「ただいま。」
行き先を告げずに外出して、玄関を開けて帰ってきたまおは、こざっぱりとした頭をしていた。
こんなに短髪にしたまおは、見たことがない。
「どうしたんだ?えらくさっぱりして。」
「うん。願掛け。」
「願掛けって、お前、失恋とかしたときに普通切るんじゃないのか?」
「いつの時代だよ~~。それ。」
ぷぷっと、まおが笑う。
「失恋なんて、するわけないでしょ?それとも、してるの?俺。」
「いいや。するわけない。」
留学しても、どんなに遠距離恋愛になっても、ずっとずっと愛してるよ。
と、お互いに毎日のようにささやいてきたのだ。
距離が愛を冷めさせる。なんてこと、ありえっこない。
むしろ、隣にいるのが当然だった今までがどれだけ幸せだったか確認しあい。
これからは、もっともっと積極的に愛し合おう。とお互いに気持ちを伝え合う努力を今まで以上にしてきた。
距離が問題なのではない。
いくらヒトツ屋根の下に住んでいても、仕事でいっぱいいっぱいでお互いを思いやる余裕のない日々もあった。
つまらない誤解で、勝手に傷ついて心がざらついて傷つけてしまったこともあった。
いつでも隣にいてくれるだろう?という甘えがどこかにあって、長い付き合いの間には、
お互いに愛を伝え合うことを怠けていた時代もあった。
もちろん、それは絶対に自分のところに戻ってくる。
何気なく過ごしていても、離れることはない。という安心感からなのだが。
裏を返せば、「逃げることはないだろう。」という傲慢な気持ちでもあった。
そのたびに、お互いを挑発するように他の友人と必要以上にべったりしてみたり、
他に恋人がいる。とほのめかしてみたり。
気持ちは、ここにしかないのに。
まおが留学する。
そう決まってから、お互いにそんな駆け引きめいたことをしなくなった。
隣にいるのが当たり前ではない。
毎日精一杯愛を伝え合って、全身に満ち満ちるようにしよう。
離れていても、信じあえるように。
ぱんぱんに風船が膨らんで、破裂しそうなぐらいに詰め込んでおこう。
そして、風船が少しでもしぼみかけてしまったなら、この青い空を抜けて会いに行こう。
そんな思いで、この数ヶ月を過ごしてきた。
当たり前に向かい合ってとる朝食も。
お互いの存在を感じながらソファでゴロゴロする時間も。
狭い風呂で窮屈な思いをする時間も。
何より、この腕にまおを抱いて寝るぬくもりと安心を。
細胞のヒトツ・ヒトツにまで刻み付けておこう。
お前の笑顔を、胸いっぱいに刻み付けておこう。
そうして、お前にも俺の愛と笑顔が心に残るように。
向こうに行っても、元気いっぱいに笑ってがんばれるように。
たくさん、たくさん注ぎ込んでおこう。
「いよいよ。だからね。髪の毛の伸びた分だけ、がんばれた。と思うようにする。」
「そっか。」
まおの髪の毛に指を絡ませると、するんっ!とすぐに抜けてしまうぐらいの短さにカットされている。
なんだか、心もととないぐらいだ。
「で、切りたいぐらいまで伸びたら、よくがんばったな。って自分で褒めてあげるの。
そのときには、AXYさんで切ってもらうために帰国するからね。大ちゃんもがんばったな。って髪の伸びたおれの頭撫でてね。」
「ああ・・・。ああ・・・。」
ね?とおねだりするまおの瞳は、まっすぐで澄んでいる。
あまり、努力を認めてくれ。という甘えたかのしないまおが、珍しく言葉にした願掛け。
「一回り成長して、髪も伸びたお前の姿を楽しみにしてるぞ?」
「うん・・・。」
こつん、と額をぶつけあって、こざっぱりした小さい頭を撫でながら、もうすぐ旅立ってしまう恋人の身体を抱き締めるのだった。
「待ってるからな。まお。」
「うん・・・。うん・・・。」
やわらかな香りと、愛おしい体温。
俺の全身へと告ぐ。
五感の全てで、まおのことを記憶しておけ。
俺の全てよ。
まおの中に入りこんで、いつでも側にいてくれ。
----------------------------------------------------
切なくは、ないのよ??
