溢れ出す僕の思いをうけとめてくれるように、ぎゅっと抱きしめてくれる。

温かくて、大きな掌が、頭を撫でてくれる。

・・・うれしい。うれしい。うれしい。
今まで、どんなにか、こうして欲しかったことか。
タクミではなく、浜尾京介として。

ギイではなく、大ちゃんとして。
どんなにか「愛してる。」と伝えたかったことか・・・。

ひたひたと、全身が満たされる。
やっと思いを届けることのできた安心感と、受け止めてもらえた満足感に。


「・・・まお。ちょっとだけ待っててくれる?」
「・・・え?」

どれぐらいの時間、そうやって抱き合っていたのかわからない。
大ちゃんが、そわそわと時計を気にし始めた仕草で、随分と時間が経ってしまったことに気がつく。

「・・・ほら。電車の時間もあるし・・・。」
「あっ。そうだね。いつまでもこの部屋にいるわけにいかないもんね。」

ホテルのフロントで、何やら相談している大ちゃん。
終電の時間と、バスの時間を確認してくれてるのかな・・・。

ロビーで、頼もしい後姿を眺めながら待っていると、ホテルのルームキーを片手に大ちゃんが戻ってくる。

「・・・部屋、とったから。」
「・・・ええっ!?」

わー!わー!わーっ!!!

心の準備ができてないんですけどっ。
急展開過ぎて、嬉しいやら恥ずかしいやら、困るやら・・・。

「・・・そんな、びっくしなくても、何もしないよ。」

僕の反応にクスっと大ちゃんが笑う。

「・・・このまま、俺も離れがたい。ってのが正直な気持ちかな。今から、バスに乗って、電車に乗って・・・。
東京でバイバイするのかと思うと・・・。なんか、寂しくなってきた。」
「・・・うん・・・。」

それはもちろん、僕もそうなのだけれど。

やっぱ、大ちゃんってオトナだあ。
そこで、ホテルの部屋を取ってしまう。という発想が僕にはなかった。

「・・・じゃあ、行くか。」
「・・・うん・・・。」