「そろそろ、ごはんにする?京介?」
「あ・・。うん。わかった。キリがいいところまでできたら行くね。」
あれから、相変わらずお隣同士の生活を続けている。
違ったのは、俺の部屋は学生の分際で贅沢にもアトリエと化し、
彼と俺の二人分のシーズオフの洋服やら日常使わない物置場になっている。
最初は、光熱費やら食費やら・・・と気を使ったけれど、
「そんなの一人も二人も変わらないし、反対にこうしたほうが部屋が広く使えるし、すっきりして嬉しい。」
と、渡辺さんに言ってもらった。
なので。
俺の部屋は機能重視で使いやすさを追求して、
彼の部屋は無機質なモノは疲れる。という彼の意見と、俺の好みからどっしりした陶器の食器だったり、ブロンズ製のアクセサリー置きだったり、ラタンのイスだったりと、
落ち着いたダークブラウンの色調で統一して、アジアンリゾートな雰囲気を味わえるようにしている。
一人だったら、絶対にしなかったようなガラスのボウルにデンファレの花を浮かべてみたりね。
こういうのを、贅沢な生活って言うんだろうなあ。って思う。
決して六本木の高級マンションではない、静かな住宅地にあるありふれたマンションの2LDKだけど。
生活を愉しむってこういうことなんだ。
考えて、無理にひねり出した頃とは違う、アソビゴコロというか、余裕というか。
最近の俺の作品は、技巧に懲りすぎてなくて、毎日眺めていても飽きない。ほっとする。
って評価されるようになった。
以前は、自分の持っている知識も技術も全て見せなきゃっ!!っていう気負いがあったけれど、
彼と過ごすようになってから、自然にこういうモノに囲まれていたいな。
と思いつくままにデザインできるようになった。
・・・ま、一番の変化は。
広告デザインを目指していた俺だけれど、建築関係の渡辺さんと話しているうちに、彼のデザインした家の内装や、インテリアを担当してみたい。って夢が膨らんできて、今はそっちの方面で目下修行中。
学部転向までしてしまった。
・・・本当に、未来ってわからないものだ。
たった一人との出会いで、こんなにも未来が変わってゆく。
でも、それはあくまでも俺が望んだことであり、夢の実現という意味で変わりはない。
決して、恋心に流されて妥協したわけではない。という自信もあるから、揺らがないで彼の隣で生きてゆける。
もちろん、お互いに悩んで苦しんで、やっと結ばれて。
深い愛情で信頼しあっているから、浮気の疑惑すらもったことはないけれど。
彼のために自分を押し殺して、無理に合せていたのだったら、
「もし、別れがきたら、自分と言う存在はどうなってしまうのだろう??」と毎日びくびくしながら生きていかなければならなかっただろう。
隣の住人に恋をしました。
運命のいたずらで、うんと年が離れている上に、同性の男の人でした。
何度も諦めようとしたけれど、感情というものは止めなれないもので、
押し殺そうとするほどますます好きになってしまいました。
始めから両思いだったのに、お互いに勇気が持てずに、すれ違いを続けていました。
でも、今ならわかります。
あのすれ違いの日々も、必要なことだったのだと。
恋人ではなく、人間として、お互いに魅力を感じ、尊敬し、それでも色あせない気持ちだということを確認できたから。
彼に追いつこうと、魅力のある人間になろうと、努力できたから。
そして、彼が建築関係で、俺が美大生だったことも、全て運命に見せかけた必然だったのだと。
もし、違う道を選んでいたら。
今。という時間は存在しなかったのだろう。
彼を想ってスケッチを書き溜めることもなかったのだから・・・。
「さて。食べようか?」
「・・・ごめんね。最近、作ってもらってばっかりで。」
俺だって、家事もできるようになりたい!!役に立ちたい!といつもは分担しているのだが、
課題の締め切りが迫っているのだ。
「気にするな。俺は、鑑賞専門だからなー・・・。これ、いいデザインだなあ。って集めるのは好きだけど、
お前みたいに造り出すほうは、全く・・・。だからな。尊敬するよ。」
「そんなこと、ないよっ。渡辺さんのアイデア、いつも斬新でそれでいて動線とか考えてあって凄いなーっ!!って尊敬するもん。」
いつもこの話をするとキリがない。
毎日一緒に過ごしていても、新たに惚れ直すような出来事ばかりなのだ。
・・・嬉しいことに、彼から見たら平凡そのものだと思っていた俺のことも、
「こんなところが凄い。尊敬する。大好き。」
って毎日言ってくれるお陰で、彼の隣にいる自信が持ててきた。
「これ、美味しいねえ・・・。新作品??」
「・・・ん?ああ。ちょっと珍しい香辛料売ってたから試してみた。口にあって良かったよ。」
彼の優しい笑顔を一人占めして、食べる夕食は、とびきりのご馳走だ。
もう、一人っきりで食べるコンビ二弁当には戻れないな・・・。
