ゴロゴロゴロ。ぴかっ!!!

激しい落雷が、窓を揺るがす。


大音量が響くたび、雷光が瞬くたび。

びくうっと肩を震わせる。


「まー・・・おー・・・。」


一人部屋の隅で、じっと丸くなって雷がとおりすぎるのを待つしかない。


いつもなら、まおがぎゅ。と抱き締めて、

「こわくない。こわくない。」っておまじないのように唱えてくれるのに。


もしくは、ぎゅうっと抱き締めて怖さを受け止めてもらう安心抱き枕になってもらうのに。



「うわおっ!!もう、勘弁してくれ~~。」


離れてから、まだ一週間も経っていないというのに。


あんなにかっこつけて「がんばってこい。」なんて送り出したのに。


なんだかなあ。と思いながらも、TELボタンをプッシュする。



「Hello.」

電話の向こうのまおの声にほっとする。


「まお~~。」

この一言で、まおは、全てを理解したみたいだ。

「ふふふっ、なに?大ちゃん。もしかして、雷が怖くて電話してきたの?」

明らかにからかいを含んだ声は、それでもそんなしょうもないことで。とは言わない。
そんなことで、電話してきてくれるのが、嬉しいよ。と言ったような優しさも含んでいる。


「だって、お前、スッゲー激しいんだぞ?多分、警報でてるぞ。これ・・・。」
「そうなんだ。こっちはすっきり青空だよ~~。」


「大丈夫だよ。こわくない。こわくない。
・・・ほら、雨が降ってきた。もうすぐとおりすぎるよ?」

電話越しに聞こえる雨音に耳をすませて、まおがいつものようにおまじないを唱えてくれる。


「大丈夫?眠れる?大ちゃん。」
「んー・・・。そうだな。少し雨も弱まってきたかな・・・。」


値段の高い国際電話で、そうそう気軽に長話をするわけにはいかない。とわかっていても、
ついついいつまでもまおの声を聞いていたい衝動にかられてしまう。


「な・・・。もう少しだけ付き合って?」
「うん。いいよ。」


「愛してるよ。って10回言って?」

ベッドにごろん。と寝転んで、携帯を肩にはさむ。


「愛してるよ。愛してるよ・・・。」


耳に心地よいまおのやわらかい声を聞いているうちに、先程までドキドキと高鳴っていた鼓動が鎮まってゆくのを感じる。


「ん・・・。ありがと。まお。」
「ふふふ。落ち着いた?」

「ああ。すっかり。」
「じゃあ、おやすみなさい。」

「おやすみ。」


ちゅ。ちゅ。と電話越しに、軽いキスを交わす。



もぞもぞともぐりこんだ布団は、ほこほことまおの体温を感じられるような気がした。



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まはさんのコメントより~~。
ま、リアル大ちゃんは、雷なんて怖くないでしょうが。
ガバティーン!の大ちゃんのイメージで^^