「ん・・・。」

大ちゃんがベッドに入ってくる気配で目が覚める。
ぱちん。と視線が合うと、ふわ。と優しく微笑んで見詰めてくれる。

「23歳おめでとう。」

時計を見れば、ちょうど12時を回ったところだ。

「一番におめでとう。を言えるのは、恋人の特権だな。」

なんて、嬉しそうに笑いながら、布団にもぐりこんでくる。

「ちょ。、だいちゃ・・・んっ・・・。」

そのまま、くちづけられたかと思えば、頬を首筋をくちびるが滑ってゆく。

「23歳になったばっかりのまおを一番にちょーだい?これも、恋人の特権だろ?」
「・・・一番も何も、毎年毎年大ちゃんに奪われ・・・っ」

と言い掛けて、唇をふさがれる。

「違うだろ?初めてからずーっと、大ちゃんにあげてる。だろ?」
「・・・そういう恥ずかしいこと、いちいち言わないでくれる?」

余裕たっぷりの微笑で見下ろされて、いつまでたってもかなわないなあ・・・。と思う。
かあぁ。と染まる頬を自覚しつつ、視線をそらすと、追いかけるように唇が滑ってきて、キスをされる。

「愛してるよ。まお。冗談抜きで。23歳になったばかりのお前とも愛し合えることを幸せに思う。」
「大ちゃん・・・。」

ふっ。と急に真剣な瞳になって、まっすぐに心の奥まで貫くような視線で告白される。

・・・反則だよ。

「またヒトツ大人になるんだな。まお。どんどん成長してゆくお前を見ていると、なんだか嬉しいような、寂しいような不思議な気分だよ。・・・今年も変わらず俺の側で笑っていてくれな?」
「・・・そんなの、当たり前じゃんか・・・。」

大ちゃんの側にいると安心する。

大ちゃんがいるからこそ、大空に羽ばたいていける。

愛されている。必要とされている信頼感があるからこそ、自分の道を歩んでゆける。


・・・でも、それが頼もしくもあり、寂しくもある。って感じてるんだよね?


「・・・おれは、幸せだよ?こうやって、大ちゃんと毎日過ごせて。大ちゃんの側にいるから、安心して笑っていられるんだ・・。」
「その言葉、信じてるぞ?」


ぎゅ。と抱き締められた腕からは、あったかくて、ちょっぴり切ない気持ちが伝わってきた。