休日の朝の贅沢な過ごし方。

とっくに太陽は、南にさしかかろうとしているのに。

ベッドの中で愛するまおを抱き締めながら、いつまでもゴロゴロしている。


「だいちゃーん・・・。もう、10時だよ?」
「ああ。そろそろ起きなきゃなあ・・・。」

なんて、言いながら

「じゃあ。おはようのキス。」

なんて、キスを重ねているといつの間にやら肌に掌を這わせていて・・・。

「んっ・・・。だいちゃっ・・・。起きな・・きゃ・・・。」
「そうだな。もうちょっとだけ・・・。」

なんて、言っているうちに、まおだって熱っぽくなってきて、結局本気モードで抱き合ったりしてしまって。


お互い満たされきって、愛を確かめ合うために抱き合えば、余計に離れがたくなってしまって。


「だいちゃーん・・・。もう、11時だよ?さすがに起きなきゃ・・・。」
「そうだな・・・。」


なんて言いながらも、お互いに身体を起こす気配はなくて。

んふふ~~。と微笑みながら、俺の顔の輪郭を指先で辿りだすまお。


「ほらぁ。おひげまで生えてきちゃったよ~~。」
「そりゃあ、昨日剃ってから、もう24時間以上経つもんなあ・・・。」

まおの指先が、口の周りをするすると撫で回すのが気持ちいい。

「大ちゃんってさあ・・・。おひげ、薄いよね・・・。このちょこっと生えた感じ、好き。」

ちゅ。ちゅ。と唇の輪郭に沿って、キスを落とされる。

「んふっ。ちょっとちくちくする~~。」

なんて、子どものようにはしゃぐまおは、いつまでたってもやっぱり可愛い。


「まおも、ちょっと生えてきてるぞ?」
「やっぱ、そろそろ起きなきゃだね~~。」

やっと、起き出して二人で洗面所に向かう。


「いいなあ。大ちゃん、おひげ薄くて。」

二人ともシェービングフォームを塗りたくって、鏡を覗き込む。

「・・・そうか?まおだって、薄いほうだろ?」
「んー・・・。でも、なんか跡が残っちゃうんだよね・・・。」

剃り剃りした後に、念入りにローションでお手入れしながらまおが鏡を覗き込む。

「お前は、色が白いからだろー・・・。肌もデリケートだしな。」
「最近、夜更かしが多いからね~~。誰かさんのせいで。」

ちらり。とまおが鏡越しに俺に視線を向ける。

「俺のせいかよ~?」
「だって、絶対に起こされるもん。『明日はオフだから、寝るのもったいない~~。』って甘えてくるの、誰!?」

「・・・俺・・・。」

「もうっ、すっかり夜更かしさんの朝寝坊だよっ。」
「・・・いいじゃん。留学したら、ちょうど時差でいい感じ・・・。」

「そういう問題じゃ、ないでしょーっ!!」

首にかけていたタオルで、ぱしっ!と叩かれて、ぎゅ。と抱きつかれる。

・・・どういう意味だ?これ。


「朝寝坊すると、一日があっと言う間に終っちゃうでしょ?なんか・・・。勿体ないじゃん。
もうすぐ離れ離れになっちゃうのに。」

抱きついた腕に力を込めながら、切なげにまおが訴える。

「・・・そっか・・・。でも、こうやって二人で何の予定も立てずにだらだらしている時間も俺は好きだぞ?」
「ん・・・。そうなんだけど。なんか、もう半日終っちゃったのか。と思ったら寂しくて。」

俺との時間を大切に思ってくれているまおの気持ちが嬉しくて、ぎゅ。っと抱き締めながら頭を撫でる。

「今日の予定は・・・?まお。」
「すっごく風が気持ちいいから。緑の綺麗なところに行きたい。そんでお洒落なカフェでごはん食べたい。」

「オッケー。確かにこんな日に一日家でゴロゴロしてるのは、勿体ないな。」


梅雨の合間のすっきりと晴れた休日。

いつまでもゴロゴロしたくなってしまうような心地のよい風が、カーテンを揺らしていた。


でも、確かにこんな日は、新緑の中で過ごしたくなるな。

まお。


一人でいるよりも、お前といるほうが有意義な人生になっている。


小さな日常のヒトツ・ヒトツにそんなことを感じるよ。