俺のようになりたい。とキラキラした瞳で見詰めてくれて、自信を与えて、もっとがんばらなくては。と強い気持ちを持たせてくれる存在で。
側にいると、俺のほうこそ安心して、心がほんわかとあったかくなって。

恋心。というものに理由なんてつけられないのだろうが、まおの瞳を見詰めていると吸い込まれる。

すきすきすきすき・・・。と全身で表現せんとばかりに、じいいっと見詰められると、ドキドキが止まらなくなる。
そんな視線にさらされることなんで、職上柄慣れているはずなのに。


まおの笑顔を守りたいと思う。

「大ちゃんの側にいると安心するんだよね。」ってふんわりと笑ってくれるまおを傷つける人間は許さない。

小説の中の世界のように

「共犯者になってくれ。」なんて、今の自分には言えない。


だって、失うものが多すぎるから。
自分は、それ以上のものを与えられるぐらいの存在だろうか?と思ったときに、ぐらぐらと足元がぐらついてしまう。


家族からも愛されず、人間恐怖症という心の闇を背負っていたタクミ。
失うものなど何もない。
ギイに愛されることで、唯一自分の存在価値を見出し、やっと家族にも心を開くことができたタクミ。

「共犯者になってくれ。」と言えるだけの行動力も、実力も伴っていたギイ。
リスクを犯してまでも、タクミを守り抜くことができるギイ。

そんな二人とは・・・・。
違う。

まおには、まおのことを愛してくれる家族がいるし、未来だってある。
俺だって、まだまだ俳優として、一生自活できるのか?という思いを抱えながら、ひたすら努力の毎日で。


どうしたらまおを守り抜くことができるのか??
日々悶々と悩むだけのちっぽけな人間だ。

それでも、共に生きたい。


きっと地元の友人が知ったら笑うだろうな。

「お前って、そんな一途なキャラだったっけ・・・?」って。





そんな一年前を思うと。


強くなったよな。


俺も、お前も。


愛している。という想いはより深くなり、ゆるぎないものとなり。

何を言われようとも、動じなくなった。


だって、胸を張ってこの気持ちは本物だから。と言えるようになったから。

共に生きたい。


欲張りかもしれないが、まおに家族のようになってほしい。

二人でいつまでも笑顔で過ごしたいから・・・。


駆け落ちだとか、裏切りではなく、きちんと家族に認められて、祝福されて一生のパートナーとして俺の側で微笑んでいてほしい。

付き合って、2年の月日が経とうとする頃には、そんなふうに感じるようになっていた。