「実は・・・、隣に住んでる人。」
「・・・え?そうなの?確かに、背高くて、キレーな人だよなあ・・・。」

絶対に知らない。と思ってつぶやいたのに、意外な答えが返ってきてびっくりする。
こんなにもあっさり。と受け入れてもらえると思ってなかったし・・・。

「どうして知ってるの?」
「あー・・・。お前一回体調崩して休んだときあったっじゃん。その時レポート届けただろ?その時すれ違っただけだけど、会ったことある。」

「そうなんだ・・・・。」
「一回見たら、忘れられない美人だね。あれは。」

やっぱり、誰が見ても一目で惹きつけられちゃうんだ。
だったらきっと恋もよりどりみどり。
俺なんかが惚れたって望みないんだろーなー・・・。

あ。なんか落ち込む・・・・。


ずーん。と更に机にへたばってしまった俺を心配して??島津が明るく肩を叩いてくれる。

「でもほら。当たって砕けろ。ってゆーし。・・・あ。砕けるとは限らないし。告白だけでもしてみるってのは・・・?」
「・・・でも、何にも知らないんだよ?朝、挨拶するぐらいで・・・。」

うーん・・・。と腕を組みながら真剣に考えてくれる。

「そっかあ・・・。隣同士と言ったって、何かキッカケでもないと、そんな話しないよなー・・・。」
「うん。俺のことを知りもしないのに、イキナリ告白されても迷惑なだけでしょ?」

うーん。うーん・・・。と、うなってばかりの俺たち。
なんだか、子どもだなあ。って思う。

「じゃあさ。無理にもキッカケ作ればいいじゃん。包丁で手を切ってしまって、救急箱貸してもらえませんか?とか~~。」
「・・・なんか、それわざとらしすぎない??」

「・・・そうだよなー・・・。」

そもそも、料理をしていて、手を切ってしまいました。
なんて、なんて鈍くさい子なんだ。とか思われそうだし。

・・・きっと、一人でシャープな身のこなしでお洒落なパスタとか作ってるんだろーな。

そもそも、俺なんて包丁を使わないといけないような料理ってあんましないし。
コンビ二の店員さんに「いつもありがとうございます。」って挨拶されちゃうぐらいだし。


・・・そういえば、いつ買い物行ったりごはん作ったりしてるんだろう・・・。

朝はいつも出かける時間一緒だけど、帰りはバラバラだもんな・・・。


俺が帰るときに、道路から眺めた彼の部屋に電気が灯っているのを見たことがない。


きっと、いつも遅くまで残業してるんだ・・・。


なのに、いつも朝にはあの爽やかで蕩けるような笑顔で「おはよ。」って言ってくれて・・・。


彼の笑顔を思い出して、頬が熱くなった。