「夏、と言えば??」
「花火大会??」

なかば、誘導されるように答えたのだけれど。

やっぱ、夏はお化け屋敷でしょーっ!!!

や、夏のデートコースといえば、が正確なところなのだけれど。


くふふふふ。

やっぱ、歩くタイプだよなっ!!
で、怖がるまおにしがみついてもらって、「大丈夫だよ。」って、肩なんて抱いちゃったりして。
なんなら暗闇に紛れて「ほら。怖くない。」なーんて、キスなんてしちゃったりして。

そしたら、まおがきっと頬を染めながら(あ、暗くて見えないからあくまで雰囲気ね。ちょっと体温があがる感じ)
「大ちゃん・・・。やっぱり、カッコいい・・・。」

なーんて、ぎゅってしがみついてきたりするんだろーなー・・・。



「大ちゃん??大ちゃんってばっ!!」

・・・はっ。いかん。いかん。楽しい妄想にふけってしまっていた。

久々にどこかにゆっくり二人っきりでデートしよう。と予定を立てていたのだった。


「遊園地は暑すぎるから、熱中症になりそうだよねー・・・。」
「や。そんなことないぞ??ほら。あちこちにミストシャワーがあって熱中症対策もばっちりだ!!」

「プールとかも楽しそうだよねーっ!!」
「あー・・。それも捨てがたい。けど、俺ジムで泳いでるしな~~。それに、水着なんかでうろうりされたら、テントの中に押し込んで、バスタオルでぐるぐる巻きにしちゃいそうだ。俺・・・・。」

「えーっ!!そんなの楽しくないじゃん。」
「だって、お前。夏のレジャープールだぞっ!?人だかりだぞっ!!ぶつかり放題、痴漢し放題じゃないかっ!!」

「痴漢って・・・・。大ちゃん・・・。」
「男なんだから、そんなことされないよお。って言うつもりだろ??まおは、自分がどれだけ色気垂れ流しなのか自覚がなさすぎるっ!!」

「・・・や。それ、大ちゃんに言われたくないよ・・・。」
「いいのっ。俺のは触られるほうじゃなくて、触るほう・・・。や。そういう問題じゃなくてっ!!」


こんな調子ですぐに話が脱線してしまい、なかなか話がまとまらない。


「あっ。これ、どう??本格ホラー。リアルすぎて、今夜貴方は眠れない。だって~~。」

ガイドブックをパラパラとめくりながらまおが指差したアトラクションは、念願のお化けや屋敷ではないかっ!!

・・・ん?本格派??
リアルすぎて・・・??

そこまで、求めてないんだが。

単に、まおがきゃあきゃあ怖がって抱きついてくれれば、いいだけで・・・。



少しだけ、嫌な予感がしながら、念願のお化け屋敷へと向かう。

「ぎゃーーーっ!!うわああ!!」

と、何とも色気のない叫び声が屋敷の中から聞こえて来る。
「待ち時間の間にどうぞ。貴方も10分でリアルなゾンビに・・・。」
と、かかれたコーナーには、リアルすぎるボディペインティングをした若者たちが、きゃっきゃ言いながらはしゃいでいる。

いやいや。俺は俳優だ。

どんなにリアルなゾンビに扮した俳優が襲ってこようとも、冷静に演技力を分析してだな・・・。

列が短くなるにつれて、ドキドキと早くなる鼓動をたしなめる。


「もうすぐだよっ!!楽しみだねーっ。」

前の列を覗き込んだり、「今、並んでるとこ。」なんて、ラインでのやりとりにいそしむまお。

なんか、余裕だな。お前・・・。


忘れていたけれど。

まおは絶叫マシーンにも強いし、バーチャルでリアル体験をしている分、俺よりも恐怖心というものが薄い気がする。


真っ暗な空間に「次の人、どうぞ~~。」と目の前の鎖を外されながら、期待と後悔が入り混じる。


本物の人間が演じるお化け屋敷は、素晴らしい美術さんの力作と、しっかりお金をかけた効果音と、
予想できない展開と、熱のこもったゾンビさんたちにより。


「うわああああ。」って本気でびびってしまって。


まおも、「うわあああっ。こわいっ!!」って言いながらもしっかり俺の手を握ってくれていて。
俺も、まおの手を握り返しながら、まおにひっぱってもらうようにして出口までたどり着いた。

・・・ん??

まおに手を握ってもらって??

違うだろーっ!!!俺が、「怖くないだろ?」って肩を抱くんだろーっ!!


全力疾走で襲いくいるゾンビから逃げてきて、はあ。はあ。と荒い息をつく。

あまーいお化け屋敷デートが本気でびびりまくるデートになってしまった・・・。



・・・・やっぱり、夏は花火大会だっ!!!



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BACSをみていて、お化け屋敷だったら、いちゃいちゃできるのにね^^
と思ったけれど、まおのほうがお化け屋敷強そうだよね・・・。ってことで^^

では、花火大会に行ってきます~~!!!