久しぶりの大ちゃんと、まお君。

テーブルについてメニューを見始めると。

「今日はおとーさんのおごりだから、じゃんじゃん食べてねえっ。」

と、まお君がテンション高く一緒にメニューを覗き込んでくる。

ん・・・?
おとーさん?

きょとん?と見詰め返すと。

「あっ。おとーさんってこの人のことね。」

悪戯っぽい笑みを浮かべて、大ちゃんを指さす。

「おとーさんって・・・。」
「そうだぞ。まお。せめて、お兄ちゃんと言いなさい。」

二人が仲良しなのは知ってたけど。
9歳も年上の先輩に、おとーさんのおごりだから。とかって言えるの、まお君だけだよねえ。

ってゆーか、なんだかまお君がおごってくれるような口ぶりなんだけど。


そこはさらっと流して、おとーさんと呼ばれたことだけに反応する大ちゃん。

相変わらずまお君には甘いんだね。
・・・まあ、僕も随分と可愛がってもらったけどね。

「ほら。まお。お前、赤身のほうが好きだろ?」
「しょーごは、若者だから、がっつりカルビか?」

僕達の話を聞きながらも、ぱぱっと手際よく肉を焼いては取り分けてくれる大ちゃん。
・・・なんだか、こんなとこまでみんなの世話役って感じだなあ。

なんだか居心地がよくて、甘えてしまう。

僕だってオトナなのだから。
甘えるだけだったあの頃とは違う。

やっぱり、こういうときって年下の僕とか、まお君が本当は率先してしないといけないんだろうなあ。
とは思うけど、大ちゃんの手さばきが見事すぎて、ついついおしゃべりのほうに夢中になってしまう。

まお君だって、「あっ。ありがと~。」なんて、されるがままになっている。

でも、一応言っておこう。

「なんだか、先輩にばっかりしてもらって、申し訳ないです。」

ぺこり。と頭を下げると

「いーんだよっ。大ちゃん、いつも焼肉のときは焼き奉行だから~~。」
「いつも・・?」

ほんのりと目元を染めて、んふ。といった感じで、さらり。と、まお君が言う。

そっかあ。そんなにいつも。って言うぐらい二人で焼肉食べに行ってるんだね。
ほんと、仲良しさんなんだあ。

こうやって、違うお仕事をしていても、いつまでも仲がいいいっていいな。


やっぱり、4代目でよかったな。

僕。