「ほんと、色々あったよなあ。あんなにふわふわでマイペースな京介が、こんなふうに単身海外に留学する。、とか言いだす日がくるとは思わなかったよ。」
「そりゃあ、おれだってもう23歳だもん。」
「お互い大人になったってことだよな。」
「そうだね。」
壮行会なるものを兼ねて、京介が絶対なる信頼を置いている渡辺氏と飲み会をすることになった。
世間からどう思われているかはしならないが、兄の俺が言うのもなんだけどお似合い、な二人だと思う。
かわいくて、どこか頼りなかった京介は、彼と付き合うようになってどんどんしっかり芯の通った男になってきたし。
向こう見ずで頑固だった硬さは、周囲からの助言に耳を傾けつつも自分の主張を貫く強さになった。
芸能界に入って垢抜けた、ばかりではない内面からにじみ出る自信というのか・・・。
充実しているキラキラしたオーラというのが会うたびに増している気がした。
なにより、生まれてからずっと一緒にすごしてきたはずなのに、彼の横だと京介は俺の知らなかった顔をする。
「あの時は、エグかったよね~~。大ちゃん激やせしちゃうしさ。ほんと、心配したよ。」
「それをいうなら、まおも長期ロケから帰ってきたかと思ったら、一回り華奢になってて心配した。」
ふふふ。と彼を見詰めて笑う京介の笑顔は、本当に幸せそうで。
兄の俺が言うのもどうか、と思うけれど、ぺこん。とえくぼができて本当にかわいい。
じっと彼を見詰める視線も、とろけるように甘い。
恋をすると、こんな顔するんだなあ・・・。
なんて、妙に感心してしまったりして。
今まで、「好きな子ができた。」とかって話題になったことはあるけれど、
彼女の前でこんなにもとろとろに甘い顔をする京介を見たことがない。
それだけ、大好きで、愛されてるんだよなあ・・・。
もちろん、カミングアウトされたときは、びっくりもしたけれど。
京介のこの笑顔を見ていると「幸せなんだなあ。」と心底思えて、
恋人なるものが、彼女だろうが、彼氏だろうがどうでもいいと思えてくる。
「そうそう。内緒で大ちゃんとお兄ちゃんが一緒に舞台見にきてくれたときは、一瞬びっくりしすぎてセリフ抜けるかと思ったよ。」
美味しそうに料理に舌鼓を打ちながら、京介の話をさえぎることもなくうんうん。と楽しそうに聞いている。
「でも、いよいよ。なんだよな・・・。」
そう。いよいよ。
まおは、明日日本を出発する。
そうつぶやいた渡辺氏の表情に、ふと懐かしいものを感じた。
誇らしいようで、清清しいようで。
なのに、少しの寂しさを滲ませた・・・・。
それは、京介が離れてしまう、ということに対するものなのだろう。
生まれたときからずっと一緒で。
俺が野球をしていれば、自分もする!とくっついてきて。
部活でテニスを始めれば、「僕もやりたい!」といつも背中を追いかけてきて、
真似っこしていた。
同じ学校に通って、同じ習い事をして。
ケンカしながらも、ずっとこんなふうに同じ道を歩んでいくんだ。と子どもだった俺は漠然と思っていた。
けれど。
「芸能界の仕事がしてみたい。」
と、高校受験を前に、急に自己主張しだした京介。
反対するとか、しないとか。ではなく、
「自分の手を離れてゆく。ってこういうことか・・・。」
って、「子どもの手が離れると、寂しい。」とよく大人が言う気持ちがわかる気がした。
本気で夢を追いかけることが、素晴らしい。と誇らしく思う反面、
自分の知らない世界に飛び込んでゆく背中を見送る寂しさと心配。
複雑だよな。
そう思うと、何か言わずにはいられなかった。
「半年なんて、あっと言う間ですよ。俺なんて、京介がオムツしてたのが昨日のことのようですから。」
「あっ。1年しか違わないのに、兄貴面なんだ~~。」
「一年でも、兄は兄だろ?それに、お前のトイレによく付き合わされたからな~~。」
「だって、それは兄ちゃんが一人で行くの怖がるから・・・。」
あははっ。と俺たちの会話を聞いていた渡辺氏が声を立てて笑う。
「そうだよなっ。俺も、緊張がちがちで人見知りしていたまおが、こんなに成長して・・。って思うもん。
6年間もあっと言う間だった!」
京介の背中をばしっ!と叩きながら、破顔する渡辺氏の笑顔と、
「痛いよ。大ちゃん。」
と、文句を言いながらも嬉しそうな京介の顔を見て、
「この二人なら大丈夫。」
そう、改めて思うのだった。
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ちょっと明るめバージョン??
