何度か来た事のある部屋だけれど、今日はいつもと景色が違って見える。
新しい関係がスタートする。
どうなんだろう??と探り続けてきた気持ちがゆらゆらとずっと不安定に揺れ続けていたけれど、
やっと安定して包み込まれているような感覚。
そう。今、彼が俺を抱き締めてくれているように・・・。
こんなにも人のぬくもりというものは、温かかったのか。
手を伸ばし続けていたのに、押し殺さなければならなかった感情は、こんなにも抱き締めれることを望んでいたのか。
彼の腕が抱き締めてくれている。と言うだけで、胸がいっぱいになって涙があふれてくる。
「・・・いつから、描いてたの?」
「・・・多分、この部屋に初めて来てから。
気さくに挨拶してくれるのが嬉しくて。優しい笑顔に毎日癒されてて。
・・・完璧に見えるのに、悩んでたりしたこともあった。って知って、もっともっと身近に感じて・・・。
悪いかな。と思ってたけど、気持ちを止めることができなくて、吐き出したくて、ずっとずっと描き続けていました。」
ぎゅううっと彼が抱き締める腕に力を込める。
「でも、伝えるのが怖かった。渡辺さんからしたら隣に住んでるただの学生だし。告白することで、せっかく近付けた距離を壊してしまうのが、怖かった・・・。」
ぽろぽろ。と今まで胸に秘めていた思いが涙となって零れ落ちてゆく。
「・・・一緒だよ。俺も。毎朝お前の笑顔を見ることで癒されていた。
少なくとも、お前も俺に好意は抱いてくれている。と感じていただけに・・・。
好きだ。と言葉にしてしまうと、せっかくの関係が壊れてしまいそうで・・・。」
ちゅ。とキスをすると、大切な宝物を扱うように、頭を撫でてくれる。
「そんな・・・。俺の、どこが・・・。」
彼に好きになってもらうほどの魅力が見つからない。
「最初は、もどかしくて放っておけなかったんだ。毎朝、鍵を閉めるのに悪戦苦闘して、必死になってる姿が可愛いな。って見守ってた。お陰で、毎朝必要以上にネクタイが締まってしまったけどな。」
「あ・・・・。」
もしかして。
鍵を閉めてから、ネクタイを締める癖がある。と思っていたのは、モタモタしている俺を待っていてくれたんだ。
「やっと締めたと思ったら、嬉しそうに後から追いかけてくれてただろ?
いつの間にか、お前の足音をBGMに通勤するのが当たり前になっていて、気分が沈んでいる日でも、一所懸命追いかけてきてくれるお前の足音を聞いてたら、元気になれたんだ。」
・・・・一方的に。と思っていたけれど、気がついてくれてたんだ・・・・。
うれしい。
ぎゅっと、彼を抱き締める腕に力を込め、頬を寄せる。
「でもさー・・・。風呂、壊れちゃいました。ってすっごく困ってそうな割には、逃げ出しちゃうし。
もしかしたら、ちょっとぐらい脈アリなのかも。って思ってたのに、嫌われてるのかと思った。」
「・・・まさかっ!!びっくりしちゃっただけで・・・。」
くすっ。と思い出したように、彼が笑う。
「・・・ま、でもとっさに逃がさないぞっ。って手首摑んじゃったどな。」
あの時、渡辺さんが強引に引っ張ってくれていなければ。
まだきっと俺は彼の背中を見詰めるだけの存在だったのだろう。
色々と、彼に感謝。だ。
「・・・あっ。ずっと気になってたんですけどっ。俺、酔っ払っちゃったこと、あったじゃないですか。
あの時、ちょっと思考ゆるんでたから。もしかして、渡辺さんを傷つけるようなこと、言っちゃいました?」
「・・・いや。お前といて、不快に思ったことなんか、ないけど・・・。」
どうして??
