「・・・・で?電気屋さんなの??」

ブランドショップとか、アクセサリーショップかと思ってた。

「だって、ほら。あんまりたくさんあっても、持っていけないだろ?」
「そうだねえ・・・。できるだけ現地で調達したいしね。」

「ほら。これなんかいいんじゃない?」
「・・・どれ?」

大ちゃんが選んだのは・・・。
電子辞書。

「実用的だろ?」
「・・・確かに。必需品かもねWW」

会話レベルならなんとか理解できる自信はあるけど、授業についてきてるかどうか。となるとちょっとアヤシイ。

「23歳のまおの一番のビッグイベント間違いなし。だろうしな。」
「そうだねえ・・・。人生の中で、きっと1・2を争うぐらいの分かれ目、だろうね。」

「まお、中学英語の辞書しか持ってないだろ?」
「う・・・。だって、高校はほとんどレポートで単位取れたから必要なかったもん。」

電子辞書を手にとった大ちゃんがニヤリ。と笑う。

「まーおっ。しっかり英語マスターして、一週間に一回はエアメールでラブ・レター送ってきて?」
「え~~。毎日メールするよお。」

「手紙がいいのっ!!なんか、まおの直筆の文字みたい。」
「・・・それって、中身は英語じゃなくてもいいんじゃあ・・・?」

「英語版まお語録期待してるからっ!!」
「ひっど~~いっ!」

寂しくない訳がない。

それでも、こうやって笑って送り出してくれる大ちゃんが好き。

たった一度きりの人生だから。
未来の自分に恥じないように、生きてゆきたい。

そんな決意をわかってくれて、誰よりも優しく、力強く応援してくれる。


「・・・それと、これだな。」
「ipodなら、持ってるよ?」

「容量大きいヤツ。まおが寂しくならないように、いっぱい日本語の歌入れて、もって行けよ。
もちろん、大ちゃんセレクトも入れて、な?」
「あっ。いいかも。メモリアルロードとか?」


23歳の誕生日。

ここから、新たな人生が始まるから。


ずっとずっと見守っていてね。


離れていても、おれのこと、いつでも感じていてね。