「・・・何?まお。なんかついてる??」
「あ。うん。別に・・・。」

気がつけば、じいいっと大ちゃんの横顔を眺めていた。

歴代テニミュメンバーの先輩達も、BLモノの映画に出演していることが多かったし。
男子校に通っていた時期もあり、そういう噂も身近にあったし。

・・・別に、BL映画がどうこう。とかは思わない。
思わないんだけど・・・・。

主役と聞かされて、びっくりして、相手役が部長だと知って二倍驚いて。
・・・・いや、安心したのかな??

初主演の映画が、気心の知れた、普段から可愛がってもらっているぶちょーだったから。

台本をぱらぱらーとめくってみたけれど、友達思いで、アメリカ帰りの帰国子女で、しかも御曹司の息子で、ハーフ。なんて設定。

あまりにも現実とかけ離れた、ギイみたいな華やかな存在が、山奥の全寮制男子校に入学してきたら、そりゃあみんな浮き足立って羨望の眼差しだろう。
全生徒が恋に落ちたって、無理はない。と思う。

ギイが、ぶちょー・・・。
ぶちょーが、ギイ・・・。

ぐるぐると、頭の中でイメージが重なる。

あの腕に抱きしめられて、あの瞳で見詰められて、あの唇にキスされるの・・・か・・・。

ハタ。

と気がついて、かあぁぁぁ。と、頬が熱くなる。

「さっきから、なに俺のこと眺めて百面相してるんだ?まお。」
「ややや。別にっ・・・。」

テニミュのメンバーみんなとわいわいしている時は、全然意識しないんだけど、
休憩中のふっとした時間に会話が途切れると、ぶちょーのことを見詰めてしまっている。

「何でも研究っ!!」と買ってきたタクミクンの原作本と、マネさんに借りた「春風にささやいて。」のDVDを稽古場に持ち込む。
次々と控えているテニミュの舞台の合間に、この撮影をこなさないといけないんだから、僕達には話し合う時間があまりないんだ。
それに、せっかくお互いに最初っから知り合いなんだから、雰囲気だけでも共有できたほうがいいでしょ??

そんないい訳?をしながら、「一緒に見ようよ。」とぶちょーを誘う。

「わぉ。研究熱心だなぁ。まおは。」
なんて、褒めてもらって、くすぐったい。

二人とも、感想を述べ合うこともなく、じいぃぃっ。画面に見入っていたけれど。

僕は隣にいるぶちょーが気になってしかたがなかった。
視線は画面から離さないけれど、10cmと離れるか離れないかの体温を感じるほどの距離感とか。
ふつうに息をしているだけなのに、ぶちょーの息遣いが聞こえてきそう。とか。
胸がドキドキと高鳴っている音を聞かれやしないか。とか。

「・・・・まあ。みんなに気に入ってもらえるようなギイとタクミにしような?」
「・・・うん・・・。」

ポン。と肩に置かれた掌が、安心すると同時に、ドキンとする。

とも君のタクミは可愛かった。
僕も、あんなふうに演じれるかな・・・。

ギイが好き。
ぶちょーが好き。

頼りがいのあるお兄ちゃんで、カッコイイくせに、実は性格はお茶目で。
色気があって、キラキラと眩しいぐらいに輝いている憧れの存在で。

ギイを好きな気持ちを作らなきゃ。

・・・そう、思っていたけれど。

実は、すでに・・・・す・き・・・??

一緒にいると、とおっても楽しい。でも、これって恋なのかなあ??

コイビト、として、見せなきゃダメなんだよね・・・。

うーん。難しいなぁ・・・・。



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リラクマさんのリクエストより。
「タクミクン撮影の前に、不安で大ちゃんをじーっと見詰めるまお君の図。」
でした~~。