まおも忙しい毎日になって、日々仕事をこなすのが精一杯って感じだったから、毎日言葉を交わすことさえ少なくなっていた。
ただただ俺にできるのは、まおが安心して眠れるように腕の中に一晩中抱いていてやることと。
自分にできる精一杯の食事を作って、倒れないようにと祈るばかりで。
最後まで後悔しないようにまおが突っ走れるように見守るしかできない。
そんな自分がはがゆくもあったけれど。
「がんばってくるねっ!!」とキラキラと瞳を輝かせて出かけてゆくまおは、充実の日々なんだろうなあ。
どんなに肉体は疲れていても。
・・・それとも、弱音を吐けない?吐かないまおのことだから、一生懸命緊張の糸を張り巡らせているのかもしれないけれど。
「今日で、すべてしゅうりょーっ!!!」
予定の仕事を全てこなし、たくさんのプレゼントを抱えて帰ってくるまお。
プレゼントに顔がうずもれて見えないけれど。
「おかえり。おつかれさん。今日は、何も考えずにゆっくり休め、な?」
手荷物を受け取って、顔をのぞきこんだ瞬間にまおの瞳から、じわあああ。っと涙が溢れ出す。
笑顔でさよならするんだから。
そう、約束したんだから。
と、本当は涙もろいまおが、必死でこらえていたけれど、家に帰った途端ほっとしたのだろう。
「ん・・・。がんばったな。まお。最後まで笑顔で。」
「だいちゃぁぁ・・・ん。」
しっかりと抱きついてきて、俺の胸に鼻を埋める。
感情が溢れ出すときのまおの涙は綺麗だ。
楽しいときは、向日葵のように笑い。
悲しいときは、捨て犬のようにしゅんと耳を垂れ。
感動したときは、瞳をキラキラ輝かせ。
拗ねるときだけは子どものようにわかりやすく表情に表す。
素直に感情を表に表せることのできるまお。
そんなまおだから、誰にでも愛されるんだろう。
「今だけは、弱音吐いていいんだぞ?まお。」
「うん・・・。ありがとお・・・。」
言葉にはしないけれど、いつまでも俺の胸で泣き続けるまおの背中が、
この6年間走り続けてきた思いと。
積み上げてきた歴史と。
迷いと決意。
自分の意思で決断をくだした終わり。
色んな思いが交錯していることを物語っている。
そして、今まで一言も弱音を吐かず、ひたすら前だけを見てがんばってきていたのだと言う事も。
俺が一番よく知っている。
ひときり泣いて、腫れぼったい目をしたまま、ぼんやりと一日をゆっくり過ごして。
でも、3月に日付が変わったときには、すっきりとした表情でふたたび前を見ていた。
「ねえ。大ちゃん。ちょっと寄りたいところがあるんだけどいいかな?」
「ん・・・?」
朝ごはんのオムライスを箸でつつきながら、まおが首を傾げる。
「あのさあ。この前話してた図書館で出会った桜井君。今日、合格発表の日なんだよね。」
「ああ・・・。そんなこと言ってたな。」
お互いに仕事が忙しくてゆっくり話をする間もなかったけれど、やっと最近はこうやって二人で食事を取ることができるようになった穏やかな朝。
自分の気持ちに余裕ができてきたからか、以前よりもまおの言葉を穏やかに受け入れることができた。
「いいよ。まおの大切な友達、だもんな・・・。」
そう。
これからもまおは新しい世界の友人をたくさん作るだろう。
初めて会った、俳優仲間以外のまおの友人は、まおのことをまっすぐ見詰めているけれど、思っていたよりも控えめで、自分の未来を決めかねて悩んでいる姿は、なんだかほほえましくさえもあった。
こんな時代もあったよな・・・。
俺も。
会ってしまえば、どうってことはないのかもしれない。
勝手に心配して、ざわざわして、不安になるよりも。
「じゃあ、今度俺にも会わせろよ。」って自分から話してしまえばいいことなのかもな。
--------------------完------------------------
なんだか、焦点がぼやけてしまいました~WW