「あ・・。うん。わかった。キリがいいところまでできたら行くね。」
あれから、相変わらずお隣同士の生活を続けている。
違ったのは、俺の部屋は学生の分際で贅沢にもアトリエと化し、
彼と俺の二人分のシーズオフの洋服やら日常使わない物置場になっている。
最初は、光熱費やら食費やら・・・と気を使ったけれど、
「そんなの一人も二人も変わらないし、反対にこうしたほうが部屋が広く使えるし、すっきりして嬉しい。」
と、渡辺さんに言ってもらった。
なので。
俺の部屋は機能重視で使いやすさを追求して、
彼の部屋は無機質なモノは疲れる。という彼の意見と、俺の好みからどっしりした陶器の食器だったり、ブロンズ製のアクセサリー置きだったり、ラタンのイスだったりと、
落ち着いたダークブラウンの色調で統一して、アジアンリゾートな雰囲気を味わえるようにしている。
一人だったら、絶対にしなかったようなガラスのボウルにデンファレの花を浮かべてみたりね。
こういうのを、贅沢な生活って言うんだろうなあ。って思う。
決して六本木の高級マンションではない、静かな住宅地にあるありふれたマンションの2LDKだけど。
生活を愉しむってこういうことなんだ。
考えて、無理にひねり出した頃とは違う、アソビゴコロというか、余裕というか。
最近の俺の作品は、技巧に懲りすぎてなくて、毎日眺めていても飽きない。ほっとする。
って評価されるようになった。
以前は、自分の持っている知識も技術も全て見せなきゃっ!!っていう気負いがあったけれど、
彼と過ごすようになってから、自然にこういうモノに囲まれていたいな。
と思いつくままにデザインできるようになった。
・・・ま、一番の変化は。
広告デザインを目指していた俺だけれど、建築関係の渡辺さんと話しているうちに、彼のデザインした家の内装や、インテリアを担当してみたい。って夢が膨らんできて、今はそっちの方面で目下修行中。
学部転向までしてしまった。
・・・本当に、未来ってわからないものだ。
たった一人との出会いで、こんなにも未来が変わってゆく。
でも、それはあくまでも俺が望んだことであり、夢の実現という意味で変わりはない。
決して、恋心に流されて妥協したわけではない。という自信もあるから、揺らがないで彼の隣で生きてゆける。
もちろん、お互いに悩んで苦しんで、やっと結ばれて。
深い愛情で信頼しあっているから、浮気の疑惑すらもったことはないけれど。
彼のために自分を押し殺して、無理に合せていたのだったら、
「もし、別れがきたら、自分と言う存在はどうなってしまうのだろう??」と毎日びくびくしながら生きていかなければならなかっただろう。
隣の住人に恋をしました。
運命のいたずらで、うんと年が離れている上に、同性の男の人でした。
何度も諦めようとしたけれど、感情というものは止めなれないもので、
押し殺そうとするほどますます好きになってしまいました。
始めから両思いだったのに、お互いに勇気が持てずに、すれ違いを続けていました。
でも、今ならわかります。
あのすれ違いの日々も、必要なことだったのだと。
恋人ではなく、人間として、お互いに魅力を感じ、尊敬し、それでも色あせない気持ちだということを確認できたから。
彼に追いつこうと、魅力のある人間になろうと、努力できたから。
そして、彼が建築関係で、俺が美大生だったことも、全て運命に見せかけた必然だったのだと。
もし、違う道を選んでいたら。
今。という時間は存在しなかったのだろう。
彼を想ってスケッチを書き溜めることもなかったのだから・・・。
「さて。食べようか?」
「・・・ごめんね。最近、作ってもらってばっかりで。」
俺だって、家事もできるようになりたい!!役に立ちたい!といつもは分担しているのだが、
課題の締め切りが迫っているのだ。
「気にするな。俺は、鑑賞専門だからなー・・・。これ、いいデザインだなあ。って集めるのは好きだけど、
お前みたいに造り出すほうは、全く・・・。だからな。尊敬するよ。」
「そんなこと、ないよっ。渡辺さんのアイデア、いつも斬新でそれでいて動線とか考えてあって凄いなーっ!!って尊敬するもん。」
いつもこの話をするとキリがない。
毎日一緒に過ごしていても、新たに惚れ直すような出来事ばかりなのだ。
・・・嬉しいことに、彼から見たら平凡そのものだと思っていた俺のことも、
「こんなところが凄い。尊敬する。大好き。」
って毎日言ってくれるお陰で、彼の隣にいる自信が持ててきた。
「これ、美味しいねえ・・・。新作品??」
「・・・ん?ああ。ちょっと珍しい香辛料売ってたから試してみた。口にあって良かったよ。」
彼の優しい笑顔を一人占めして、食べる夕食は、とびきりのご馳走だ。
もう、一人っきりで食べるコンビ二弁当には戻れないな・・・。