「へえ。ゴルフとかするんだ。僕もやってみたいな。」
まお君があまりにも楽しそうにゴルフの話をするもんだから、ついつい興味をもってやりたくなった。
・・・今思えば、ゴルフをしているまおを見たかったのかもしれない。
撮影の時には時折しか見せなかった笑顔。
素のまお君は、どんな人物なんだろう。と興味をもった。
せっかく連れて行ってもらうのだから。
と、お礼の意味も込めて、ゴルフのあとの食事の予約もする。
車で迎えに行けば、
「琢磨君、かっこいい~~。運転できるんですねっ!!」
音楽をかければ
「あっ。この曲俺もすきっ。好み合いますね。」
「ゴルフに付き合っていただけるだけで感激なのに、至れりつくせりで、ほんとすみません。」
ぺこり。と助手席でお辞儀をするまお君。
今まで当たり前のことだと思っていたことにいちいち感動してくれ、心がくすぐったくなった。
一汗かいたあとに、食事を予約してあることを伝える。
「ええっ!?どんなけ優しいんですかっ!?」
きらっきらに瞳を輝かせて、感動してくれる。
「そんな感動してもらって悪いんだけど。別にホテルのフルコースとかじゃないからね。
お酒も飲める、こ洒落たレストランってとこだよ?」
「でも、感激です。琢磨君って、なんでも知ってるんですね。」
まっすぐに向けれれるまおの気持ちに、いつしか心が揺らいでいた。
こんなふうに慕われたら、誰だってウレシクナイハズハナイ。
またまた意外なことに、可愛らしい外見に反して、まおはよく呑む。
自己申告で人見知りだ。というだけあって、僕ホテのときはあまり話しできなかったけど。
アルコールも手伝ってか、今日は饒舌に話す。
ゴルフの反省やテクニックのこと。仕事のこと。新しい未来に向けて勉強していること。
お酒や食事の好みについてや、大ちゃんとの共演した作品についてや、テニミュのこと・・・・。
最初は、敬語交じりだったまおもすっかりくだけて、気がつけば6時間とか話込んでいた。
いったい何を何杯空けたのだろう・・・。もう、記憶にない。
頬をピンク色に染めて、とろんと眠たそうな瞳でまおが時計を見る。
「・・・わあっ。もうこんな時間だね。呑みすぎちゃった・・・。ごめんね。こんな遅くまでつき合わせて。」
「いやいや。俺のほうが、こんな時間まで引き止めちゃってごめん。」
何だか、いくらでも話していたかったのだ。
くるくると変わるまおの表情。
あはっ。と笑ったときの、キラキラした可愛い瞳。
一度殻を破ると、こんなにも人懐っこいのか。とびっくりするぐらいによくしゃべるところとか。
・・・でも、基本的には聞き上手で、僕の話を真剣に聞いてくれて、「すごーいっ。」といちいち感動してくれるところとか。
話をしていて、こんなにも心地よい、と感じたのは久しぶりだった。
席を立ちながら、何気なくまおが携帯を探る。
「大ちゃん、もう寝てるかな~~?」
「・・・何っ?一緒に住んでるの??」
いやいや。
僕ホテのときに、どこからともなく二人は恋人同士だよ。なんて噂が耳に入ってきていたけれど。
そんなに親密だったとは・・・。
目元をアルコールのせいだけではないピンク色に染めながら、あ。ついついしゃべっちゃった。って感じでうつむく。
「一緒に住んでる、というか・・・。ほとんど毎日通ってる居候って感じかな・・・。」
「それ、一緒に住んでるのと同じじゃないか?」
「そっかなあ・・・。」
「そうだよ。」
そうだった。
初めから、まおは大ちゃんのものだったのに。
・・・大ちゃんの隣でふっと素に戻って安心した表情をするまおが気になったのに。
一緒に過ごした時間が楽しすぎて、頼られることが心地よすぎて、予想以上にまおが懐いてくれて。
・・・すっかり、忘れていた・・・・。
ナンカ、フクザツ・・・。