ギイが僕に何も話してくれないまま、消えた。

後から事情は聞いたけれど。

ギイがくれた時間がキラキラと輝きすぎていて。
あまりにも幸福に満ちていて。

いつかは決断しなければならなかったのに、未来を見るのが怖くて逃げていた。
今、手の中にある幸せを失うのが、怖かったんだ・・・。

でも、時間は止まってくれない。
僕たちは、抵抗むなしくオトナになってゆく。




-----------君がいなくなって気がついたこと。

僕を愛してくれているのは、君だけじゃなかったってこと。

落ち込んでいる僕を気にかけてくれる、赤池君や、自分だって受験で忙しい三洲君。
明るい笑顔で「それぐらいで先輩たちの愛は壊れないっすよっ!!」って励ましてくれる真行寺君。

倒れたときにも、真っ先に心配してかけつけてくれた両親。




生まれたときから、愛されている実感を得られたことがなかった。

愛されることを諦めて、何にも感じないように心を閉ざしていた僕。

それでも生まれ変わってみたくて、やってきたこの祠堂学院。

灰色だった僕の世界が、一気にぱあっ!と明るくなるような華やかな容貌と、みんなからの信頼を集めて、君はキラキラと輝いていた。

惹かれてはいけない。と、自分に言い聞かせながらも、
いつのまにか、心の奥深くに入り込んでいて。

信じられないような告白をしてもらって、ギイが何度も愛してるよ。って言ってくれたのに。
愛されるということを渇望しているのに、どうすれば愛されるのかもわからなくて。
どうやって、愛してるよ。と伝えればいいのか、わからずに・・・。

不器用な僕を、辛抱強くじっと待ってくれていた。



・・・・ねえ。ギイ。

君と出逢ってなかったら、今頃僕はどうしていたのかな??

君を失ったショックに立ち直れないんじゃいないか?ってみんなが心配してくれるよ。

でもね。君と出会ってない人生のほうが、僕にとっては辛かったと思う。

今でも、まだ兄さんを憎んでいたのかな?
母さんたちを許せなかったのかな??
今でも、愛されたいのに、どうすればいいのかわからずにもがいていたのかな・・・。

ギイに出逢ってから、少しずつみんなの心が伝わってくるようになったよ。

表現は間違っていたかもしれないけど、兄さんは僕を本当に愛してくれていたんだ。とか。
僕を信頼してくれていたから、安心して兄さんに心をかけることができたんだ。とか。
僕を愛して、手を差し伸べてくれているみんなの優しい気持ちが見えたりだとか。



たった一人の出会い。

でも、そのたった一人(ギイ)との出逢いが僕の運命を変えたんだ。



本当に君は凄いね。


たった一人で、こんなにも僕に素敵なプレゼントを残していってくれた。


・・・ねえ?   ギイ。


今、君は一人ぼっちで何をしている?

忙しく空の上を飛び回っているのかな・・・・?


僕は、幸せだよ。


こんなにも素敵な仲間と共にいる。


いつか、僕もオトナになったら。


佐智さんみたいに、君と肩を並べられるようになったら。


君と対等に話しあえるかな?


それまで、待っててね。


呆れるほど、マイ・ペースだけど、きっときっと追いつくから・・・・。



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どうでしょう・・??WW

ギイが消えちゃったことは、ショックだけど、ギイと出会えていなかったら、もっと辛かったよね、今頃。って思うんですよね^^
そうして、もっともっとオトナになれば、自分の意見ももっとはっきり言えるようになっているはず。

まだ高校生だもん。覚悟なんてできなくて、当たり前だよ。

お話。というよりは、タクミの独り言ですが・・・(笑)