なんだか最近の京介は浮かれている。

「おかーさんっ。今日は、晩御飯いらないからっ。」
「あら??どうして??」

すっごい興奮して、「いらないからっ!!」宣言をする京介。
あらあら。これは、何かあるわね・・・。

「あのねっ。大ちゃんの家でこの前、御馳走になったんだけど、すっごく料理がうまいのっ。
だから、教えてもらうことにした。」
「・・・そうねえ。これからは、男の子も、料理ぐらいできないとね。」

昔から、「お母さんのお手伝いする~。」って、手伝ってくれてるんだか、邪魔してるんだかわかんないような感じだったけど、料理するの好きだったもんね。

・・・でも、まさか渡辺君と・・・ねえ。

告白できずにノートの隅に落書きしてた片思い、から少しは発展したってことかしら・・・??

「わかった。じゃあ、努力の成果を、また見せてね?」
「・・・うんっ!!」

キラキラ。と嬉しそうに笑う京介は、我が息子ながら可愛い。

「じゃあ、いってきまーすっ!!」
「いってらっしゃい。あんまり、迷惑かけちゃ、ダメよ?」

「わかってるってばっ!!」

なんて返事も、うわの空。だわね・・・。

いそいそ。と出かけてゆく京介の足取りが、心の中ではスキップしてるんだろうなあ。って軽やかさで、
見ていて思わず笑ってしまう。

「・・・なんで、笑うのさぁ。」
「なんでも、ありませーんっ。ほらほら。渡辺君が待ってるんでしょ?」

「あっ。うんっ!!」

ドアを開けて見送っていると、エレベーターが到着するのも待ちきれない。という感じでそわそわしている。

「じゃあね。」
「いってきまーすっ。」

エレベーターに乗るときに、「バイバーイっ。」と、大きく手を振ってくれる京介。
恋すると、あんなにも可愛くなるもんなのね。

京介に反抗期らしき反抗期がなかったのは、渡辺君のお陰かしら・・・??

わけもなく、イライラしてしまう。とかって時期はあった気がするけれど、口もきかずに自分の殻に閉じこもってしまう。っていう時期がなかった気がする。

・・・ま、基本、わかりやすい子だからね(笑)



「料理を教わる。」という口実で、デートを重ねるようになってから一ヶ月。

「だいぶ上達したんだよ~~。」と、嬉しそうに作ってくれたナポリタン。

前は、得意げにキッチンに立つ割には、玉ねぎやピーマンが不ぞろいにゴロゴロしていたのだけれど、
なんだか几帳面な感じに、きちんと大きさの揃った野菜が上品に並んでいる。

包丁さばきも、随分と安心して見ていられる様になった。

・・・あら?本当に、料理を習っていたのね??

でも、まあ、どちらにしても、この上達ぶり。

私のお手伝い~~。と言ってやっていた頃とは、全然違うわねえ。

やっぱり、恋の効果は絶大。ってことね・・・(笑)


がんばってね。京介。

幸せになりなさいよ~~。

なんて、心の中で、こっそりと応援する今日この頃でした。

まる。



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ちびちゃんにコメ返ししていて、どうしてもまお母のお話が書きたくなっちゃった(笑)

いそいそと出かけてゆくまおは、そりゃあ、かわいいだろうな~~。
私も、見送りたいいいいいっ!!ってことで。