と逆に瞳が問う。
「・・・だって、せっかくいい雰囲気になってたのに、早く帰れ。みたいなこと、言うから・・・・。」
「・・・ああ。」
ゆっくりと、記憶を辿るように上を向く。
「・・・ごめん。傷つけてたことに、気がついてなかった・・・。
俺も浮かれてたから、ついつい飲みすぎてたんだよな。
・・・今だから言えるけど、俺のほうこそ、お前をこの腕に抱き締めたい。ってずっと思ってたから。
理性を保つ自信がなくなってきて。
せっかく楽しく話しをできる仲になったのに、ここで全てを壊したくない。ってふっと我に返ったんだよ。
未成年のお前を午前様にするわけにはいかないしな。」
「そんな・・・。」
そんな嬉しいことを思っていてくれただなんて。
やっぱり仮説は仮説でしか、ない。
俺も、彼も同じ。
好き。という気持ちが、相手を傷つけたくない。嫌われたくない。という臆病さになって、一人で悩んで、振り回されて。
「ほんと・・・。馬鹿だ。」
「そうだな。大馬鹿だ。」
クスクスと笑いながら、再びキスを交わす。
新しい関係がスタートする。
どうなんだろう??と探り続けてきた気持ちがゆらゆらとずっと不安定に揺れ続けていたけれど、
やっと安定して包み込まれているような感覚。
そう。今、彼が俺を抱き締めてくれているように・・・。
こんなにも人のぬくもりというものは、温かかったのか。
手を伸ばし続けていたのに、押し殺さなければならなかった感情は、こんなにも抱き締めれることを望んでいたのか。
彼の腕が抱き締めてくれている。と言うだけで、胸がいっぱいになって涙があふれてくる。
「・・・いつから、描いてたの?」
「・・・多分、この部屋に初めて来てから。
気さくに挨拶してくれるのが嬉しくて。優しい笑顔に毎日癒されてて。
・・・完璧に見えるのに、悩んでたりしたこともあった。って知って、もっともっと身近に感じて・・・。
悪いかな。と思ってたけど、気持ちを止めることができなくて、吐き出したくて、ずっとずっと描き続けていました。」
ぎゅううっと彼が抱き締める腕に力を込める。
「でも、伝えるのが怖かった。渡辺さんからしたら隣に住んでるただの学生だし。告白することで、せっかく近付けた距離を壊してしまうのが、怖かった・・・。」
ぽろぽろ。と今まで胸に秘めていた思いが涙となって零れ落ちてゆく。
「・・・一緒だよ。俺も。毎朝お前の笑顔を見ることで癒されていた。
少なくとも、お前も俺に好意は抱いてくれている。と感じていただけに・・・。
好きだ。と言葉にしてしまうと、せっかくの関係が壊れてしまいそうで・・・。」
ちゅ。とキスをすると、大切な宝物を扱うように、頭を撫でてくれる。
「そんな・・・。俺の、どこが・・・。」
彼に好きになってもらうほどの魅力が見つからない。
「最初は、もどかしくて放っておけなかったんだ。毎朝、鍵を閉めるのに悪戦苦闘して、必死になってる姿が可愛いな。って見守ってた。お陰で、毎朝必要以上にネクタイが締まってしまったけどな。」
「あ・・・・。」
もしかして。
鍵を閉めてから、ネクタイを締める癖がある。と思っていたのは、モタモタしている俺を待っていてくれたんだ。
「やっと締めたと思ったら、嬉しそうに後から追いかけてくれてただろ?
いつの間にか、お前の足音をBGMに通勤するのが当たり前になっていて、気分が沈んでいる日でも、一所懸命追いかけてきてくれるお前の足音を聞いてたら、元気になれたんだ。」
・・・・一方的に。と思っていたけれど、気がついてくれてたんだ・・・・。
うれしい。
ぎゅっと、彼を抱き締める腕に力を込め、頬を寄せる。
「でもさー・・・。風呂、壊れちゃいました。ってすっごく困ってそうな割には、逃げ出しちゃうし。
もしかしたら、ちょっとぐらい脈アリなのかも。って思ってたのに、嫌われてるのかと思った。」
「・・・まさかっ!!びっくりしちゃっただけで・・・。」
くすっ。と思い出したように、彼が笑う。
「・・・ま、でもとっさに逃がさないぞっ。って手首摑んじゃったどな。」
あの時、渡辺さんが強引に引っ張ってくれていなければ。
まだきっと俺は彼の背中を見詰めるだけの存在だったのだろう。
色々と、彼に感謝。だ。
「・・・あっ。ずっと気になってたんですけどっ。俺、酔っ払っちゃったこと、あったじゃないですか。
あの時、ちょっと思考ゆるんでたから。もしかして、渡辺さんを傷つけるようなこと、言っちゃいました?」
「・・・いや。お前といて、不快に思ったことなんか、ないけど・・・。」
どうして??
と逆に瞳が問う。
「・・・だって、せっかくいい雰囲気になってたのに、早く帰れ。みたいなこと、言うから・・・・。」
「・・・ああ。」
ゆっくりと、記憶を辿るように上を向く。
「・・・ごめん。傷つけてたことに、気がついてなかった・・・。
俺も浮かれてたから、ついつい飲みすぎてたんだよな。
・・・今だから言えるけど、俺のほうこそ、お前をこの腕に抱き締めたい。ってずっと思ってたから。
理性を保つ自信がなくなってきて。
せっかく楽しく話しをできる仲になったのに、ここで全てを壊したくない。ってふっと我に返ったんだよ。
未成年のお前を午前様にするわけにはいかないしな。」
「そんな・・・。」
そんな嬉しいことを思っていてくれただなんて。
やっぱり仮説は仮説でしか、ない。
俺も、彼も同じ。
好き。という気持ちが、相手を傷つけたくない。嫌われたくない。という臆病さになって、一人で悩んで、振り回されて。
「ほんと・・・。馬鹿だ。」
「そうだな。大馬鹿だ。」
クスクスと笑いながら、再びキスを交わす。