正真正銘男の子の僕が、同性であるギイと恋人同士であると見せるには、どうしたらいいのかなあ。
そんなことを考えながら、クランクインの日を待った。


クールでカッコよくて、眼鏡の下の瞳が色気あるなあ。と見とれることもあれば、すっごくお茶目で少年のように子どもっぽくはしゃぐこともある。

憧れの先輩だし、頼りになるお兄ちゃんだし、大好きな存在。
でも、キスしたりしたいかどうかと言われると・・・。
正直わかんない。

・・・まあ、実生活でもつきあったことぐらいはあるけど、キスしたい。とかって思ったこともないから、どんな感情なのかよくわかんない。っていうのが正直なところなんだけど。

この唇にキスされるのかあ。
この腕に抱きしめられるのかあ。

なんて考えながら、じいぃっ。っとぶちょーを眺めてみるけれど、実感が沸かない。
ふざけてじゃれあうことは今までもあったけど、そこにそれ以上の感情はなかったから。

恋心として、ギイを好きな感情を作れるのだろうか?

よくわからないまま、あっと言う間に毎日が過ぎていった。


虹色の硝子の撮影が始まる。

タクミは愛される側の人間だから、女の子っぽく見せたほうがいいのかなあ?
ちょっと内気な感じのほうがいいのかなあ??

ぐるぐると考えすぎて、よくわからなくなる。


・・・・でも、ぶちょーの腕に力強く引き戻された瞬間に、きゅんと胸が高鳴った。
振りほどいた腕を、ふたたび摑んでくれたことに、安心した。

重ねられた唇に・・・。

時が止まったように、全てが音を失った。

狙いが外れて、唇の端にちょこんともらったキスだったけど、胸がきゅんとした。


・・・・・なんだ。簡単なことだったんだ。

・・・・なんだ??

自然に胸がきゅんとしたよね?今。

・・・・なんだ???

抱きしめられることが、こんなにも安心するとか。
キスされることが、こんなにも胸をキュンとさせるとか。

知らなかったよ・・・。今まで。

演技の精神的な部分でも、実際に僕に触れる指先も、ぶちょーに身をゆだねていれば安心、といったふうで。
慣れた様に僕を愛してくれる手つきが、オトナの余裕を感じさせて、胸きゅんした。

必死にもがいて、努力して・・・。
っていうよりは、本当に居心地がよくて、ぶちょーに触れられるたびに、自然に恋心を抱くようになった。感じがした。

タクミの気持ちを追っかけて、愛するがゆえにやきもちを妬いて、ギイに愛されて、支えてあげたいと思って・・・・。

全力で、好き。という気持ちを求め続けた撮影期間。


でも、撮影が終ったら現実に戻る。

今までどおり、普通にじゃれあって会話もするし、連絡を取り合うこともある。
大好きなお兄ちゃんで、憧れの先輩。

・・・だったはずなのだけれど。

ふ。と優しげに細められる瞳だとか。
さりげなく触れた指先に胸がキュン。としてしまう。

・・・まだ、タクミが抜けきってないのかなあ??

僕。

・・・どうしよう。大ちゃん見るだけで、なんだか心臓がドキドキするよ・・・・。


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うーん・・。もっと簡潔に、大ちゃんのリードで胸キュンするまお。と描きたかったのですが。

やっぱり、だらだらと描いてしまう私WW