「ま~おっ。まおってば・・・・。ありゃりゃ。寝ちゃったのか・・・。」

ただいま、を言っているのに返事がないから、靴を脱ぎながら何度も名前を呼ぶ。

リビングに大の字に寝転んで、トランクを足才台にして、すーぴーと寝息を立てている。


「荷造りしてるうちに、疲れちゃったんだな。」

ころん。と足に何かが当たる。

拾い上げると、黄色いあひるちゃん。

よくよく見ると、あちらこちらにあひるちゃんが転がっている。


「こんなに大量にどうすんだ??」


まおの足をよいせっ!とトランクから降ろすと、ぱかっと開いたケースからもコロコロとあひるちゃんが転がり落ちる。

なんとなく、起こすのも可哀想な気がして、メシを諦めてまおの顔の側に黄色いあひるちゃんを並べる。


「ふふふ。かわいい・・・。」


癒されるあひるに囲まれて、まおの可愛さが100倍際立つではないか。


「んん・・・。大ちゃん・・・・。」


コロン。と寝返りをうって、あひるちゃんの中に顔を突っ込む。


まおまおまお・・・・。

たくさんのあひるちゃんが、構ってよ~~。ってまおの周りに集まっているみたいだ。


「・・・ん・・・。あれ?大ちゃん??」


クーラーを効かせたままうたたねはマズイだろう。
渡航前の身なのに。

そう思って、かけてやった毛布に気がついて、まおが目を覚ます。


ふわわ。とあくびをしながら、目をこするしぐさがやっぱりかわいい。


「・・・こんなに大量のあひるちゃん、どうしたんだ??」
「んー・・・。一人でお風呂入るの寂しいかなあ?と思って・・・。」


「わざわざ日本から持っていかなくても、いいだろう?」
「だって、あっちにもあるのかわからないし。なんか、表情とか微妙に違いそうだし。」


嬉しそうに、床に散らばったあひるちゃんを並べていたまおが、いくつかを両手に抱えて俺に差しだす。


「ほらっ。これ、半分は大ちゃんの分だからねっ!!」
「・・・えっ?俺の??」

「俺が留学しちゃったら、大ちゃんだって一人でお風呂寂しいでしょ??」
「そりゃ、そうだけど・・。31にもなった男が一人であひる風呂って・・・。」

「寂しくないの??大ちゃん・・・。」

うるうる。

両手にあひるを抱えたまま、まおが瞳を潤ませる。

・・・やばい。これはいつものパターンだ。


「・・・・や、寂しいよ?まおがいなくなったら、一人でお風呂に入れないよ。」
「でしょーっ!!!じゃあ、この子たちと毎日一緒に入ってね。・・・あ。ちゃんと証拠の写メ送ってよ~~。」

一気に、きらきらっとした笑顔になるまお。

ほんと、演技派だよな・・・。お前・・・・。


「・・・わかったよ。」


男。渡辺大輔。31歳。

毎日大量のあひるちゃんと一緒に風呂に入っています。


あ。断じて、俺の趣味じゃないので、そこのところ誤解しないようにっ!!



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アメンバーさんがかいてくださっていたイラストがあまりにも可愛かったので、こんな妄想////