「たっだいま~。」
今までは俺が帰るよりも早く家に帰っていたまおが、時々俺よりも帰宅が遅い。
しかも、すっごく楽しそうに帰ってくる。
そりゃあ、やっと念願のデザインの勉強のほうに本腰が入れれるようになって。
時間に追われていた日々から、自分の心のままに過ごせるようになって。
毎日、ここの公園の緑が芽吹き始めたよ。
澄んだ青空が綺麗だったよ。
雨上がりには、虹が水溜りに映ってたよ。
可愛い雑貨も扱っているカフェを見つけたよ。
・・・ほら。大ちゃん。お土産。
なんて、癒し系の小さなマスコットや、硝子細工の箸置きやら、ボールペンやら。
ちょこちょっとしたものをセレクトしては、プレゼントしてくれる。
毎日瞳をキラキラ輝かせてまおの一日の出来事の報告を聞きながら食べる夕食タイムがここ最近の楽しみだった。
「今日はねえ。前からよく一緒になってたんだけど、図書館でわからないところ教えてもらちゃった。
現役受験生だってえ。」
「・・・受験生かぁ。懐かしい響きだたあ。」
「すっごくわかりやすくて、助かっちゃった。」
「ふーん・・。よかったな。」
まあ、毎日図書館通いをしていれば、そういう出会いもあるかもしれないな。
ぐらいに思って、さらっと流していたのだけれど。
その彼の話題が頻繁に出てくるようになって、心がざわつき始める。
「あのねえ。この前話していた現役受験生の子なんだけど。
未来の夢がはっきりしていない。って悩んでて。
おれが、インテリアデザイナーになりたい。って言ったら、すっごく尊敬してくれて、ちょっとくすぐったかったよ。」
ふふふ。と笑いながら報告してくれるまおに、他意がないことは明らかなのに、むくむくと疑惑が沸きあがって来る。
「まおの真っ直ぐなところに惹かれたんだろうな。」
「そっかあ。そんなふうに思ってくれる人がいるって嬉しいねっ。
おれみたいに目標をしっかりもって努力できる人間になりたい。て言ってくれて・・・。
すっごく嬉しかった。」
むくむく。とした疑惑が、ざわざわとした不安に変わってくる。
その彼がまおに心惹かれている。のは確かなのだろうけど。
まおが心惹かれている。という気が直感でする。
今までどんなにまおのことを好きな人間が現れようとも、まおはそれに気がつきもしない天然鈍感さで、無意識に虐待できていたのに。
「同世代の人間と、一緒にがんばろーねっ!!ってのが、高校受験いらいだからね。なんか新鮮だよお。
今までの仕事って、ひとつのものを作りあげてゆくんだけど、どっちかというと個性と個性のぶつかりあいだったからね。」
「オトナ社会で生きてきたもんなあ。まおは。」
理解力のあるオトナのふりをしながらも、心の中は子どもっぽい嫉妬心がどんどん膨らんでゆくのを止められらい。
俺の腕の中で甘えたなように見えて、実は庇護欲の強いまお。
愛らしい猫を見ると、「可愛いっ!」とぎゅううっと抱きしめ、ペットショップに行くと生まれたての小動物に見入ってしまってなかなか離れられない。
今まで最年少であることが多くて、可愛がられる一方だったから気がつかなかったけれど。
意外と年下に対しての面倒見もいいし、「可愛いよね。」って後輩のことをほほえましく見守っていたりする。
現場ではしっかりしていて自分の意見もはっきり言うし、時にはリーダーシップさえ取ったりもする。
出合ったときのイメージが強くて、いつまでも俺の腕の中で無邪気に笑っていてくれる。
そんな錯覚に陥っていたけれど。
まおのことを尊敬して、憧れて、追いかける。
そんな存在になるほどに成長していた。
かつて、俺がまおに尊敬されて、憧れを抱かれて、自分の存在価値を見出して嬉しかったように。
そうして、共に時間を過ごすうちに自然に惹かれあわずにはいられなかったように。
・・・まさか、な。
頭ではわかっていても、かつて自分が感じた感情だけに、言いようのない焦りが胸を締め付けた。
