「俺、現代っこでよかったな~~。」
「・・・え?大ちゃんが現代っ子?」
ぼそり、とつぶやいた大ちゃんの独り言に思わず突っ込みを入れてしまう。
そちらかというと、昭和の時代を愛するようなタイプに見えるんだけど・・・。
新しいものに目がない。というよりも、大切に同じモノの長く使っているし。
外見こそ八頭身で、現代っ子そのものだけれども、かもし出す雰囲気は浮ついてなくて、平成ボーイというより渋い昭和男といった感じ。
「お前、さりげなく失礼だな~~。」
「だって、ほんとのことだもん。大ちゃんって、昭和の人だな~~。って色んなところで思うよ?あ。もちろん、いい意味でねっ!!」
テーブルに突いた両腕に、顎を乗せて、大ちゃんが上目遣いにじいいっとおれを見詰める。
「や・・・。そりゃ、覚悟はいるぞ?いるけど、荒畑中尉に比べたら、すっごく恵まれてるよなあ。と思って。」
「・・・中尉??」
「あの時代ってさ。明日のわが身も、大切な人の安否もわからずに、ただただ待ってるしかなかったわけだろ?
万が一、愛する人が帰ってきたとしても、国のために命を散らさなかったのか?とむしろ突き放さなくてはならない。おかえり。と抱きしめてあげることもできない。
・・・そう考えたらさあ。今回の留学ですっごく遠くにまおは行ってしまうけど、いくらでも連絡を取る手段はあるし、
命がけで会いに行かなくても、時間とお金さえあれば、いつもで会いに行けるわけだし。
・・・何より、まおが帰ってきたときに、おかえり。って抱きしめられる。
・・・こんな、幸福ってないよな。」
「大ちゃん・・・。」
そうだね。
すっごくすっごく考えさせられて、誰が正しいとかではなく、一人一人のそれぞれの立場で色んな思いが交錯していた不毛会議。
撮影中は、愛する人にただいま。もおかえり。も言ってあげられない。
せっかく生きて帰ってきたのに、自分の居場所がないってどんな気持ちだろうね・・・。
と、よく話し合ったものだ。
そうして、毎日お互いの居場所があるって幸せだね。って愛を確かめあった。
やるせない思いが交錯するぶんだけ、重ねあった肌はすっごく温かくて安心できた。
「うん・・・。ほんと、現代っ子でよかったね。」
ただの留学だけれども、数ヶ月とも、数年ともわからない期間離れ離れになるのだ。
期待に胸膨らませる反面、初めてこんなに長期間離れて二人の関係がどうなってしまうのだろう?という不安だってある。
でも、大ちゃんの言うとおり。
時間とお金さえあれば、いくらでも会いにいけるし、毎日だってリアルタイムでメールでやりとりできるのだ。
・・・なんて、恵まれた時代なのだろう。
「数年後に帰ってきても、ずうっと待ってるからな。まお。」
大ちゃんが、澄んだ優しい瞳で見詰めてくれる。
真っ直ぐで、嘘がなくて、おれへの愛に溢れていて、安心できる瞳。
真剣に改まって告白されたことが、照れくさくてついつい邪険に返してしまう。
「・・・数ヶ月だって、待てないんじゃないの?いつも、離れ離れになったら、半べそかいてるくせに。」
「半べそかいてるのは、まおだろーっ!!!」
この~~。と頭をぐりぐりされて、いつものふざけあいのような軽さになってほっとする。
強い気持ちを持たせて。大ちゃん。
・・・本当は、おれだって、数ヶ月も離れ離れになるなんて思ったら、泣きそうになるんだから。