この時期のお話を書くと、どうしても卒業のあたりのお話になってしまうんですよねWW
ただただ俺にできるのは、まおが安心して眠れるように腕の中に一晩中抱いていてやることと。
自分にできる精一杯の食事を作って、倒れないようにと祈るばかりで。
最後まで後悔しないようにまおが突っ走れるように見守るしかできない。
そんな自分がはがゆくもあったけれど。
「がんばってくるねっ!!」とキラキラと瞳を輝かせて出かけてゆくまおは、充実の日々なんだろうなあ。
どんなに肉体は疲れていても。
・・・それとも、弱音を吐けない?吐かないまおのことだから、一生懸命緊張の糸を張り巡らせているのかもしれないけれど。
「今日で、すべてしゅうりょーっ!!!」
予定の仕事を全てこなし、たくさんのプレゼントを抱えて帰ってくるまお。
プレゼントに顔がうずもれて見えないけれど。
「おかえり。おつかれさん。今日は、何も考えずにゆっくり休め、な?」
手荷物を受け取って、顔をのぞきこんだ瞬間にまおの瞳から、じわあああ。っと涙が溢れ出す。
笑顔でさよならするんだから。
そう、約束したんだから。
と、本当は涙もろいまおが、必死でこらえていたけれど、家に帰った途端ほっとしたのだろう。
「ん・・・。がんばったな。まお。最後まで笑顔で。」
「だいちゃぁぁ・・・ん。」
しっかりと抱きついてきて、俺の胸に鼻を埋める。
感情が溢れ出すときのまおの涙は綺麗だ。
楽しいときは、向日葵のように笑い。
悲しいときは、捨て犬のようにしゅんと耳を垂れ。
感動したときは、瞳をキラキラ輝かせ。
拗ねるときだけは子どものようにわかりやすく表情に表す。
素直に感情を表に表せることのできるまお。
そんなまおだから、誰にでも愛されるんだろう。
「今だけは、弱音吐いていいんだぞ?まお。」
「うん・・・。ありがとお・・・。」
言葉にはしないけれど、いつまでも俺の胸で泣き続けるまおの背中が、
この6年間走り続けてきた思いと。
積み上げてきた歴史と。
迷いと決意。
自分の意思で決断をくだした終わり。
色んな思いが交錯していることを物語っている。
そして、今まで一言も弱音を吐かず、ひたすら前だけを見てがんばってきていたのだと言う事も。
俺が一番よく知っている。
ひときり泣いて、腫れぼったい目をしたまま、ぼんやりと一日をゆっくり過ごして。
でも、3月に日付が変わったときには、すっきりとした表情でふたたび前を見ていた。
「ねえ。大ちゃん。ちょっと寄りたいところがあるんだけどいいかな?」
「ん・・・?」
朝ごはんのオムライスを箸でつつきながら、まおが首を傾げる。
「あのさあ。この前話してた図書館で出会った桜井君。今日、合格発表の日なんだよね。」
「ああ・・・。そんなこと言ってたな。」
お互いに仕事が忙しくてゆっくり話をする間もなかったけれど、やっと最近はこうやって二人で食事を取ることができるようになった穏やかな朝。
自分の気持ちに余裕ができてきたからか、以前よりもまおの言葉を穏やかに受け入れることができた。
「いいよ。まおの大切な友達、だもんな・・・。」
そう。
これからもまおは新しい世界の友人をたくさん作るだろう。
初めて会った、俳優仲間以外のまおの友人は、まおのことをまっすぐ見詰めているけれど、思っていたよりも控えめで、自分の未来を決めかねて悩んでいる姿は、なんだかほほえましくさえもあった。
こんな時代もあったよな・・・。
俺も。
会ってしまえば、どうってことはないのかもしれない。
勝手に心配して、ざわざわして、不安になるよりも。
「じゃあ、今度俺にも会わせろよ。」って自分から話してしまえばいいことなのかもな。
--------------------完------------------------
なんだか、焦点がぼやけてしまいました~WW
この時期のお話を書くと、どうしても卒業のあたりのお話になってしまうんですよねWW