「だいちゃぁぁぁぁん。重いよぉぉ。助けて~~。」

洗濯場から、まおの悲鳴が聞こえる。

俺はと言えば、
「今日はいいお天気っ!!お洗濯日和だねっ。」って張りきるまおを送り出して、
休日のまったりした朝をまだまだベッドの中でゴロゴロと過ごしていたのに。


大量のシーツを洗濯機から取り出しながら、あまりの重さにシーツを取り出した勢いで仰向けにころん。とひっくり返っている。
シーツとじゃれあっているようにしか見えないまおが、愛らしい。

「なに遊んでるの・・?まお。」
「遊んでないよぉ。大量すぎて、どこまで引っ張っても繋がってるんだもん。」

「おおきなかぶ。みたいだな。」
「・・・なんか、違うと思うけど・・・。」

ぐちゃあ。となったシーツに埋もれて呆然するまお。

「仕方ないなぁ。ほら。どいて?」
「・・・うん。」

一枚、一枚丁寧にほどいてゆく。

「でも、これ、どうやって干す?スペースないし・・・。一気に5枚も干すのって妖しいよな。一応一人暮らし設定なんだけど。ここ。」
「・・・うん。妖しい。よっぽど綺麗好きで、毎日シーツ変えなきゃ気がすまない人設定ならいいけど。」

誰が聞いているわけでもないのに、二人で設定を考えてコソコソと相談する。

「やっぱ、コインランドリーだろ。」
「乾燥機だけ、かけにいく?」

「・・・でも、これ、濡れてるからすっごく重いんだけど。大ちゃん、車欲しい。」
「うーん・・・。確かに、手に持って運ぶには腕がちぎれそうだな。」

そんなに大した重さではないけれど、コインランドリーまで持ち運ぶとなれば話は別だ。

「車、かあ・・・。」

せっかくまおも免許を取ったことだし。
人目を気にせずにいつでもドライブデートできるし。

・・・今回みたいなハプニングがあっても、役に立つし。
どうせなら、でっかいファミリーカーみたいなので、ゴルフセットとかも載せれたら、
「車持ってるから、ゴルフバッグ運んでもらえるんだよね。」なんて基準で浮気されずに済む。

うーん・・・。

でも、維持費も駐車場も借りるとなると、面倒だよなあ・・・。

車を買うなら、駐車場つきの家も欲しい・・・。

「だ~い~ちゃん?」
「・・・あ。ごめん。今日はレンタカー借りるほどのことでもないし、頑張って運ぶかっ!!」

大きなランドリーカゴを抱えて、よいしょっと持ち上げると、「ええっ。おれも半分持つよ~~。」とか言いながら追いかけてくるまおが可愛い。

「いいから。いいから。最近ジムで鍛えてるしな。」
「・・・えへっ。ほんと~~。」

とか言いながら、腕の筋肉をむにむに摑んでくる。

そうだろ。そうだろ。もう、ぷにぷに大ちゃんじゃないからなっ。
惚れ直しただろーっ!!って、必要以上に軽々と持ち上げてみたりして。

乾燥機にシーツを放り込んで、二人で並んで置いてあった漫画を読んでみたりして。
なんかこういう所帯臭い感じっていいなあ・・・。って思う。
一緒に暮らしてるって実感がする。

「あーっ!!やっぱ、ケッコンしてよかったあっ!!」
「わわわっ。大ちゃん、どうしたの??急に。」

漫画を読みながら、ケタケタと一人で笑っているまおをぎゅうむ。と抱き締める。

「やーっ。なんかこうやって一緒に暮らすって幸せだなあ。って。」
「・・・そうだね。」

抱きしめた両腕をつかみながら、腕の中から上目づかいで照れたように見詰めてくれるまお。

ぐわん。ぐわん。と回り続ける乾燥機。
まだかなあ?って一緒に待っている俺たち。

・・・なんか、新婚さんそのものって感じじゃないかっ!!

・・・まあ。そもそもここに来た理由も新婚さんそのものだし(笑)


「・・・あ。止まった。」


ほかほかのシーツを取り出して、二人で端っこを持ち合って畳む・・・んだけれども。

「・・・なあ。まお。ここ・・・。」
「・・・あれ。ほんとだ・・・・。」

「落ちてないね・・・。」
「やっぱり、すぐに洗わないと駄目だったのかなあ・・・。」

5日間そういうこと。をしてから溜めておいたシーツはすっかり染みになってしまって、綺麗に汚れが落ちていない。

「・・・どうする?クリーニング・・・は駄目だよな。」
「・・・うん・・・。恥ずかしい・・・。」

「何の染みですか?」とか聞かれたらどうすんだーーっ!!
「染み抜きしますか?しない場合は最初からあったってことで、了承してくだいね。」なーんてわざわざ聞かれるんだぞーっ!!


・・・やっぱり、梅雨の時期は大ちゃんまおちゃんのお腹の上で我慢します・・・///

そうそう。

薬局も寄って帰らなきゃ、な。


シーツを買いに行ったのも、乾燥機を回しにきたのも、ぜーんぶ無駄になってしまったけれど。


なんだかぜーんぶ楽しかった。


二人で過ごす梅雨の時期の楽しみ方。



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これまた何が言いたいのわからなくなってしまいましたがWW
なんとなくオチがついたので、このお話はこれで終わり^^