帰り道に、桜がちらほら咲いているのを見つけて、すっかり盛り上がってしまった。
千秋楽の後は、このメンバーで打ち上げ兼ねて、花見だなっ。
それまで、散らずにあるかなあ??なんて、わいわいしながら公園にちょっと寄り道して。
電車に乗ろうと思ったら、偶然ばったりと、学生時代の恩師に会ったりして。
昔を懐かしんで話が盛り上がっているうちに、いつの間にやら2~3本電車を乗り過ごしていて。
「・・・まお。待ちくたびれてるだろうなあ・・・。」
真っ暗になってしまった夜道を歩きながら、家路に向かう。
「・・・あれ?電気がついていない・・・。」
久しぶりに、暗い部屋に帰るさみしさ。
「・・・まお、出かけてるのか・・・??」
ぱちん。と電気をつけると、テーブルにはきちんとラップのかけられた食事まで用意してある。
「・・・冷たいな。」
皿に手を触れると、ひんやりとしていて、随分前に作ってくれたことがわかる。
ごはんを作ったものの、待ちくたびれて、まさか飲みに出かけてしまったとか・・・??
ざわ。と心の中がさわつく。
・・・仕方がないのだ。
まおだって、一人で家で待っているだけの時間は退屈だろう。
食事を用意してくれるだけでも、ありがたいと思わなければ・・・。
ふと、寝室のほうに視線をやると、ドアの隙間から薄く光が漏れている。
「・・・まお?」
電気をつけたまま、広いベッドででっかいティディーベアーを抱きかかえて丸まっている。
「・・・なんだ。寝てたのか・・・。」
しかも、俺のシャツを着て、布団もかけずに。
「・・・待ちくたびれたんだな。ごめんな。まお。」
そっと、その頬に指先で触れると、
「んん・・。だいちゃ・・・。」
と小さくつびやきながら、寝返りを打つ。
「・・・ただいま。まお。」
ただひたすら俺の帰りを待ち続けてくれただあろうまおが愛おしくて、うっすらと開かれたくちびるに口づける。
ぎゅううっと、無意識にティディーベアーを抱きしめる腕に力がこもっている。
「・・・おいおい。お前の相手は、こっちだろ・・?」
まおの腕からティディーベアーを取り上げ、
もう一度、深く口づけ、舌先を絡ませる。
「んんっ・・・。はっ・・・。」
まぶたを閉じたまま、なされるがままだった舌先が自分で意思を持って答えだす。
「・・・まお、脚冷えちゃってるぞ?」
「ん・・・。あったかい・・・・。」
シャツの裾から伸びる脚を撫で上げると、ほっとしたようにため息をつく。
「風邪ひくから、ちゃんと布団入れよ。」
まおを抱え上げて、布団の中に入れてやる。
そのまま、シャワーを浴びに行こうとすると、まおの腕が首の後ろに絡みつく。
「待って・・・。大ちゃん・・・。」
「・・・目が、覚めたのか?」
まぶたは閉じられたままだけれど。
「・・・ちょっとだけ、あっためて?・・・さみしかったから・・・。」
やっと会えた、とばかりに閉じられたままの瞳から、すうっと一筋の涙が頬を伝う。
「・・待っててくれて、ありがと。まお。」
すっかり冷えてしまった食事と、まおのカラダ。
それは、俺を待っていてくれていた時間の重み。
その時間を取り戻すように、すっぽりとまおを腕の中に閉じ込めてぎゅううっと抱きしめる。
すり。と鼻先を俺の胸にこすりつけたまま、動かないまお。
それでも、背中に回された腕の力にしっかりと抱きしめられていることを感じる。
じわじわと、移ってゆく体温。
俺のシャツにしみこんだ香水の香りと、まお自身の風呂上りのほのかに甘い香りが交じり合う。
離れていた時間が、ひたひたと満たされてゆく。
ああ。
やっぱりまおが待っていてくれる家に帰るのって、幸せだな・・・。
そう、しみじみと感じた。
千秋楽の後は、このメンバーで打ち上げ兼ねて、花見だなっ。
それまで、散らずにあるかなあ??なんて、わいわいしながら公園にちょっと寄り道して。
電車に乗ろうと思ったら、偶然ばったりと、学生時代の恩師に会ったりして。
昔を懐かしんで話が盛り上がっているうちに、いつの間にやら2~3本電車を乗り過ごしていて。
「・・・まお。待ちくたびれてるだろうなあ・・・。」
真っ暗になってしまった夜道を歩きながら、家路に向かう。
「・・・あれ?電気がついていない・・・。」
久しぶりに、暗い部屋に帰るさみしさ。
「・・・まお、出かけてるのか・・・??」
ぱちん。と電気をつけると、テーブルにはきちんとラップのかけられた食事まで用意してある。
「・・・冷たいな。」
皿に手を触れると、ひんやりとしていて、随分前に作ってくれたことがわかる。
ごはんを作ったものの、待ちくたびれて、まさか飲みに出かけてしまったとか・・・??
