やわらかな朝の光に目が覚めた。
ふと、目を開けると大ちゃんの腕が、僕を優しく包んでくれている。
もぞ。と身じろぎすれば、「ん・・・。」と小さく呻いて、ぎゅっと僕を抱く腕に力が入る。
目の前にあるすうっと通った鼻梁を指先でたどると、うっすらと大ちゃんが目を開けた。
いつもの日常が始まる。
「・・・おはよ。まお。」
「・・・おはよう。大ちゃん。」
いつも交わしている挨拶が、なんだか今日は気恥ずかしい。
ぴっとりと包み込まれているのはいつもと同じだけれど、今日は大ちゃんの部屋のベッドじゃないから。
お盆休み前に、大ちゃんの実家に行ってきちんと挨拶をしてきて。
今度は留学前に、どうしても。って僕の家族に紹介した。
あ。もちろん、俳優渡辺大輔としてではなく、僕の大切な人として。ね?
「お前は芸能界を辞めたから自分の責任で、決めなさい。」と父さんは言ってくれて。
お母さんは、「最初から貴方は彼しか見てなかったものね。よかったね。恋が実って。」と、祝福してくれて。
兄は「たまには実家帰ってこいよ。」と、笑っていた。
大ちゃんが、「お前の家族と過ごしたい。」って言ってくれて、昨日はそのまま実家のほうに泊まることになった。
いつものダブルベッドじゃなくて、床に敷いたお布団で目覚める朝。
もちろん僕が使っていたベッドもあったんだけど、シングルだし、家族の手前ヒトツのベッドで。ってゆーのも気後れするしね。と、床にお布団を敷いていたのだ。
最初は床でおとなしくしていた大ちゃんだけれど、
「・・・まお。寝たのか?」
「ん・・・。まだ・・。なんか、嬉しすぎて、興奮して眠れない・・・。」
と、つぶやくと、あっと言う間にベッドからひきずりおろされて、布団の中に抱きこまれた。
「なんで、そんなかわいいこと言うかなあっ!!」
「えっ。ちょ。まっ・・・。大ちゃん、ここ、実家・・・。」
なんて言っている僕のくちびるをあっと言う間に塞いで、からだじゅうに口づけられた。
ま、さすがに常識人の大ちゃんは、それ以上、をしかけてくることはなくてほっとしたけど。
ぎゅっと抱き締めてくれた腕が微かに震えていたことも、胸の鼓動がいつもより速かったことも。
太ももに当たるソレ、が熱をもってたことも知っているけどね。
うん。
すっごく緊張して、許されて嬉しくて。
大ちゃんだって、眠れなかったんだよね。
そうして、願わくば、このままカラダを繋げてお互いの思いを共有してしまいたいけれど。
きとんと家族の中での僕の立場、というものを守ってくれてるんだよね。
許してもらうだけもらったら、家に帰って抱き合うことだってできたのだけれど。
留学前に家族との時間も大切にしたいだろ?
と、ふわ。と微笑んでくれた大ちゃん。
お前の大切な家族は、俺の大切な存在でもあるんだからな。
と、共に過ごしたい。と自分から言ってくれた。
「・・・大ちゃん・・・。」
「・・・ん?」
「・・・・大好き。」
「ん。」
もぞもぞと、居心地のよい腕の中にもぐりこむと、優しく頭を撫でてくれる。
「これからも、よろしくお願いします。」
「・・・なんか、新妻みたいな挨拶だな。」
くすっ。と大ちゃんが笑う。
からかいを含んだ笑いじゃないことが、目尻が下がっているのと必要以上にせわしなくなる腕の動きでわかる。
照れ隠しをするときの大ちゃんは、いつもそう。
「・・・ちがうの?」
「いいや。違わない。幸せにするよ。まお。」
ちゅ。ちゅ。と幸せを確かめるように何度もキスをする。
いつもと同じ日常。
だけど、確かに僕たちの関係は今までよりも確かなものになり。
大ちゃん。と呼ぶたびに、更に甘やかなトキメキを覚えるのだった。
---------------------------------------------------------
なんだか、とおっても久しぶりにお話かいたので、変な感じ・・・。
大まおになってるといいのですが(笑)