「・・・・まおっ!!」

急に頭から降ってきた声に、心臓が飛び出るぐらいびっくりした。
だって、予想しない声だったから。

「心配するだろっ!!急に家を飛び出したりしてっ。」
「だいちゃ・・・。なんで、ここわかった・・・の・・・。」

声も出ないほどに強く抱きしめられて、今まで感じていた怒りとか、悲しみとか、孤独とか。
そんなものがすーっと溶けてゆくのを感じる。

それと同時にほっとしたのか、ふたたび涙があふれてくる。

「言い方悪かったかもしれないけどっ。お前を愛してるからこそ、違う世界も知ったほうがいいんじゃないか。って思ったんだぞ?やっぱり、色んな価値観に触れたほうがいいし。急いで一緒にならなくても、遠い未来を考えた時に、もしかしたら色々経験していたほうが別れにくいかもしれないし。」


必死にいい訳する大ちゃんの汗が、ぽたぽたと垂れてくる。
こんなにおれは寒いのに。
大ちゃんのカラダは火傷しそうに熱い。

きっと、何時間も全力で探してくれてたんだよね。

そう思うと、なんだか全てを許せるような気がした。

「・・・もう、いいよ・・・。」

大ちゃんは、二人の未来を思ってそう言っている。
おれだって、ずうっと一緒にいたい。って気持ちは一緒なのだから。

「・・・あのね。確かに、大ちゃんにしか恋したことないし、正式にお付き合いしたこともないかもしれない。
そういう意味では、外の世界を全然知らないひよっこかもしれない。
でも、ちゃんと他の友達とも会ってるし、自分がしたいこと、はちゃんと意思表示してるよ??
・・・自分の意思で、ここにいるんだから・・・。」

ぎゅっ。と大ちゃんの背中を抱きしめる腕に力を込める。

「そうだな・・・。俺が反対しても、まおは自分の夢を叶える。って意思を貫き通したんだったよな・・・。」