「ねえ。大ちゃん。無理してない??」

最近の大ちゃんは、開き直ったかのようにハイテンションで、自然体で、魅力たっぷりなのだけれど。

時々、おれがそうさせているのではないか?と心配になる。


一人でも寂しくない、と言い聞かせているようで。

しんみりすると、おれが心配する、と気を遣っているようで。


もちろん、そんなことは一言も言わない大ちゃん。

いつだって、おれの気がつかないところでさりげなく気を遣っていてくれて、居心地の良さに甘えていた。

だけど、本当は細やかな神経を遣って居心地のよい空間を作り上げてくれていた。


離れて暮らしてみて、初めて気がつく大ちゃんの気配り。




「別に??しっかり寝てるし、食べてるし、元気だぞ?」
「・・・・そ、ゆー意味じゃなくて・・・。」

どんなにおれのために頑張ってくれていても、決して「してやっている。」という押し付けをしない大ちゃん。

おれのため、というのが当たり前のように、自然に。スマートに。



「・・・さみしく、ない?無理して、元気だして、ない??」
「さみしくなんか、ないよ。仕事は充実してるし、大きな舞台控えてるし、まおは、そんなこと心配せずに、自分のやりたいことに専念してればいいから。」


「・・・ん。ありがと。」

そっか。

大ちゃんも、毎日充実してるんだね。



もちろん、それがおれの願いでもあるのだけれど。

寂しがってメソメソしていてほしい訳ではないのだけれど。


「それって、ちょっとだけ、寂しい。」


大ちゃんは、大ちゃんでどこまでも突っ走っていって欲しい気持ちと。
やっぱりどこかで、おれと離れるのが辛くて足踏みしていて欲しい気持ち。

背中合わせになって、どっちが表かわかんない。


「馬鹿だな~~。まお。寂しい。って言葉にしちゃったら、余計に寂しくなるだろ?
平気、平気。毎日楽しい。次に会える日が楽しみ。・・・なっ??」


電話の向こうで、ふふっ。と笑った大ちゃんが明るく言ってくれた一言に心が軽くなった。



「うん。そうだね。寂しくない。明日も一日がんばろーっ!!」
「じゃ、俺も稽古行ってくるわ。」


「うん。いってらっしゃい。」
「いってきます。まお。いい夢みろよ。」


「うん。ありがとお。」


電話越しに、ちゅ。とおやすみのキスをもらって。


ますます輝きを増しているだろう大ちゃんのことを想像しながら、目を閉じるのだった。