笑顔で、行ってこいっ!!って送り出してね。
いざ。旅立ちの日。
どこまでも抜けるような澄み切った青空が広がる。
不安なんて、何にもないよ。二人の未来はどこまでも明るい。
って、言ってくれているみたいだ。
「よしっ。行ってこいよ。」
「うんっ!!行ってきますっ!!」
笑顔で力強く手を振り合って、振り返らずにゲートをくぐる。
ここからは、自分の力で歩まなくちゃいけない。
強くなって、見違えるようなオトナになって、大ちゃんに胸を張って会いにいきたい。
自信をもって、「ただいまっ!!」ってあの広い胸にとびこめるように。
飛行機に乗り込んで、窓の外を眺める。
どんどん高度を上げてゆくと、眼下に白い雲が視界いっぱいに広がる。
「いよいよ・・・。だな・・・。」
もう、視界には日本は見えない。
今頃、大ちゃんは空を見上げて、「今、どの辺りと飛んでるのかな~?まお。」なんて思ってくれているのだろうか。
そう思うと、なんだか胸が熱くなって・・・。
涙がこぼれた。
「今だけ泣かせてね。明日からは笑顔でがんばるから・・・。」
そう、約束したのだから。
遠く離れていても、笑顔で頑張ろう。どんなに辛いことがあっても、乗り越えよう。
待ってるから・・・。
何年でも、何十年でも、待ってるから・・・。
お前の居場所はここにある。と指刺してくれた大ちゃんの胸。
うん。がんばる。
ぐすっ。と鼻を鳴らして、涙を拭いたあとは、自分でも不思議なぐらい前向きな気持ちになっていた。
空港では。
「まお。今頃、あの空の向こうにいるのかな~~?」
なんて、大ちゃんが空を見上げていた。
「行ってこい。いくらでも待ってるから、俺のことなんて気にせずに、勉学に打ち込んで来い。なんて、強がり言ったけど、やっぱさみしいな~~。」
大ちゃんの瞳からも、ぽろり。と一粒の涙がこぼれる。
「・・だけど、まおの成長のためだからな。どーんと信じて待つしかないよな。
会いに行こうと思えば、いつだって会いにいけるさ。ダイスケ。」
どんなに離れていても、思いは届くよね・・・・。
いつだって、心は君の側にいる。
--------------------------------
またまた気の早い留学のお話WW
今日は歯医者さんに行かないといけないので、お話は一本かなあ??
ではっ。
「・・・え?大ちゃんが現代っ子?」
ぼそり、とつぶやいた大ちゃんの独り言に思わず突っ込みを入れてしまう。
そちらかというと、昭和の時代を愛するようなタイプに見えるんだけど・・・。
新しいものに目がない。というよりも、大切に同じモノの長く使っているし。
外見こそ八頭身で、現代っ子そのものだけれども、かもし出す雰囲気は浮ついてなくて、平成ボーイというより渋い昭和男といった感じ。
「お前、さりげなく失礼だな~~。」
「だって、ほんとのことだもん。大ちゃんって、昭和の人だな~~。って色んなところで思うよ?あ。もちろん、いい意味でねっ!!」
テーブルに突いた両腕に、顎を乗せて、大ちゃんが上目遣いにじいいっとおれを見詰める。
「や・・・。そりゃ、覚悟はいるぞ?いるけど、荒畑中尉に比べたら、すっごく恵まれてるよなあ。と思って。」
「・・・中尉??」
「あの時代ってさ。明日のわが身も、大切な人の安否もわからずに、ただただ待ってるしかなかったわけだろ?