ただ信じてる大まぉさんをかきたかっただけなの~~。
だけど、何だか最後のほう涙でそうだった・・・・WW
行き先を告げずに外出して、玄関を開けて帰ってきたまおは、こざっぱりとした頭をしていた。
こんなに短髪にしたまおは、見たことがない。
「どうしたんだ?えらくさっぱりして。」
「うん。願掛け。」
「願掛けって、お前、失恋とかしたときに普通切るんじゃないのか?」
「いつの時代だよ~~。それ。」
ぷぷっと、まおが笑う。
「失恋なんて、するわけないでしょ?それとも、してるの?俺。」
「いいや。するわけない。」
留学しても、どんなに遠距離恋愛になっても、ずっとずっと愛してるよ。
と、お互いに毎日のようにささやいてきたのだ。
距離が愛を冷めさせる。なんてこと、ありえっこない。
むしろ、隣にいるのが当然だった今までがどれだけ幸せだったか確認しあい。
これからは、もっともっと積極的に愛し合おう。とお互いに気持ちを伝え合う努力を今まで以上にしてきた。
距離が問題なのではない。
いくらヒトツ屋根の下に住んでいても、仕事でいっぱいいっぱいでお互いを思いやる余裕のない日々もあった。
つまらない誤解で、勝手に傷ついて心がざらついて傷つけてしまったこともあった。
いつでも隣にいてくれるだろう?という甘えがどこかにあって、長い付き合いの間には、
お互いに愛を伝え合うことを怠けていた時代もあった。
もちろん、それは絶対に自分のところに戻ってくる。
何気なく過ごしていても、離れることはない。という安心感からなのだが。
裏を返せば、「逃げることはないだろう。」という傲慢な気持ちでもあった。
そのたびに、お互いを挑発するように他の友人と必要以上にべったりしてみたり、
他に恋人がいる。とほのめかしてみたり。
気持ちは、ここにしかないのに。
まおが留学する。
そう決まってから、お互いにそんな駆け引きめいたことをしなくなった。
隣にいるのが当たり前ではない。
毎日精一杯愛を伝え合って、全身に満ち満ちるようにしよう。
離れていても、信じあえるように。
ぱんぱんに風船が膨らんで、破裂しそうなぐらいに詰め込んでおこう。
そして、風船が少しでもしぼみかけてしまったなら、この青い空を抜けて会いに行こう。
そんな思いで、この数ヶ月を過ごしてきた。
当たり前に向かい合ってとる朝食も。
お互いの存在を感じながらソファでゴロゴロする時間も。
狭い風呂で窮屈な思いをする時間も。
何より、この腕にまおを抱いて寝るぬくもりと安心を。
細胞のヒトツ・ヒトツにまで刻み付けておこう。
お前の笑顔を、胸いっぱいに刻み付けておこう。
そうして、お前にも俺の愛と笑顔が心に残るように。
向こうに行っても、元気いっぱいに笑ってがんばれるように。
たくさん、たくさん注ぎ込んでおこう。
「いよいよ。だからね。髪の毛の伸びた分だけ、がんばれた。と思うようにする。」
「そっか。」
まおの髪の毛に指を絡ませると、するんっ!とすぐに抜けてしまうぐらいの短さにカットされている。
なんだか、心もととないぐらいだ。
「で、切りたいぐらいまで伸びたら、よくがんばったな。って自分で褒めてあげるの。
そのときには、AXYさんで切ってもらうために帰国するからね。大ちゃんもがんばったな。って髪の伸びたおれの頭撫でてね。」
「ああ・・・。ああ・・・。」
ね?とおねだりするまおの瞳は、まっすぐで澄んでいる。
あまり、努力を認めてくれ。という甘えたかのしないまおが、珍しく言葉にした願掛け。
「一回り成長して、髪も伸びたお前の姿を楽しみにしてるぞ?」
「うん・・・。」
こつん、と額をぶつけあって、こざっぱりした小さい頭を撫でながら、もうすぐ旅立ってしまう恋人の身体を抱き締めるのだった。
「待ってるからな。まお。」
「うん・・・。うん・・・。」
やわらかな香りと、愛おしい体温。
俺の全身へと告ぐ。
五感の全てで、まおのことを記憶しておけ。
俺の全てよ。
まおの中に入りこんで、いつでも側にいてくれ。
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切なくは、ないのよ??
ただ信じてる大まぉさんをかきたかっただけなの~~。
だけど、何だか最後のほう涙でそうだった・・・・WW