「そっか・・。今日は母の日か。」

いつも歩きなれた道だけれど、今日はなんだか華やかだ。

いつもは、仏花しか置いていないような店でも、色とりどりの花が並んでいる。
花屋さんに至っては、道にあふれでんばかりのアレンジや鉢植えが所狭しと置いてある。

仕事が入っていたから、うっかり忘れていた。


「すみません。配達頼めますか?」
「あー・・・。母の日のアレンジですか?ちょっと、今日のお届けは難しいんですけど。」
「じゃあ、明日でもいいです。」

太陽のような元気なオレンジのアレンジを選んで、実家と、まおの家に贈る。
少し時期はずれてしまうかもしれないけれど、気持ちは伝わるだろうから。

「いつまでも、太陽のような存在でいてください。感謝をこめて。」
                                   DAISUKE・W


俺を生んでくれた母も、まおを育ててくれた母も、かけがえのない存在だから。

そうして、この世界に入ることを認めてくれた親。

成功するかどうかもわからないのに、我が子の夢ならば応援しよう。
と思うのには、相当な勇気が必要だったんだろうな。

と、今ならわかる。

若い頃は、ただただ自分が正しいと信じて前しか見詰めていなかったけれど、
自分の人生には、数多くの人が関わっていて、色んな想いが交錯して生かされている。

どちらかの親がこの世界に入ることを許してくれなかったなら。
今、俺たちはここにいなかった。


「やっぱ、かなわねーな。母親には。」

広い懐の持ち主でいよう。
そう、毎日心がけているけれど。

果たして、俺はまおに対して100%信じて背中を押してやっているだろうか?
自分がどんなコンディションでも両腕を広げて包み込んでやれているだろうか?


財布からお金を出しながら、ふ。とレジ横にあった明るい空色の紫陽花に目が留まる。

「綺麗な色だな。」
「そうでしょう?こんなに明るいブルーは珍しいですよ。新種なんですよ。」

まおと正式に同居を始めて数ヶ月。

こういう鉢植えも悪くない。
毎日水をやって、成長を楽しみにして、育った分だけ俺達の愛も
育ったんだな。
と、記念樹のように
まおがいない日も眺めよう。


「すみません。これもください。」
「・・・プレゼントですか?」

「・・・いえ。」


どちらかが、どちらかに贈るものではなく、二人で大切に育てていこう。


一年後、どれだけ成長したかを楽しみに。



鉢植えを、リビングに置いてシャメを撮る。


「2014・6・11」


と、日付を入れて。



「あっ。でもやっぱ、まおが帰ってきてから写真撮ってもらおう。
毎年写真撮って、ずらーっと並べたらすっごく成長がわかりそうだ。」



さて。


それまで、ブログの更新でも、しておきますか。