大好きな兄目線です^^
「そりゃあ、おれだってもう23歳だもん。」
「お互い大人になったってことだよな。」
「そうだね。」
壮行会なるものを兼ねて、京介が絶対なる信頼を置いている渡辺氏と飲み会をすることになった。
世間からどう思われているかはしならないが、兄の俺が言うのもなんだけどお似合い、な二人だと思う。
かわいくて、どこか頼りなかった京介は、彼と付き合うようになってどんどんしっかり芯の通った男になってきたし。
向こう見ずで頑固だった硬さは、周囲からの助言に耳を傾けつつも自分の主張を貫く強さになった。
芸能界に入って垢抜けた、ばかりではない内面からにじみ出る自信というのか・・・。
充実しているキラキラしたオーラというのが会うたびに増している気がした。
なにより、生まれてからずっと一緒にすごしてきたはずなのに、彼の横だと京介は俺の知らなかった顔をする。
「あの時は、エグかったよね~~。大ちゃん激やせしちゃうしさ。ほんと、心配したよ。」
「それをいうなら、まおも長期ロケから帰ってきたかと思ったら、一回り華奢になってて心配した。」
ふふふ。と彼を見詰めて笑う京介の笑顔は、本当に幸せそうで。
兄の俺が言うのもどうか、と思うけれど、ぺこん。とえくぼができて本当にかわいい。
じっと彼を見詰める視線も、とろけるように甘い。
恋をすると、こんな顔するんだなあ・・・。
なんて、妙に感心してしまったりして。
今まで、「好きな子ができた。」とかって話題になったことはあるけれど、
彼女の前でこんなにもとろとろに甘い顔をする京介を見たことがない。
それだけ、大好きで、愛されてるんだよなあ・・・。
もちろん、カミングアウトされたときは、びっくりもしたけれど。
京介のこの笑顔を見ていると「幸せなんだなあ。」と心底思えて、
恋人なるものが、彼女だろうが、彼氏だろうがどうでもいいと思えてくる。
「そうそう。内緒で大ちゃんとお兄ちゃんが一緒に舞台見にきてくれたときは、一瞬びっくりしすぎてセリフ抜けるかと思ったよ。」
美味しそうに料理に舌鼓を打ちながら、京介の話をさえぎることもなくうんうん。と楽しそうに聞いている。
「でも、いよいよ。なんだよな・・・。」
そう。いよいよ。
まおは、明日日本を出発する。
そうつぶやいた渡辺氏の表情に、ふと懐かしいものを感じた。
誇らしいようで、清清しいようで。
なのに、少しの寂しさを滲ませた・・・・。
それは、京介が離れてしまう、ということに対するものなのだろう。
生まれたときからずっと一緒で。
俺が野球をしていれば、自分もする!とくっついてきて。
部活でテニスを始めれば、「僕もやりたい!」といつも背中を追いかけてきて、
真似っこしていた。
同じ学校に通って、同じ習い事をして。
ケンカしながらも、ずっとこんなふうに同じ道を歩んでいくんだ。と子どもだった俺は漠然と思っていた。
けれど。
「芸能界の仕事がしてみたい。」
と、高校受験を前に、急に自己主張しだした京介。
反対するとか、しないとか。ではなく、
「自分の手を離れてゆく。ってこういうことか・・・。」
って、「子どもの手が離れると、寂しい。」とよく大人が言う気持ちがわかる気がした。
本気で夢を追いかけることが、素晴らしい。と誇らしく思う反面、
自分の知らない世界に飛び込んでゆく背中を見送る寂しさと心配。
複雑だよな。
そう思うと、何か言わずにはいられなかった。
「半年なんて、あっと言う間ですよ。俺なんて、京介がオムツしてたのが昨日のことのようですから。」
「あっ。1年しか違わないのに、兄貴面なんだ~~。」
「一年でも、兄は兄だろ?それに、お前のトイレによく付き合わされたからな~~。」
「だって、それは兄ちゃんが一人で行くの怖がるから・・・。」
あははっ。と俺たちの会話を聞いていた渡辺氏が声を立てて笑う。
「そうだよなっ。俺も、緊張がちがちで人見知りしていたまおが、こんなに成長して・・。って思うもん。
6年間もあっと言う間だった!」
京介の背中をばしっ!と叩きながら、破顔する渡辺氏の笑顔と、
「痛いよ。大ちゃん。」
と、文句を言いながらも嬉しそうな京介の顔を見て、
「この二人なら大丈夫。」
そう、改めて思うのだった。
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ちょっと明るめバージョン??
大好きな兄目線です^^