気がつけば、後から後から言葉が溢れてきて止まらなかった。
己を苦しめてきた罪悪感と、キラキラと今でも輝いている親友に対する焦りと後ろめたさ。
叫びたいほど苦しいのに、自分より余程薙のほうが苦しいだろう。と思うと吐きだすこともできなかった。
その資格もないと思った。
気の済むまで謝罪することもできず、ただ逃げるしかなかった。
ならばせめて感覚を麻痺させて、新しい人格を作ろう。と決心して、敢えて穢れのない教師という職業を選んだ。
どこかで人と関わることを望んでいたのかもしれない。
生徒からの人気も上々で、上手くこの生活に溶け込めている。と思っていた。
なのに、苦しいほどに心をかき乱だす存在に出会ってしまった・・・。
シャアシャアとうるさく鳴くセミの声に、誰にも聞こえないと安心して。
堰をきったように溢れ出す言葉を、流れるままにして。
頬を伝う熱いものが、何年も流したことのなかった涙だと気がついても。
同性愛で、教え子だというまおに恋をしてしまった。というタブーを口走ってしまっても。
一度箍の外れてしまった感情は抑えることができなかった。
全身から、全ての力が抜け切ったように感じる。
土砂降りの雨が降って、すっかり綺麗に全て洗い流されてしまったようだ。
一気に感情を爆発させたせいで、疲労と軽いめまいを感じるけれど、それは長いラリーを戦いきったあとの爽快感にも似ていた。
「そっか・・・。お前も色々抱えてたんだな。」
タッキーの視線がいつものふざけた調子ではなく、真摯な優しい色を帯びている。
「俺とお前は違うから。本当に理解できるかどうかはわかんないけど・・・。」
そう前ふりをして、ぽつり、ぽつり。とタッキーが独白する。
「俺も高校生の頃、親友と夏休みにバイクで海まで行こうっ!って出かけたことがあってさ。
自分の腕を信じていた俺は、雨上がりの道路のスリップを計算しきれずにカーブを曲がりきれずに転倒したんだ。
ガードレールにしこたま身体をぶつけたのは覚えてるけど、その後記憶を失って・・・。
次に親友と再会したのは、白い布をかけられた顔だったよ。」
淡々と語るタッキーの瞳は、色がないようで寂しげだ。
「お前・・・。」
いつもほわほわと自由に生きているように見えるタッキーからは想像もできないような過去が、彼の口から発せられるのが、信じられない。
淡々とした話方は、いっそ感情をなくしてしまったようで。
それでも空を見上げる顔は、悲しみを知っている者の優しさで満ちている。
「お前は、謝罪することができなかった。と言うけれど、いくらでもやり直せるじゃないか。
ちゃんと立ち直る努力をして、今、きちんと心を動かせるようになったんだろ?
それって、凄いことだと思う。もっと自分の感情を肯定していいよ。」
感情を爆発させた俺とは対照的な、穏やかな口調で諭され。
彼の頬にもまたつーっと透明な雫が伝う。
「そうだよな・・・。辛いこと話させて、すまなかった。」
「・・・いや。俺のほうこそ、久しぶりにアイツのために泣いたよ。」
鼓膜を破るようなうるさいセミの鳴き声も、滝のように流れる汗も。
生きている証拠。
ロボットのように心を閉ざして生きて、どうする?
指先まで血の通った生身の人間だろ??
傷ついても、傷つけられても、前を向いて泥臭く生きて行けよ。
赤く充血したタッキーの瞳が、そう言っているような気がした。
己を苦しめてきた罪悪感と、キラキラと今でも輝いている親友に対する焦りと後ろめたさ。
叫びたいほど苦しいのに、自分より余程薙のほうが苦しいだろう。と思うと吐きだすこともできなかった。
その資格もないと思った。
気の済むまで謝罪することもできず、ただ逃げるしかなかった。
ならばせめて感覚を麻痺させて、新しい人格を作ろう。と決心して、敢えて穢れのない教師という職業を選んだ。
どこかで人と関わることを望んでいたのかもしれない。
生徒からの人気も上々で、上手くこの生活に溶け込めている。と思っていた。
なのに、苦しいほどに心をかき乱だす存在に出会ってしまった・・・。
シャアシャアとうるさく鳴くセミの声に、誰にも聞こえないと安心して。
堰をきったように溢れ出す言葉を、流れるままにして。
頬を伝う熱いものが、何年も流したことのなかった涙だと気がついても。
同性愛で、教え子だというまおに恋をしてしまった。というタブーを口走ってしまっても。
一度箍の外れてしまった感情は抑えることができなかった。
全身から、全ての力が抜け切ったように感じる。
土砂降りの雨が降って、すっかり綺麗に全て洗い流されてしまったようだ。
一気に感情を爆発させたせいで、疲労と軽いめまいを感じるけれど、それは長いラリーを戦いきったあとの爽快感にも似ていた。
「そっか・・・。お前も色々抱えてたんだな。」
タッキーの視線がいつものふざけた調子ではなく、真摯な優しい色を帯びている。
「俺とお前は違うから。本当に理解できるかどうかはわかんないけど・・・。」
そう前ふりをして、ぽつり、ぽつり。とタッキーが独白する。
「俺も高校生の頃、親友と夏休みにバイクで海まで行こうっ!って出かけたことがあってさ。
自分の腕を信じていた俺は、雨上がりの道路のスリップを計算しきれずにカーブを曲がりきれずに転倒したんだ。
ガードレールにしこたま身体をぶつけたのは覚えてるけど、その後記憶を失って・・・。
次に親友と再会したのは、白い布をかけられた顔だったよ。」
淡々と語るタッキーの瞳は、色がないようで寂しげだ。
「お前・・・。」
いつもほわほわと自由に生きているように見えるタッキーからは想像もできないような過去が、彼の口から発せられるのが、信じられない。
淡々とした話方は、いっそ感情をなくしてしまったようで。
それでも空を見上げる顔は、悲しみを知っている者の優しさで満ちている。
「お前は、謝罪することができなかった。と言うけれど、いくらでもやり直せるじゃないか。
ちゃんと立ち直る努力をして、今、きちんと心を動かせるようになったんだろ?
それって、凄いことだと思う。もっと自分の感情を肯定していいよ。」
感情を爆発させた俺とは対照的な、穏やかな口調で諭され。
彼の頬にもまたつーっと透明な雫が伝う。
「そうだよな・・・。辛いこと話させて、すまなかった。」
「・・・いや。俺のほうこそ、久しぶりにアイツのために泣いたよ。」
鼓膜を破るようなうるさいセミの鳴き声も、滝のように流れる汗も。
生きている証拠。
ロボットのように心を閉ざして生きて、どうする?
指先まで血の通った生身の人間だろ??
傷ついても、傷つけられても、前を向いて泥臭く生きて行けよ。
赤く充血したタッキーの瞳が、そう言っているような気がした。