今までは俺が帰るよりも早く家に帰っていたまおが、時々俺よりも帰宅が遅い。
しかも、すっごく楽しそうに帰ってくる。
そりゃあ、やっと念願のデザインの勉強のほうに本腰が入れれるようになって。
時間に追われていた日々から、自分の心のままに過ごせるようになって。
毎日、ここの公園の緑が芽吹き始めたよ。
澄んだ青空が綺麗だったよ。
雨上がりには、虹が水溜りに映ってたよ。
可愛い雑貨も扱っているカフェを見つけたよ。
・・・ほら。大ちゃん。お土産。
なんて、癒し系の小さなマスコットや、硝子細工の箸置きやら、ボールペンやら。
ちょこちょっとしたものをセレクトしては、プレゼントしてくれる。
毎日瞳をキラキラ輝かせてまおの一日の出来事の報告を聞きながら食べる夕食タイムがここ最近の楽しみだった。
「今日はねえ。前からよく一緒になってたんだけど、図書館でわからないところ教えてもらちゃった。
現役受験生だってえ。」
「・・・受験生かぁ。懐かしい響きだたあ。」
「すっごくわかりやすくて、助かっちゃった。」
「ふーん・・。よかったな。」
まあ、毎日図書館通いをしていれば、そういう出会いもあるかもしれないな。
ぐらいに思って、さらっと流していたのだけれど。
その彼の話題が頻繁に出てくるようになって、心がざわつき始める。
「あのねえ。この前話していた現役受験生の子なんだけど。
未来の夢がはっきりしていない。って悩んでて。
おれが、インテリアデザイナーになりたい。って言ったら、すっごく尊敬してくれて、ちょっとくすぐったかったよ。」
ふふふ。と笑いながら報告してくれるまおに、他意がないことは明らかなのに、むくむくと疑惑が沸きあがって来る。
「まおの真っ直ぐなところに惹かれたんだろうな。」
「そっかあ。そんなふうに思ってくれる人がいるって嬉しいねっ。
おれみたいに目標をしっかりもって努力できる人間になりたい。て言ってくれて・・・。
すっごく嬉しかった。」
むくむく。とした疑惑が、ざわざわとした不安に変わってくる。
その彼がまおに心惹かれている。のは確かなのだろうけど。
まおが心惹かれている。という気が直感でする。
今までどんなにまおのことを好きな人間が現れようとも、まおはそれに気がつきもしない天然鈍感さで、無意識に虐待できていたのに。
「同世代の人間と、一緒にがんばろーねっ!!ってのが、高校受験いらいだからね。なんか新鮮だよお。
今までの仕事って、ひとつのものを作りあげてゆくんだけど、どっちかというと個性と個性のぶつかりあいだったからね。」
「オトナ社会で生きてきたもんなあ。まおは。」
理解力のあるオトナのふりをしながらも、心の中は子どもっぽい嫉妬心がどんどん膨らんでゆくのを止められらい。
俺の腕の中で甘えたなように見えて、実は庇護欲の強いまお。
愛らしい猫を見ると、「可愛いっ!」とぎゅううっと抱きしめ、ペットショップに行くと生まれたての小動物に見入ってしまってなかなか離れられない。
今まで最年少であることが多くて、可愛がられる一方だったから気がつかなかったけれど。
意外と年下に対しての面倒見もいいし、「可愛いよね。」って後輩のことをほほえましく見守っていたりする。
現場ではしっかりしていて自分の意見もはっきり言うし、時にはリーダーシップさえ取ったりもする。
出合ったときのイメージが強くて、いつまでも俺の腕の中で無邪気に笑っていてくれる。
そんな錯覚に陥っていたけれど。
まおのことを尊敬して、憧れて、追いかける。
そんな存在になるほどに成長していた。
かつて、俺がまおに尊敬されて、憧れを抱かれて、自分の存在価値を見出して嬉しかったように。
そうして、共に時間を過ごすうちに自然に惹かれあわずにはいられなかったように。
・・・まさか、な。
頭ではわかっていても、かつて自分が感じた感情だけに、言いようのない焦りが胸を締め付けた。