ざわ。と心の中がさわつく。
・・・仕方がないのだ。
まおだって、一人で家で待っているだけの時間は退屈だろう。
食事を用意してくれるだけでも、ありがたいと思わなければ・・・。
ふと、寝室のほうに視線をやると、ドアの隙間から薄く光が漏れている。
「・・・まお?」
電気をつけたまま、広いベッドででっかいティディーベアーを抱きかかえて丸まっている。
「・・・なんだ。寝てたのか・・・。」
しかも、俺のシャツを着て、布団もかけずに。
「・・・待ちくたびれたんだな。ごめんな。まお。」
そっと、その頬に指先で触れると、
「んん・・。だいちゃ・・・。」
と小さくつびやきながら、寝返りを打つ。
「・・・ただいま。まお。」
ただひたすら俺の帰りを待ち続けてくれただあろうまおが愛おしくて、うっすらと開かれたくちびるに口づける。
ぎゅううっと、無意識にティディーベアーを抱きしめる腕に力がこもっている。
「・・・おいおい。お前の相手は、こっちだろ・・?」
まおの腕からティディーベアーを取り上げ、
もう一度、深く口づけ、舌先を絡ませる。
「んんっ・・・。はっ・・・。」
まぶたを閉じたまま、なされるがままだった舌先が自分で意思を持って答えだす。
「・・・まお、脚冷えちゃってるぞ?」
「ん・・・。あったかい・・・・。」
シャツの裾から伸びる脚を撫で上げると、ほっとしたようにため息をつく。
「風邪ひくから、ちゃんと布団入れよ。」
まおを抱え上げて、布団の中に入れてやる。
そのまま、シャワーを浴びに行こうとすると、まおの腕が首の後ろに絡みつく。
「待って・・・。大ちゃん・・・。」
「・・・目が、覚めたのか?」
まぶたは閉じられたままだけれど。
「・・・ちょっとだけ、あっためて?・・・さみしかったから・・・。」
やっと会えた、とばかりに閉じられたままの瞳から、すうっと一筋の涙が頬を伝う。
「・・待っててくれて、ありがと。まお。」
すっかり冷えてしまった食事と、まおのカラダ。
それは、俺を待っていてくれていた時間の重み。
その時間を取り戻すように、すっぽりとまおを腕の中に閉じ込めてぎゅううっと抱きしめる。
すり。と鼻先を俺の胸にこすりつけたまま、動かないまお。
それでも、背中に回された腕の力にしっかりと抱きしめられていることを感じる。
じわじわと、移ってゆく体温。
俺のシャツにしみこんだ香水の香りと、まお自身の風呂上りのほのかに甘い香りが交じり合う。
離れていた時間が、ひたひたと満たされてゆく。
ああ。
やっぱりまおが待っていてくれる家に帰るのって、幸せだな・・・。
そう、しみじみと感じた。