今日も同じタイミングで、扉の鍵をガチャリ、とかける。
ガチャガチャと鳴る鍵の音が共鳴するのが、くすぐったい。
さあっ。と風が吹くとふわっと鼻先をくすぐるコロンの微かな香り。
しっかりとした筋肉がついているのに、スマートに見えるのは、きっと彼が長身で身のこなしに無駄がないからだろう。
ぴしっとアイロンの当たったシャツを着こなして、鍵をかけてからきゅ。とネクタイを直す癖。
僕がモタモタと鍵を鞄に直している時間に、その癖のおかげでぴったり同時ぐらいに歩き出すことになる。
「おはよ。」
「・・・おはようございます。」
じわっと汗ばむような季節になってきたのに、いつも爽やかな笑顔で挨拶してくれる。
毎日挨拶を交わしているうちに、いつの間にか「おはようございます。」が「おはよ。」になってた。
かと言って美大生の僕と、サラリーマン風の彼とに共通点があるわけではなく。
ただ何となく駅方面に向かう彼の背中を見詰めながら駅に向かう。
それが日課になっていた。
コツコツコツ。と靴音が響く。
僕よりも背の高い彼は、ちょっとだけ急がないと見失いそうになってしまう。
見失っても、一緒に行く約束をしているわけでもなんでもないんだから、別に問題はないんだけれど。
気がつけば、いつもちょっとだけ息を弾ませて追いかけているような感じになっていた。
広い背中と、リズミカルな靴音に、憧れる。
こんなふうに自分に自信を持っているような大人になりたいな・・・。
「おはよ。」以外の言葉を交わしたことはなかったけれど、漠然とその背中を追いかけるのが当たり前になっていて。
なんだか、ほっとする安心感と、一日をスタートさせる元気をもらっていたんだ。
ガチャガチャと鳴る鍵の音が共鳴するのが、くすぐったい。
さあっ。と風が吹くとふわっと鼻先をくすぐるコロンの微かな香り。
しっかりとした筋肉がついているのに、スマートに見えるのは、きっと彼が長身で身のこなしに無駄がないからだろう。
ぴしっとアイロンの当たったシャツを着こなして、鍵をかけてからきゅ。とネクタイを直す癖。
僕がモタモタと鍵を鞄に直している時間に、その癖のおかげでぴったり同時ぐらいに歩き出すことになる。
「おはよ。」
「・・・おはようございます。」
じわっと汗ばむような季節になってきたのに、いつも爽やかな笑顔で挨拶してくれる。
毎日挨拶を交わしているうちに、いつの間にか「おはようございます。」が「おはよ。」になってた。
かと言って美大生の僕と、サラリーマン風の彼とに共通点があるわけではなく。
ただ何となく駅方面に向かう彼の背中を見詰めながら駅に向かう。
それが日課になっていた。
コツコツコツ。と靴音が響く。
僕よりも背の高い彼は、ちょっとだけ急がないと見失いそうになってしまう。
見失っても、一緒に行く約束をしているわけでもなんでもないんだから、別に問題はないんだけれど。
気がつけば、いつもちょっとだけ息を弾ませて追いかけているような感じになっていた。
広い背中と、リズミカルな靴音に、憧れる。
こんなふうに自分に自信を持っているような大人になりたいな・・・。
「おはよ。」以外の言葉を交わしたことはなかったけれど、漠然とその背中を追いかけるのが当たり前になっていて。
なんだか、ほっとする安心感と、一日をスタートさせる元気をもらっていたんだ。