・・・・え??

ケッコン・・・・。


目の前が真っ白になる。

・・今、なんて言ったの・・・???


確かに「彼女はいるんですか?」とは怖くて聞いたことはなかった。

こんなにカッコヨクて、仕事ができて、優しい彼に恋人がいてもおかしくないのに。

認めたくなくて、考えたくなくて、思考に蓋をしていた。


帰りが遅いのだって、もしかそたらデートしてきたり、彼女さんの家に寄ってから帰ってきてたのかもしれない。

・・・そういえば、コロンの香りだって、時々違う時もあった。


恋人がいる、を通り越してケッコンだなんて。

そんなことをいきなり聞かされるだなんて・・・。


ヒドイ。



「・・・まお?」

「そう・・・。だったんですねっ。お幸せにっ!!!!」


渡辺さんの声で、現実に帰る。
でも、震える声を抑えながら、ゆがんだ笑顔でさよなら。と言うのが精一杯だった。


きっと、もう、この部屋の扉を開けることはないだろう・・・・。


俺は、そんなに強くないから・・・。