まおは、形状記憶のようだ。


春用のシャツを選びながら、ふとそんなことを思う。

どんなに皺になっても、よれても、きちんと元の形に戻る。


なんだか、最近そう思えるようになってきた。


二人の関係。

ふらふらと浮気かっ!?と思うぐらい他のヤツと仲良くしているのを見ては、やきもきしていたけれど。
きちんと最後には俺のところに帰ってきて「やっぱり大ちゃんが一番好き。」と戻ってきてくれる。

・・・・まあ、そのほかのヤツ、と手ぐらいは握ったのだろうか。
もしかして、キスとかまでしちゃったりしたんだろうか。

そんなことを疑いだせばキリはないが。

「たっだいまあ。楽しかったあ。」
と、友人と遊んで帰ってきたまおの満足そうな邪気のない笑顔を見ていると、信じるしかないか。
とも、思う。


ベッドに入ってもそう。

俺の腕の中にすっぽり収まって、ジャストフィットな心地よさで眠りにつくのに、ぐっすり熟睡してしまうと、
ベッドの端にへばりつくようにして眠っていたりする。

それでも、朝になったらいつの間に戻ってきたのか、必ず俺の腕の中にすっぽりと収まっているから不思議だ。


形状記憶で、お手入れいらず。


そんな文字を眺めながら、

「お手入れいらずというか、お手入れしたいけど、するりと逃げられるというか。」
「まおが惚れ続ける男であるために、むしろ自分のお手入れをしないといけないというか。」

そんな独り言を漏らす。


天使で、きらっきらの外見にそぐわず、実はしたたかで、形状記憶されているまお。


ああ。

そうだ。

もしかしたら、仕事面でもそうなのかもな。


どんなに他の世界を見ても、きちんと身体がライトを浴びることを覚えている。

俺の舞台に興味を示す。

映画を見ていても、「この見せ方って新鮮だよねえ。このお芝居、すっごくナチュラルで好きだなあ。」なんて、
発信側の感想を述べる。


思いっきりデザインの世界を堪能して、形状記憶のように戻ってこいな。

まお。