよ。こんなに手、荒らして。
家事ぐらい、手伝ってやるから。」
「・・・うん・・・。」
遠慮がちに泳ぐ視線を捕まえて、キスをした。
「一人で思い詰めても、いい方向には向いていかないぞ?」
「・・・なんか、すっごく実感込もってるよね・・・。」
「そりゃ、経験者は語る、だからな。」
「ん・・。ありがと。先生。なんだか、ちょっとラクになった。」
やわらかい微笑み。
馬場に向けられるしょうがないなあ。と許すだけの微笑みではなく。
ちょっぴりの照れ臭さを隠すような。
いつも許してばかりの人間が、ほっと一息つけるような安心感を含んだやわらかい微笑み。
自分がこんなふうに誰かを癒すような存在になれるなんて、思ってもいなかった。
頼られる、というものはこんなに心地のよいものだったんだ。
今まで、たくさんの生徒から頼られることはあったけれど。
心を閉ざして、気がつくことができなかった。
「まお・・・。まお・・・。愛してるよ。」
「ん・・・。俺も・・・。」
頬を包み込むと、恥ずかしげに瞳を伏せるけれど。
重ねあった唇は、やわらかく俺を受け入れてくれた。
「・・・コートに立ってる先生の背中を見たときに、胸が打ち抜かれたみたいになったんだ。
気迫みたいなものが違うよな。って感動した。汗がコートに滴るのも、綺麗だな。って思った。
それまでは、みんなが先生のことを好き。な好き。と同じレベルで好き。だったんだと思うけど。
本当はやる気のないみんなのことをうざったく思ってるのかな?とか思うのに、全然そんなこと表情に出さずに熱心に指導してくれて。
なのに、どうしてだかわかんないけど、嫌われてるみたいだったから・・・。どうしていいのか、わかんなくなってきて。」
つらつらと語ってくれる告白を、うん。うん。と相槌を打ちながら聞く。
伝えるだけでいい。と思っていた気持ちだったけれど。
次々に紡がれる言葉が、俺に対しての好意で埋め尽くされている。
「そっか。そっか・・・。ありがとう。」
「でも、そんなカッコいいもんじゃ、ないんだよ?」
理想の俺、というものをわざわざ自分から壊してしまうのもどうか。と思うけれど。
ありのままの自分で愛したい。
お前と同じぐらいの年齢だった頃に犯してしまった失敗。
誰にでも優しいのではなく、誰からも距離を置いていたのだということ。
お前が、感情を取り戻させてくれたこと。
馬場との友情に嫉妬するような、未熟者であること。
「・・・そ、なの?」
「そうだよ。」
「ふふっ。先生も、色々あるんだね。」
「そりゃお前。お前より9年も長生きしてるからな。」
「・・・それに、意外とわかりやすい。」
「・・・だろ?」
先入観を取り除いてしまえば、ストレートなまおへの愛情と、子どもっぽい独占欲だけが残る。
「俺にも、お前の荷物、背負わせてくれるかな?」
「えっ・・・。でも、担任でもないのに。」
「だ~か~ら~~。俺個人として、って言ってるだろ?」
「・・・でした。」
「明日から、ちょこっとでいいから部活にも顔だせよ。こんなに手、荒らして。
家事ぐらい、手伝ってやるから。」
「・・・うん・・・。」
遠慮がちに泳ぐ視線を捕まえて、キスをした。
「一人で思い詰めても、いい方向には向いていかないぞ?」
「・・・なんか、すっごく実感込もってるよね・・・。」
「そりゃ、経験者は語る、だからな。」
「ん・・。ありがと。先生。なんだか、ちょっとラクになった。」
やわらかい微笑み。
馬場に向けられるしょうがないなあ。と許すだけの微笑みではなく。
ちょっぴりの照れ臭さを隠すような。
いつも許してばかりの人間が、ほっと一息つけるような安心感を含んだやわらかい微笑み。
自分がこんなふうに誰かを癒すような存在になれるなんて、思ってもいなかった。
頼られる、というものはこんなに心地のよいものだったんだ。
今まで、たくさんの生徒から頼られることはあったけれど。
心を閉ざして、気がつくことができなかった。
「まお・・・。まお・・・。愛してるよ。」
「ん・・・。俺も・・・。」
頬を包み込むと、恥ずかしげに瞳を伏せるけれど。
重ねあった唇は、やわらかく俺を受け入れてくれた。