カタン。カタン。と走ってゆく列車を見送る。
「みんな、家に帰っていくんだよな・・・。」
電気が煌々とついていて、あったかい車内。
みんな仕事を終えて?遊びつかれて??
疲れているけれど、充実した顔をして箱に入って運ばれてゆく。
今までは自分も何の疑問も持たずに、あの電車に乗って大ちゃんの家に通っていたんだ。
今は、大ちゃんの家に帰ることも、実家に帰ることもできない一人ぼっちのおれ。
寒いし、悲しいし、孤独だし。
人生で、こんなサイアクな日ってあったかな・・・??
なんて、考える。
大ちゃんに告白して「もう一回冷静になって考えてみろ。」ってたしなめられたときも、これ以上サイアクな日はない。って思ったけど。
・・・・あったよ。もっとサイアクな日が。
「ダイスケの、バカ。」
どんなに腹を立てても、泣いても、八つ当たりしたくても、当の本人がここにはいない。
やみくもに街を彷徨っているのも、何だか急に怖くなってきて、目に留まった公園にあったオブジェの中に身を隠した。
カタン。カタン。
聞こえるのは、時折走る列車の音だけ。
時々、学生たちのバカ騒ぎする声が遠くで聞こえては、消えてゆく。
「ううっ・・・。寒い・・・。」
風はしのげるけど、冷たいコンクリートの感触と、動かなくなった分だけ寒さが身にしみる。
「もう、4月なのになんでこんなに寒いんだよ・・・。昨日はあったかかったのに。」
・・いや。もしかしたら外は寒かったのかもしれない。
大ちゃんと一緒に過ごして、一緒のベッドで寝て、腕のぬくもりに包まれていたから感じなかったのかもしれない。
・・・なにより、今感じているこの心の中から沸きあがって来る熱いような冷たいような、風邪を引いてしまったときに感じる悪寒のような変な感情はなかった。
満たされて、二人の未来を信じていたのだから。
あんなに腹を立てていたのに、大ちゃんの腕がもう恋しくなっている。
一人ぼっちでいるとロクなことを考えないものだ。
このまま誰にも気がつかれずに死んじゃうんじゃないか、とか。
もしかしたら、ナイフを持った不良に絡まれて、ズタズタにされちゃうんじゃないか。とか。
・・・ああ。でも、そしたら大ちゃんが奇跡のように颯爽とカッコヨク現れて助けてくれるんじゃないか。とか・・・。
・・でも、わかるわけないよね。
だって、自分でもここがどこかわかんないんだもん。
大ちゃんだって探しようがない。
「いい訳ぐらい聞いてあげればよかったかな・・・。」
ちょっとだけ後悔して、ぎゅっと、膝を抱える。
「いい訳ぐらいしたらいいのに・・・。」
もしかしたら話の続きがあったのかもしれない。
大ちゃんなりに、また悩んでのことだったのかもしれない。
大ちゃんの声が聞きたくなってきて、携帯を探る。
「あ・・。携帯も持ってこなかったんだ・・・。」
そういえば、メールチェックして、テーブルに置いたままだった。
「ほんと、おれってつくづく馬鹿・・・・。やっぱり、このまま死んじゃうのかな・・・。」
ぎゅっと、膝を抱えて顔を埋める。
今頃大ちゃんはどうしているんだろう・・・。
必死になっておれのことを探してくれているのかな?
それとも、他のヤツのところに行った。と安心しているのかな・・・。
突き放すのも愛情のうち。
二人っきりの世界に閉じこもってしまわないように。
一生一緒に歩んでゆくためには、自分の世界も大切。
そう、大ちゃん言ってくれたよね??
外の世界を知らない訳じゃないよ?
ちゃんと、色んな人を見てきて、それでも大ちゃんがいい。って自分の意思で側にいるのに・・・。
他の人にはトキメキを感じないんだから、仕方がないじゃないか・・・。
だから、大ちゃん。
強引に「俺の側にいろ。」って引っ張って、抱きしめてよ・・・・。
「みんな、家に帰っていくんだよな・・・。」
電気が煌々とついていて、あったかい車内。
みんな仕事を終えて?遊びつかれて??