万が一、愛する人が帰ってきたとしても、国のために命を散らさなかったのか?とむしろ突き放さなくてはならない。おかえり。と抱きしめてあげることもできない。
・・・そう考えたらさあ。今回の留学ですっごく遠くにまおは行ってしまうけど、いくらでも連絡を取る手段はあるし、
命がけで会いに行かなくても、時間とお金さえあれば、いつもで会いに行けるわけだし。
・・・何より、まおが帰ってきたときに、おかえり。って抱きしめられる。
・・・こんな、幸福ってないよな。」
「大ちゃん・・・。」
そうだね。
すっごくすっごく考えさせられて、誰が正しいとかではなく、一人一人のそれぞれの立場で色んな思いが交錯していた不毛会議。
撮影中は、愛する人にただいま。もおかえり。も言ってあげられない。
せっかく生きて帰ってきたのに、自分の居場所がないってどんな気持ちだろうね・・・。
と、よく話し合ったものだ。
そうして、毎日お互いの居場所があるって幸せだね。って愛を確かめあった。
やるせない思いが交錯するぶんだけ、重ねあった肌はすっごく温かくて安心できた。
「うん・・・。ほんと、現代っ子でよかったね。」
ただの留学だけれども、数ヶ月とも、数年ともわからない期間離れ離れになるのだ。
期待に胸膨らませる反面、初めてこんなに長期間離れて二人の関係がどうなってしまうのだろう?という不安だってある。
でも、大ちゃんの言うとおり。
時間とお金さえあれば、いくらでも会いにいけるし、毎日だってリアルタイムでメールでやりとりできるのだ。
・・・なんて、恵まれた時代なのだろう。
「数年後に帰ってきても、ずうっと待ってるからな。まお。」
大ちゃんが、澄んだ優しい瞳で見詰めてくれる。
真っ直ぐで、嘘がなくて、おれへの愛に溢れていて、安心できる瞳。
真剣に改まって告白されたことが、照れくさくてついつい邪険に返してしまう。
「・・・数ヶ月だって、待てないんじゃないの?いつも、離れ離れになったら、半べそかいてるくせに。」
「半べそかいてるのは、まおだろーっ!!!」
この~~。と頭をぐりぐりされて、いつものふざけあいのような軽さになってほっとする。
強い気持ちを持たせて。大ちゃん。
・・・本当は、おれだって、数ヶ月も離れ離れになるなんて思ったら、泣きそうになるんだから。
笑顔で、行ってこいっ!!って送り出してね。
いざ。旅立ちの日。
どこまでも抜けるような澄み切った青空が広がる。
不安なんて、何にもないよ。二人の未来はどこまでも明るい。
って、言ってくれているみたいだ。
「よしっ。行ってこいよ。」
「うんっ!!行ってきますっ!!」
笑顔で力強く手を振り合って、振り返らずにゲートをくぐる。
ここからは、自分の力で歩まなくちゃいけない。
強くなって、見違えるようなオトナになって、大ちゃんに胸を張って会いにいきたい。
自信をもって、「ただいまっ!!」ってあの広い胸にとびこめるように。
飛行機に乗り込んで、窓の外を眺める。
どんどん高度を上げてゆくと、眼下に白い雲が視界いっぱいに広がる。
「いよいよ・・・。だな・・・。」
もう、視界には日本は見えない。
今頃、大ちゃんは空を見上げて、「今、どの辺りと飛んでるのかな~?まお。」なんて思ってくれているのだろうか。
そう思うと、なんだか胸が熱くなって・・・。
涙がこぼれた。
「今だけ泣かせてね。明日からは笑顔でがんばるから・・・。」
そう、約束したのだから。
遠く離れていても、笑顔で頑張ろう。どんなに辛いことがあっても、乗り越えよう。
待ってるから・・・。
何年でも、何十年でも、待ってるから・・・。
お前の居場所はここにある。と指刺してくれた大ちゃんの胸。
うん。がんばる。
ぐすっ。と鼻を鳴らして、涙を拭いたあとは、自分でも不思議なぐらい前向きな気持ちになっていた。
空港では。
「まお。今頃、あの空の向こうにいるのかな~~?」
なんて、大ちゃんが空を見上げていた。
「行ってこい。いくらでも待ってるから、俺のことなんて気にせずに、勉学に打ち込んで来い。なんて、強がり言ったけど、やっぱさみしいな~~。」
大ちゃんの瞳からも、ぽろり。と一粒の涙がこぼれる。
「・・だけど、まおの成長のためだからな。どーんと信じて待つしかないよな。
会いに行こうと思えば、いつだって会いにいけるさ。ダイスケ。」
どんなに離れていても、思いは届くよね・・・・。
いつだって、心は君の側にいる。
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またまた気の早い留学のお話WW
今日は歯医者さんに行かないといけないので、お話は一本かなあ??
ではっ。