眩しい光に、朝がきたことを知る。
無情にも、地球は回る。
どんなに辛くても、未来へと歩き出さなければ、ならない・・・。
「・・・引っ越そう。」
一晩中泣き続けて出した答え。
新居の準備ができたら、きっと彼も引越すのだろう。
彼の気配のないこの部屋で、ただ一人残り続けるのは辛すぎる。
・・・・もしかしたら、彼女さんが引越してくるのかもしれない。
幸せそうに笑う二人を見て、笑顔で挨拶できる自信はない。
・・・いや。彼の隣で笑うのは自分でありたい。と醜い嫉妬で焼け付くだろう。
せめて、彼の中で綺麗な思い出の存在でありたい。
ガサガサと散らかりきった紙くずをよけて、パソコンを開く。
一刻も早くここから立ち去りたい思いと、引越し先が見つからなければ、という思いが交錯するのに、
幸か不幸か今よりも大学に近い物件がすぐにヒットしてしまう。
引越し業者だって、シーズンオフだから日程も時間も予算も選びたい放題だ。
「・・・なんだよ。そんなにみんなここから出て行って欲しいのかよ。」
対象が歪んだ落ち込みと、イラつき。
これが、大学に通いたいから。と物件を探している時ならば、大いに感謝するだろう。
人間というものは、勝手なものだ。
「すみません。引越しをお願いしたいんですけど・・・。」
何か行動を起こしていないと、ガラガラと足元から自分という存在が崩れ落ちてしまいそうで。
すぐにスマホをタッチして、不動産と引越し業者に連絡する。
「・・・はい。はい。じゃあ、それでお願いします。詳しい日程は、また・・・。」
彼が結婚しようと、俺には何も関係ないのだ。
少し親しいだけのただのお隣さんなのだから・・・。
「・・・・あ。学校行かなきゃ。」
時計を見ると、今から急いでも1限目には間に合わない。
彼は、彼。自分は自分。
出会う前の生活に戻って、新しくやり直すだけだ。
幼い時から組み込まれた、絵を描くのが好きでデザインの仕事をしたい。という体内時計が否が応でも身体を動かす。
こんな時でも、デザインを捨てられない自分が、可笑しい。
学校帰りに、業者さんに段ボールを頼んで、手当たり次第に荷物を詰めてゆく。
彼を思いながら過ごした部屋が、空っぽになってゆく。
次の日から、彼を避けるように一本早い電車に乗って学校に通うようになった。
偶然会いそうになれば、物陰に隠れて彼が通りすぎるのを待った。
それでも避けきれなかったときは、精一杯の笑顔を浮かべて会釈をするようにした。
引越しの日が近づいてくるのに、ビリビリに破いたスケッチも、壁に飾ったデッサンも捨てることができなくて、あの日のままになっている。
「引っ越してから、島津にでも処分してもらうかな・・・・。」
自分の手で、なかったことにするのには、俺はあまりにも弱すぎた。
無情にも、地球は回る。
どんなに辛くても、未来へと歩き出さなければ、ならない・・・。
「・・・引っ越そう。」
一晩中泣き続けて出した答え。
新居の準備ができたら、きっと彼も引越すのだろう。
彼の気配のないこの部屋で、ただ一人残り続けるのは辛すぎる。
・・・・もしかしたら、彼女さんが引越してくるのかもしれない。
幸せそうに笑う二人を見て、笑顔で挨拶できる自信はない。
・・・いや。彼の隣で笑うのは自分でありたい。と醜い嫉妬で焼け付くだろう。
せめて、彼の中で綺麗な思い出の存在でありたい。
ガサガサと散らかりきった紙くずをよけて、パソコンを開く。
一刻も早くここから立ち去りたい思いと、引越し先が見つからなければ、という思いが交錯するのに、
幸か不幸か今よりも大学に近い物件がすぐにヒットしてしまう。
引越し業者だって、シーズンオフだから日程も時間も予算も選びたい放題だ。
「・・・なんだよ。そんなにみんなここから出て行って欲しいのかよ。」
対象が歪んだ落ち込みと、イラつき。
これが、大学に通いたいから。と物件を探している時ならば、大いに感謝するだろう。
人間というものは、勝手なものだ。
「すみません。引越しをお願いしたいんですけど・・・。」
何か行動を起こしていないと、ガラガラと足元から自分という存在が崩れ落ちてしまいそうで。
すぐにスマホをタッチして、不動産と引越し業者に連絡する。
「・・・はい。はい。じゃあ、それでお願いします。詳しい日程は、また・・・。」
彼が結婚しようと、俺には何も関係ないのだ。
少し親しいだけのただのお隣さんなのだから・・・。
「・・・・あ。学校行かなきゃ。」
時計を見ると、今から急いでも1限目には間に合わない。
彼は、彼。自分は自分。
出会う前の生活に戻って、新しくやり直すだけだ。
幼い時から組み込まれた、絵を描くのが好きでデザインの仕事をしたい。という体内時計が否が応でも身体を動かす。
こんな時でも、デザインを捨てられない自分が、可笑しい。
学校帰りに、業者さんに段ボールを頼んで、手当たり次第に荷物を詰めてゆく。
彼を思いながら過ごした部屋が、空っぽになってゆく。
次の日から、彼を避けるように一本早い電車に乗って学校に通うようになった。
偶然会いそうになれば、物陰に隠れて彼が通りすぎるのを待った。
それでも避けきれなかったときは、精一杯の笑顔を浮かべて会釈をするようにした。
引越しの日が近づいてくるのに、ビリビリに破いたスケッチも、壁に飾ったデッサンも捨てることができなくて、あの日のままになっている。
「引っ越してから、島津にでも処分してもらうかな・・・・。」
自分の手で、なかったことにするのには、俺はあまりにも弱すぎた。