疲れているけれど、充実した顔をして箱に入って運ばれてゆく。
今までは自分も何の疑問も持たずに、あの電車に乗って大ちゃんの家に通っていたんだ。
今は、大ちゃんの家に帰ることも、実家に帰ることもできない一人ぼっちのおれ。
寒いし、悲しいし、孤独だし。
人生で、こんなサイアクな日ってあったかな・・・??
なんて、考える。
大ちゃんに告白して「もう一回冷静になって考えてみろ。」ってたしなめられたときも、これ以上サイアクな日はない。って思ったけど。
・・・・あったよ。もっとサイアクな日が。
「ダイスケの、バカ。」
どんなに腹を立てても、泣いても、八つ当たりしたくても、当の本人がここにはいない。
やみくもに街を彷徨っているのも、何だか急に怖くなってきて、目に留まった公園にあったオブジェの中に身を隠した。
カタン。カタン。
聞こえるのは、時折走る列車の音だけ。
時々、学生たちのバカ騒ぎする声が遠くで聞こえては、消えてゆく。
「ううっ・・・。寒い・・・。」
風はしのげるけど、冷たいコンクリートの感触と、動かなくなった分だけ寒さが身にしみる。
「もう、4月なのになんでこんなに寒いんだよ・・・。昨日はあったかかったのに。」
・・いや。もしかしたら外は寒かったのかもしれない。
大ちゃんと一緒に過ごして、一緒のベッドで寝て、腕のぬくもりに包まれていたから感じなかったのかもしれない。
・・・なにより、今感じているこの心の中から沸きあがって来る熱いような冷たいような、風邪を引いてしまったときに感じる悪寒のような変な感情はなかった。
満たされて、二人の未来を信じていたのだから。
あんなに腹を立てていたのに、大ちゃんの腕がもう恋しくなっている。
一人ぼっちでいるとロクなことを考えないものだ。
このまま誰にも気がつかれずに死んじゃうんじゃないか、とか。
もしかしたら、ナイフを持った不良に絡まれて、ズタズタにされちゃうんじゃないか。とか。
・・・ああ。でも、そしたら大ちゃんが奇跡のように颯爽とカッコヨク現れて助けてくれるんじゃないか。とか・・・。
・・でも、わかるわけないよね。
だって、自分でもここがどこかわかんないんだもん。
大ちゃんだって探しようがない。
「いい訳ぐらい聞いてあげればよかったかな・・・。」
ちょっとだけ後悔して、ぎゅっと、膝を抱える。
「いい訳ぐらいしたらいいのに・・・。」
もしかしたら話の続きがあったのかもしれない。
大ちゃんなりに、また悩んでのことだったのかもしれない。
大ちゃんの声が聞きたくなってきて、携帯を探る。
「あ・・。携帯も持ってこなかったんだ・・・。」
そういえば、メールチェックして、テーブルに置いたままだった。
「ほんと、おれってつくづく馬鹿・・・・。やっぱり、このまま死んじゃうのかな・・・。」
ぎゅっと、膝を抱えて顔を埋める。
今頃大ちゃんはどうしているんだろう・・・。
必死になっておれのことを探してくれているのかな?
それとも、他のヤツのところに行った。と安心しているのかな・・・。
突き放すのも愛情のうち。
二人っきりの世界に閉じこもってしまわないように。
一生一緒に歩んでゆくためには、自分の世界も大切。
そう、大ちゃん言ってくれたよね??
外の世界を知らない訳じゃないよ?
ちゃんと、色んな人を見てきて、それでも大ちゃんがいい。って自分の意思で側にいるのに・・・。
他の人にはトキメキを感じないんだから、仕方がないじゃないか・・・。
だから、大ちゃん。
強引に「俺の側にいろ。」って引っ張って、抱きしめてよ・・・・。