「・・・なあ。まお。タクミクンシリーズ原作も終ったらしいぞ?それで、記念にネット放送されるんだって。」
「ふーん・・・。そうなの?」

わざわざメッセで、ファンの方が教えてくれた。

テニミュやシュタゲもそうだけれど、原作がある仕事というのは、原作がどうなっているのか。
自分の関わった作品が終ってからも気になってしまう。

俺たちが卒業しても、タクミクンはずっと続いていきますので。

そう、挨拶して締めくくった。


もう、あれから3年以上の月日が経つんだな・・・。


そりゃ、原作が終っても当たりまえか。


そう、思うと同時に言いようのない寂しさが襲ってくる。


ギイとタクミであった俺たちはあの時のまま、時間を止めている。


甘く切ない記憶しかないけれど。


「なんかさあ。ギイが何もいわずに姿を消しちゃうんだって。本当は1年だけの約束だったから。って・・・。」
「えっ!?そうなの??だって、卒業してもずっと一緒だよ。みたいな話じゃなかったっけ・・・。」

「ギイがニューヨークに帰って、タクミが音楽で留学するらしい。」
「・・・なんか、今のおれたちみたいだね。」


なんだか不思議な気がする。

こうやってまおを送り出そうとしていることが。


やっと巡りあって、愛し合えて。

これから永遠に側で共に暮らそう。と思えば、自分の意思で違う道を歩みはじめるまお。


片思いをずうっと貫いて、やっとタクミの側にいることができるようになって、愛しあえて。
でも、最初からいづれはその手を離さないとわかっていたギイ。

そのとき、タクミはどうするのか??

自分への愛を信じて、側にいなくても強くなるように。
側で見守ってくれる人間関係をさりげなく構築していた。


信じていたからこそ、運命を変える決意ができた。


「・・・・まお。信じてるからな。」
「ん・・・。」


離れていても、想いは変わらない。

いや、距離が離れた分はより強く愛を育むだろう。


タクミの手には、ふたたびバイオリンが握られたように。
まおの手には、デザイナーという肩書きを握って帰国してくるのだろう。


そして、いつかまた・・・。


同じ舞台に立とう。


今は、未来のために、踏ん張るとき。


勇気を持って、歩き出そう。