夜中にふと目が覚めた。

なんとも言えない、頼りなさが身を包む。


・・・最近は、熟睡できていたのにな・・・。


気のせいだろうか。

いつもよりだるく感じる身体を起こす。


肉体的には、そんなに疲れていないはずなのに。

・・・眠りで、回復しきらないようなけだるさが残る。


「そっか。今日は、まおがいないんだった。」

ゴールデンウイークだから。と、学校の友人と一泊キャンプに出掛けていたんだ。


「今頃、何してるのかな・・・。テントで、眠りにつけてるんだろうか。」


まおと一緒になってからも、お互いの仕事の都合とか、二人っきりだから。とか。

本来、学生時代で経験したであろう色んなことを、体験させてやりたい、と思いながらもなかなか実現できなかった。

同世代の友人と、焚き火を囲んで語り合ったり、汗だくになりながらテントを組み立てたり。


みんなで何かを成し遂げる。

それは舞台でも同じことだけれど、お客さんのために、ではなく、自分達だけのために楽しむ。

まおにも、そんな経験があってもいいんじゃないか。

そう思って、「どうしよう・・・?」と迷うまおの背中を押した。


だが。

思ったよりも、ダメージを受けている自分に気がつく。

今まで1週間単位で、離れることもあった。


狂おしいほどに、まおが恋しかったけれど、

「お互いに仕事を頑張っている。」

そう思えたから、頑張れた。


今は、俺の知らない新しい友人と、楽しく過ごしているのだろう。

俺が眠れぬ夜を過ごしている間、まおは知らないヤツの隣で、安らかな寝息を立てているのだろう。


そう思うと。

「同じ空の下、繋がっている。」

はずの空が、孤独に感じた。


いつもはまおがいるはずの虚空をつかむ。


ぎゅっと握り締めた掌を開くと、少しだけまおの存在を感じれるような気がした。


目覚めよ。

歩き出せ。

天高く飛べ。


己の存在が足枷になってはいけない。


輝けるまお未来を曇らせてはいけない。


どこまでも澄み渡る青空のような存在であるために。


・・・俺は、どこまでもお前のことを広く受け止め、背中を押そう。