「ふふっ。だいぶ伸びてきたな~~。」

俺の後ろで、鏡越しにまおが自分のまえがみを引っ張る。

風呂上りのドライヤーを当ててくれたあとに、
「大ちゃんの髪の毛気持ちいいっ。さらさらだよね~~。」
なんて、言いながら、結んでくれるのが、最近の日課になっている。

まあ、たいがいここでまおの遊び心がでてしまって、
三つ編みの練習っ!!とか。
ちょんまげっ!!とかって遊ばれてしまうのだけど。

今日は素直にブラシでといてくれた後、サイドの髪だけ取って、きゅ。とヒトツに結んでくれる。


「・・・何?まお、髪の毛伸ばしてんの??」
「ん~。切るタイミングを逃したともゆーけど・・・。」

まえがみを引っ張ったり、くるくるともてあそぶんだりしている。

「何かさあ。お休みに入ったら、もっと時間あると思ってたけど、意外と毎日やりたいこと一杯あって忙しいんだもん。」
「・・・ああ。家事全般こなしてくれて、その上に勉強だもんな。・・・ごめんな。ありがと。」

「ああっ。いやいや。家のことはいいんだよ?
それで、大ちゃんがお仕事に全力投球できるなら、とっても嬉しいし。
・・・なんか、最近大ちゃん艶っぽさに磨きがかかってきたし・・・・。
・・・もしかして、おれのお陰?なーんて思っちゃったりしたら嬉しいし・・・。」
「たまには遠慮せずに家事さぼって、散髪ぐらい行って来たらいいんだぞ?」

鏡の中のまおに、そう言うと、まおがうっとりした表情で俺の髪の毛を撫でる。

「ん~~。昔は短いのが好きだったけど、長髪の大ちゃんもカッコイイなあ。色気があるなあ。って最近、思うようになって・・・。こんなふうになりたいなあ。って思って・・・。」
「俺は、まおは短い方が似合うと思うけどな~~。」

うっとり、の表情から、ピョコン!!とアンテナが立ったようにキラキラっと俺を見詰めてくる。

「えっ。短い方が好きなの!?」
「・・・まあ、どっちも好きだけど、どっちかっつーと・・・だな。まおは美人だからどっちでも似合うよ。」

・・・って、聞いちゃいねーな。

「じゃあ、さっそく予約いれちゃおーっと・・・・。」

いそいそと、携帯を取り出すまお。

どっちでも好きだって言ってるのに・・・。


それでも、こういう行動力のあるところ、が好きでもあるんだよな。

見ていて、気持ちいい。

すがすがしい。

やっぱり、若者だよな~~。なんて自分の年齢を感じてしまう。


でも、そんなところが可愛くて仕方がない。

結局、何をしてても、どんな外見でもかわいい。ってことだよ。


まーおっ。